君と見たい夢
編入生視点入ります
ここがゲームの世界なんて誰が思うだろう
ことの起こりは
父親の仕事の関係で海外転勤という話が出た時だ
高校生にまでなって親と一緒なんてごめんだと思った俺は
日本に残りたいと言ってみたら、叔父が自分の学校に寮があるから
編入すれば良いよ、と言ってくれた
その申し出に一も二もなく俺は飛びついた
叔父が理事をつとめている学園はかなり有名な学校だ
学力もそうだが、何より家柄がものをいう
俗にいうお金持ち学園だ
そして「共学」だ!!
俺は今、男子校に通っている
小学校の頃からだ…
これを機に俺は女子と触れ合える距離にいけると
踏んだ俺は難しいとされた編入試験に見事合格してみせる!!
そう思いながら編入試験のため
叔父に連れられて「私立瑞穂学園」に向かった
学園に向かう車の中で今の学園の様子を叔父から聞かされた
違和感を覚えたのは現生徒会のメンバーの名前を聞いた時だ
勿論、今の日本の財閥やら政治家の苗字だから
聞き覚えあるのは当たり前だ
だけど、ご子息たちの名前は初めてのはず
まだメディアには出ていないのだし…
何故こんなに耳に馴染んでいるんだろう?
特に、庶務をやっているらしい子の名前を聞いた時に
「あぁ、亜里沙たん、俺の嫁」
と思ってしまった
なんだ?俺の嫁って??
違和感を覚えたまま、学園に到着した
校門の前で車が止まる
叔父に促されて車を降り、校門に掲げられている学園名を見ながら
校舎を仰ぎ見る
俺、このアングル知ってる
「きみゆめ」のオープニングそのままじゃん…
ん?「きみゆめ」って?
それに気づいた途端、前世の記憶が流れてきた
所謂ブラック企業に勤めていた20代後半の自分の姿
疲れ切っていた毎日
たまの休みにゲームをしている自分
画面の中のキャラクターに恋してた自分
完全に二次元に逃げてたな…
疲れすぎてて、ちょっとだけ休もうって思って目をつぶって…
そこから記憶が無い
はは…もしかしたら、これ異世界転生ってやつじゃね?
「君と見る夢」
お金持ち学校に転校してきた主人公が
高校生活を満喫するシミュレーションゲームだ
恋をするもよし、仲間と青春を謳歌するもよし
「甘酸っぱい毎日を貴女にもう一度」
がコンセプトだったはず
大人になって「あーあの頃に戻りたいー」ってなっている
疲れた人達にターゲットをあてたゲームだった
まんまと現状に疲れていた俺も嵌っていたもんな…
最初に主人公の性別を選ぶところから始まる
男キャラを選べば、生徒会の女性メンバーと恋愛ルートが開かれ
男性メンバーとは友情ルートが開かれる
女キャラを選べばその逆だ
2周目以降には全員攻略ルートが開かれたのは誰向けサービスだったのかは
一目瞭然すぎて引いたが…
そんな中、前世の俺は庶務の亜里沙たんルートばかりを繰り返しプレイしていた
亜里沙たん…俺の嫁…
綿菓子のような女の子
世の中の穢れとか一切無縁のような笑顔を浮かべる子
疲れていた毎日に唯一の潤いを与えてくれていた天使
その世界に俺はきているの…か…?
そのまま、俺はブラックアウトしたらしい
気付いたら保健室で寝かされていた
寝ていたのは約1時間位か?
叔父が今日はもう帰ろうと言ってくれたが
俺はそのまま、試験を受けさせて貰った
せっかく与えられたこのチャンス
乗らなくてどうする!
よく転生前に神様に会ったとか言うのは無かったが
ここはきっと「きみあす」の世界
人生に疲れていた俺に用意されたご褒美の世界だ
待っててね亜里沙たん
きっと君に会いに行くよ
亜里沙たん…俺は君と夢をみたい
もう一度




