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野生のスライム飼い始めました

 ん...んぅ、何だか体が重くなっている気がします、ん?

 体の上にある重さからモンスターの気配がする!

 ガバッ!

モンスターならば向こうから何かを仕掛けられる前に殲滅しなければなりません、ベッドの近く置いてあった護身用のナイフを取り、体の上の気配に向けてナイフを突き付けて「それ」を見つけました。

「プルプル...」

 私が突き付けているナイフが怖いのか物凄く震えている「それ」は、薄く透き通った青色の水の玉みたいな物がいました、いわゆるスライムというやつです。

「プ..プル?」

 ナイフを突き付けたまま動かない私のことを不思議に思ったのか何だか首をかしげているように見える動きをしています。

 とりあえず私の上にいるスライムからは何の害意も感じないので突き付けていたナイフを下ろしました。

「プル!プル!」

 ナイフがなくなったことで安心したのか何だか私の上でピョコピョコ跳び跳ねています。

 さて、このスライムは一体どこから侵入したんでしょうね?

「プルプル~(スリスリ)」

 何か物凄く私に体を擦り付けてきます。

 ん?何かつい最近感じた魔力がスライムから感じられます。

 んー、あまりに微弱過ぎて正確に感知することができません、まぁとりあえず今はその事はおいておきましょう。

 しょうがないのでこのスライムは外に返しに行きましょうか。

「ちょっと、ベッドから降りるのでそこからどいてもらいますね」

 そう言いながら私がスライムをどかそうとすると、自分から降りていってくれました。

「私の言っている事が分かるんですか?」

「プル、プル、」

 体を上下に揺さぶって頷くようなジャスチャーをしています、どうやら本当に理解しているようです。

 こんなスライムに会うのは初めてです、確かにモンスターの中には人の言葉を理解する奴もいますがスライムで理解するものは今までは会ったことも聞いたこともありません、そもそもスライムは知能が低く雑魚中の雑魚となっているモンスターです、それが今目の前にいるスライムは言葉が分かるどころかしっかりとこちらの問いに返答するほどの知能を持っています、少し興味がわいてきました、しかし知能があると言うことはその分危険性が上がると言うことです、少し惜しい気がしますがやはりこいつは外に出しましょう。

 スライムが私の上からいなくなったのでベッドの上から降り、普段着に着替えて、顔を洗い、下へ降りていきました。

 その間スライムはどこかに行くこともなく私の後ろをずっと付いてきました、何故かなつかれているようです。

 不思議に思いながらスライムを見ていたら。

「プルプル?」

 あたかも『どうしたの?』と言わんばかりにこちらを見返されてしまいました。

「今から外にいきますよ」

 と、スライムに向かって言うと

「プル!プル!」

 物凄く嬉しそうに跳ねながら私に付いてきました。

 家から出てスライムの方を振り返ってみると、さっきまで後ろにいたはずのスライムがいなくなっています、回りを探してみると昨日乾かすために干したデッドウルフの毛皮の近くにいました。

 スライムに近づこうと歩きだすと、ガコンッ、

と昨日毛皮を洗って片付けるのを忘れていた桶に足が当たりました。

 あれ、おかしいですね、昨日桶の中の水も片付けるのを忘れていたんですが、夜中のうちに森からモンスターが来てひっくり返していったんでしょうか?

 そういえば、あの水晶みたいな物も桶に入れっぱなしにしてしまったんですがどこにも見当たりませんね、桶がひっくり返されたからどこかへ転がっていってしまったのでしょうか?

 などと考えながらスライムの方に近づくと、あることに気がつきました。

 今朝スライム微弱に感じた魔力とデッドウルフの毛皮から感じる魔力が同じなのです、なんで気づかなかったんでしょうか、昨日あれほど感じた魔力なのに、本当に抜けている自分が嫌になります。

 まったく、あの頃比べたら私も随分と落ちましたね...それが喜ぶべきことなのか少し微妙なところですね、もうあんな技術が無いと、死ぬような世界ではなくなったと、思うべきなんでしょうが、さすがに堕落しすぎではないかと思ってしまいますよ。

 ん?何かスライムがさっきまで毛皮のところにいたのに今度は桶の方に行ってますね、体を伸ばして器用に桶のなかに入り、出てきて私のところに来て、また毛皮に行き、桶に行き、私のところ、何か謎の行動をとっていますね。

