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プロローグ2

『....すけて、...たすけて』

『お願い、許して、私は何にも知らないのよ』

『うるせー!あいつと一緒にいたんだからしってんだろ!』

 柄の悪い大きな男が小さな女の子に向かって怒鳴っている、今すぐにも殺しそうな感じで問い詰めている。

 おい、...やめろ。

 本当にその子はなにも知らないんだ。

『そうまでして喋らないたぁー、見上げた根性だな』

 違う、喋らないんじゃない

知らないから喋れないんだ。

『そんなに死ぬのがお望みなら殺してやろうか?』

 止めろ、俺はここにいる

くそっ、なんで声が全然出ないんだ

早くあの子を救わないと、たまたま俺の近くにいただけの子が殺されてしまう。

『あー、もう飽きたし全然喋らないから死ね』

『お願い、止めて

なにも知らないの、頼むから命だけは助け....』

 命乞いの言葉すら最後まで言えずに女の子は物言わぬ者となった。

なんでだ、なんで救えないんだ!

ターゲットを殺せても他の人を巻き込んでしまったら全く成功とは言えないだろ!

今すぐにでもあの男を殺してやる、あの子の敵をとってやる!

今まで何人もの人を殺してきてもなおあの子の死はきつかった。

俺がそんなことを思いながらどうにかして男に飛びかかろうとしていると目の前がフェードアウトしていった。

   ・・・

 ベッドの上で目が覚めた私の見ている天井は見たことのない物でした。

 驚いて起き上がり回りを見渡すと昨日のことをだんだん思い出してきました。

 なんともさい先の悪い夢です、まさか引っ越し初日からあの夢を見るなんて、最近は見ていなかったのに。

 そう考えていると、私はひどい寒さを感じました、寝ている間に服がびっしょりに濡れるぐらい汗をかいていたようでした。

 取り敢えず、このままでは気持ち悪いので汗を流して着替えましょう。

 汗を流すと言ってもあのジジイの城のように風呂場などは流石についていないので布を濡らして体を拭く感じで汗を流します。

 濡らすための水を井戸から取るのも面倒なので桶に直接出しましょうか。

製水(ウォーター)

 そう言うと、桶のなかに青の源素が集まりそれが一定量集まると水が出てきます。

 ふぅ、本当はこんなもの無詠唱でも出せるのにそれすら億劫です、それにいつもは全く疲れなんて感じないのに今は感じます、随分と精神的に疲れているようです、まぁこれはあの夢を見たからなんでしょうがそれは言い訳でしかありません。

 魔術はそれの効果をより集中して考えれば考えるほど強くなり魔力消費量も少なくなります、ちなみに詠唱とはその魔術のイメージを強くするものなのでしっかりと集中できていれば大抵の魔術は詠唱は要りません、逆に魔術を使うのに慣れていなかったり精神的に疲れていたり体に疲労が溜まっていたりすると集中ができずに失敗したり威力が弱くなったり無駄に魔力を使ってしまいます。

 取り敢えず魔術の基礎を思い出して気をまぎらわせながら朝食の準備をします。

 メニューは昨日とほとんど同じてす、流石に料理をする気力なんて無いですよ。

朝食を食べたあとは昨日やり残した荷物の片付けを終わらせて家の掃除をしていました。

 そう言えば家の隣に物置小屋があったのを思い出してそちらも気になったのでそっちの方にもいってみることにしました。 

  ・・・

 いざ前まで来てみると物置小屋としては随分と大きいですね、普通にこの物置小屋にも泊まることが出来るぐらいの大きさです。

 一体私はどれ程荷物を持っていると思われたのでしょうね。

 私は小屋の中を確認しようと扉を開けた瞬間固まってしまいました。

 その小屋は城にあった私の研究室より広く、タンスなどの物もおいてありました。

 それだけでも随分と立派な内装で自分にはもったいなく感じてしまいますがそれよりも目を引くものが置いてありました。

 大量の羊皮紙やガラス製のビン、それに薬品などを保存するのに使う保冷庫もありました、どれも私の研究室に置いてあったものより高価なやつです。

 あまりのことを驚きから抜け出せずにいた私は取り敢えず落ち着くことに集中して、落ち着いた頃に再度小屋の中を確認しました。

 まず、術式陣や術印の下書きなどに使う羊皮紙がこれでもかと大量に棚の中に入っていました、これはとても助かりますね魔術の実験は大量の羊皮紙を使うので買い足しがとてもめんどくさいんですよ。

 他には術式陣を書くのに使うインクやペン、それに陣を発動させるために必要な薬品などが置いてあったり空のビンがところ狭しと並んでいます、ちなみにインクやペンは羊皮紙に術式陣を書くときに使いその陣を発動するときに魔力を与えるために魔力を帯びた薬品や魔術を発動させるための起爆剤にするための素材を陣の中においたりします、そして私も実験を初めてから知ったのですが術式陣を失敗すると真っ黒な液体が出てきます、それは術式陣を発動しようとした人が触ると少量ですが確実に魔力を奪っていきます、なぜ魔力を奪うのか、なぜそれは術式陣を発動しようとした人に限られるのか、一体どんな物で出来ているのかはまだ全く解明されていません、取り敢えずこれは詭弁上「魔水」と呼ばれています、今出来ることはそれに触れないようにビンへと移し「浄化(クリア)」の魔術を使うことで魔水を浄化し水に変えることが今のところできる処置です。

 そんな術式陣一式の他には術印を掘るための台座と工具が置いてありました、あとは魔力の伝導を良くするための水銀などです。

 術印とはランプなどを作るとき、ランプの鉄の部分に術式陣を掘り、そこに一定量の魔力を流すと発動するようにして、自分で術式陣を書かなくでも簡単に使用できると冒険者などにとても重宝されている物の一つです。

 この小屋に置いてあるものはこんな感じですかね、しかしここで問題が一つあります。

 私はこんなにもいいものを用意した記憶はありません、しかも研究室に置いてあったものは荷物がかさばるからおいてきたのです(後日取りに戻るつもりでした)、まぁ大方あのジジイでしょう。

 これだけの量を集められるのはあいつ以外に思い付きません、いえ、あと一人いますけどそいつはこんなものでは済まず、これらの物資と共に乗り込むぐらいのことはするはずです。

 まぁ、誰であろうとこれらのものに害意は感じないのでありがたく使わせてもらいましょう。

 小屋の中を一通り見たところ、これは最近新しく建てられたようです。

 ま、裏を返せばこれだけしたんだからしっかりと研究をしろよってことなのでしょうね、まぁ言われなくともやりますけどね。

 小屋のなかは出来たばかりで綺麗だったので掃除する必要は無くなったので母屋に戻りましょうか。

 外に出てみるともう夕暮れで空が赤くなっています、そこに来て初めて家の後ろに森があることに気が付きました。

「いくら家が大きくて正面から見えないからって今まで気がつかなかったなんて、どうも気が緩みすぎですね」

 などと独り言を言いながら遠目で森の様子を伺ってみました。

 確認した感じ強力なモンスターが住み着いているわけでもないようですね、まぁそういっても弱いモンスターの気配はそれなりには感じますが。

 私はそこまで森を観察したら家の中に入っていきました。

 それからは夕食を取り着替えて報告書を簡単に書きベッドの上に寝転がりました。

 ふー、今日も疲れましたね。

 明日は取り敢えずあの森を少し探索しましょう、もしかしたら実験に役立つ植物などが自生しているかもしれませんし。

 ふぁー、明日の方針が決まったらいきなり眠くなってきました、私はランプを消して眠りにつきました。

 

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