プロローグ/嫡男の誕生に伴う喧騒
新皇暦37年
隣国ウェルネス王国より侵攻が開始される。
その戦場において1人で遊軍部隊として取扱いされ、またたった一人にもかかわらず、シルサンツ帝国全部隊において最高の戦果を出した男がいた。
曰く、「鬼人」
曰く、「狐狼」
曰く、「一人部隊」
しかし最も本人が気に入っていたのは
「カティサークの忠犬」
そんな通り名だったと言う…
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新皇暦12年
カティサーク家に男児誕生。
カティサーク家にとっての慶事であるとともに、これからの忙しさ、また多大な期待に家内はわき、一種の緊張に包まれる。
嫡男の誕生により、次代の側近が求められるからだ。
当代の当主はまだ若いが、当主の側近は当主と同年代というのがカティサーク家の伝統であり、育成期間を考えれば、側近候補の選別はいつ始まってもおかしくない。
側近は当主と共に成長し、次代の家臣団のトップとなることが約束されるいわゆる出世コースだ。
家内または領内はたまた領外でも自身の子供をとギラギラした者たちが溢れた。
そんな中、外の喧騒とは無関係に1つの孤児院でゆったりとした寝息をたてていた…