 そういって、首をかしげている私に困ったのか、何か私の足に掴まってプルプルしています。

「プル...プル、プル.......プル!」

 私がスライムを不思議そうな目で見ていたら何かを決意したように一際大きく震えました。

 一体どうするのだろうと見ていると、スライムが細かく震えだし体の中から透明な玉のよう物を出してきました。

 私はそれに見覚えがありました、何せそれは昨日あのデッドウルフの毛皮の中から出てきたあの水晶だと思っていた玉だったのです。

 ここまで来てやっと私はあのスライムの謎行動の訳がわかりました、おそらくあれは私に自分のことを伝えるためのジェスチャーだったのでしょう、自分はあのデッドウルフの毛皮から出てきて、あの桶のなかに入り、そこから出てきて、私に会った、と言うことを伝えたかったのでしょう、何故そんなことに気がつかなかった....それに、確かスライムは自分の格さえ残っていればそれが水分を吸収して復活できるはずです、何故そんな初心者冒険者でも知っているような常識を忘れていたのでしょうか、自分が情けないです。

 おそらく今このスライムが見せてくれた水晶みたいなものが格なのでしょう、そしてそれを昨日桶で洗ったまま放置したので水分を吸収して復活し魔力をたどって私のところまできたのでしょう。

「君はデッドウルフの毛皮についていたのですか?」

「プル!プル!」

 やはりそのようですね、そしてここからは私の憶測ですがこのスライムが人の言葉を理解できているのはおそらくあのデッドウルフの強い魔力にさらされそれを多量に吸収したため知能が上がったものと思われます、事実モンスターを調教などするときも少し魔力を流してあげることで凄く出来の良いモンスターが仕上がると聞いたことがあります。

 もし、それが本当ならばこのままスライムを森に返すのは難しくなりますね、知能を持ったモンスターは例え弱いスライムだったとしても驚異になり得るのです。

 私はさっきから暇になりウロウロしているスライムにこう言いました。

「君は森に帰りたいですか?」

「プルプルプルプル」

 体を一生懸命横に振っていますね。

「そうですか、では一つ提案なのですが、この家に住みますか?」

「プル!、プル!、プル!」

 今度は嬉しそうに跳び跳ねています

 決まりですね。

「では、家のなかに入りましょうか」

「プルプル」

 うーん、しかしこのスライムと一緒に住むのなら名前をつけないと不便ですね、ずっとスライムとか君って呼び続けるわけにもいきませんしね。

 私とスライムがリビングに入ったあと。

「あの、スライム君、君は名前が欲しいですか?」

「プル?」

 どうやら意味がわかっていないようです、モンスターには名前、と言う物がないのでしょう。

 いや、確かモンスターにはネームドモンスターと言う名前を持ったモンスターがいたはずです、なのでそう言う概念は有るはずなのですが、言い方の問題でしょうか?

「では、君は名を授けられたいですか?」

「プル!プル!」

 物凄く頷いています、やはり言い方の問題でしたか。

「では、一体どんな名がいいですかねー」

 ちなみに言っておくと、私は名前をつけるのが壊滅的に下手です、一度友人のペットのウルフに名前をつけてくれと頼まれたのですが、私が名前を言うと謝られながらそれはやめてくれ、と言われてしまいました、エレキサンダースの何がいけなかったのでしょうか?

「うーん、スライムの名前、冷たくて、プルプルしてて、体をニュルっと変形させられる....あ、ニュルリームとかどうでしょうか?」

「プル、プル」

 何か嫌そうにしていますね。

「んー、ではニュルムとかはどうでしょう?」

「プル.....プル、プル!プル!」

 悩んだ末、大丈夫だったようです。

「それでは、これからよろしくお願いしますね、ニュルム君」

「プル!プル!」

 さて、これからニュルムとの生活が始まるわけですが、まだまだ、面倒事は尽きなそうですね。

読んでくださりありがとうございます。

またまた、予告です

『予告』

さて、次回の『モン飼い』は?

毛皮から出てきた水晶はなんと、スライムの格だった!

そしてそのスライム、ニュルムと一緒に暮らすようになったフォル、一人と一匹の生活に慣れてきたときある事件が二人を襲う!

次回

「野生のスライム娘飼い始めました(仮)」

お楽しみに!

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