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 また少し日を空けて、自分は墓地へと訪れた。

 そうそう、この遊びにこなかった数日のうちに学校でもそうだが、墓場の幽霊と同じくらい、深夜に徘徊する骸骨の噂がご近所で広まっていたことを知った。

 なんでも、深夜、草木も眠るとされる時刻にこの近辺で歩く骸骨が目撃されているのだという。

 なんでも、骸骨は夜な夜などこかで人を殺し、その殺した人間の生首を持ってうろついているのだという。


 「あ、それたぶんアレかなぁ」


 そんな噂が流行ってますよー、スケさんに言ったら何か心当たりがあったようで、話してくれた。


 「言えね、私、もう眠らなくてもいい体になったんで、正直夜も時間を持て余してるんですよ。

 だからよく散歩してるんですけど、あ、もちろん人目には気をつけてますよ!

 貴方みたいに通報せずに受け入れてくれる人の方が、珍しいはずなんで。

 ま、それで夜よく散歩してるんです。

 道路も歩いてますけど、視線を感じたり車が来たら、薮に入ったりしてるんです。

 それで、この前なんですけど、散歩してたら車が来て隠れたんです。

 通り過ぎるのを待ってたら、ビニール袋、でしたっけ?

 貴方がよく物を入れてきたり、買い物した時にもらうって言ってた、あのツルツルした袋が投げ捨てられたんですよ。

 車が消えるのを待って、その袋を拾って中身を確認したら、ゴミが入ってました。

 お弁当屋さんで買ったらしい、えーと、食べかすのついたぷらすちっく? の空弁当が入ってて」


 つまり、ポイ捨てされたゴミを拾って、近くにあったゴミ置き場に置いてきたのだという。

 回収日では無かったが、そのままにしておくより良いだろうという判断でそうしたということだ。

 まぁ、たしかにこの辺の人は夜遅くに翌日回収されるゴミを捨てに言ってもとやかく言う人はいない。

 ついでに言えば、ゴミ袋をわざわざ開いて中を確認するというお節介の極みのようなことをする人もいない。


 「なるほど、ゴミの入った袋の丸みが生首になったと、噂ってそんなもんですよねぇ」


 まさかスケルトンがポイ捨てされたゴミを、ボランティア精神で拾って捨て直している、などとは考えつかないだろう。


 「アンデッドが出てるのに、噂程度で済むって現代は平和だなぁ」


 「……ま、それもそうですけど。

 実害が出てないってのも大きいと思いますよ」


 「実害?」


 「アンデッドもそうですけど、ほら、魔物って人襲って殺したり、食べたりするじゃないですか。

 死体でも出てきたらさすがに動くと思いますけど、目撃証言と噂程度の情報だとまずお役所なんて動かないですよ。

 それこそ、物的証拠、そうですねぇ加工されてない動画とか、熊とかなら足跡とかがあれば動いてくれるんですけどねぇ」


 「なるほど」


 「というわけで、今日は動画で見て気になっていたTRPGをやりませんか?

 自分も詳しくないんで、一緒に覚えて遊びましょう!」


 動画とか説明を簡単に見たり、調べた結果、TRPGというのはごっこ遊びの延長らしいというのがわかった。


 「え、スピードは?」


 「スケさん反射神経良すぎて、全然勝負にならなかったじゃないですか」


 先日、トランプでスピードをして遊んだ。

 そしたら、スケさんの圧勝で終わった。

 とにかく、早い。

 豚のしっぽでもそうだった、とにかく反射が早いのだ。

 あとになって無自覚で【身体強化】というスキルを使用していたことが判明した。

 しかし、そのスキルを使わなくても生前はよほど反射神経が良かったらしく、普通に負けた。

 ババ抜きは、普通だった。

 勝率は、まぁ、半々くらいだったかな。

 

 「神経衰弱で、圧勝する貴方が言うか」


 今のところ、正々堂々勝負して自分がスケさんに勝てるのは神経衰弱と、あとは【勇者カルタ】くらいである。

 あと、誰が考案したのかは知らないが【ナーロッパ百人一首】というのもある。

 伝説の勇者や魔王、歴史上の人物たちのセリフや句が書いてある、それを上下、前半後半にわけて対応するカードを取り合うというものだ。

 その書いてある上下のセリフや句を覚えるのがめんどいので、やったことがない。

 

 「自分はスキルなんて使ってません。純粋なる自分の力です」


 とは言っても、こんなの社会に出れば役に立たない。

 ゲームで強いなんてこと、そんなことで金を稼ぐことなんて出来ないのだから。


 「あ、そうだ、あともう一つ」


 自分はもう一個気になったことがあったので、スケさんに訊ねた。


 「なんです?」


 「スケさん、夜やってるの、散歩だけじゃないですよね?」


 ギクリ、とスケさんの体が強ばった。


 「うち、わりと家が古いんで、ちょっと揺れるだけでも体感がデカいんですよ。

 だから、剣抜いたまま素振りするのやめてもらっていいですか?」


 そう、時折だが揺れが頻発していたのだ。

 それも夜に。

 両親も眠が浅いのか、最近寝不足で気が立っている。

 それらを説明すると、


 「わ、分かりました、すみません」


 スケさんが謝ってくれた。

 

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