ファンタジーを現実に持ち込んではいけないと思います
生徒会の連絡会で俺の背中に悪寒が走った
風邪でもひいたのだろうか?
亜里沙にうつしたら大変だと横の婚約者をチラッと見てみる
真剣に会長の話を聞いている俺の婚約者は今日も大変可愛らしかった
俺の婚約者の亜里沙はこの国最大の財閥の娘だ
亜麻色のふわふわの髪に、人形の様なびっしりと睫毛におおわれているこげ茶色の大きな瞳
陶器のような滑らかな白い肌
触ると壊れそうな華奢な小さい体
花の様にふわりと笑うその姿に俺は幼い頃、一目ぼれしたんだ
花の妖精だと思ったんだ…
同じ3大財閥のくくりに城山家は入っているが
亜里沙の家との格式は、かけ離れていた
亜里沙に一目ぼれした俺は、とあるパーティーで彼女を嫁にすると宣言したらしい
家の事とか何もわかっていなかったんだからしょうがない
異国の血が入っている俺は
当時はとても可愛らしい外見を持っていたらしく(母親談)
亜里沙と並ぶと対の人形のようだと評判で、俺の冗談のような戯言は進み
晴れて婚約者の座を頂いた
まぁ俺が三男で跡継ぎではないのが幸いしたらしい
本来なら「西篠家」という話も出ていたが
勢力的に大きくなりすぎるのが懸念されての俺だったとか
亜里沙のことを溺愛している成宮家にとって
多分、俺は虫よけに丁度良いと思われたんだと思う…
そんな俺の愛しの婚約者様は、最近読書に熱心で
ファンタジーに夢中だという
今日も楽しそうに移動時間にタブレットを操作していた
「ねぇ城山様?」
連絡会が終わった後、亜里沙が俺に声をかけてきた
可愛らしい俺の婚約者は声も可愛らしく甘い
亜里沙の方をむき「なんだい?」と笑いかける
俺の言葉に反応して亜里沙はふわっと笑う
相変わらずその笑顔に俺は弱い
柔らかく甘い俺の花の妖精
「城山様はやっぱりチャラ男会計様だと思うのです」
…花の妖精から変な単語が出てきた…
※※※※※
家の車で彼女の家に送迎がてら、先ほどの話の続きを聞いた
…いや聞かされた
話の概要はこうだ
なんでも最近「BL」というジャンルの本を嗜んでて
その中でも「王道学園」というお約束のお話をよく目にしていたらしい
王道学園には季節外れの転入生が入り
見目麗しい生徒会役員を虜にしていく
男と男のラブストーリー…
…何故そのジャンルにたどり着いたかは
聞かないでおこう
生徒会役員には「チャラ男会計」が居て
それが俺の役割だと、このお姫様はおっしゃる
………どこから突っ込んだらいいんでしょうか?
幼い頃から亜里沙一筋の俺に向かって、チャラ男とかひどすぎるんじゃないですかね?
あと俺に男の編入生と浮気しろって言っているんですよね?
俺、泣いても許されるよね?
「とても楽しいと思いませんか城山様?」
残酷な妖精は、俺の大好きな笑顔で俺に誘いかけるから
俺は逆らえないんだ…




