表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/67

65品目

「条件的には悪くないんじゃない?」

「確かに条件的にはな……」


 客足も落ち着いた頃、ターニアがいつも通りにお酒を飲みに顔を出した。

 険しい表情をしていたメビウスに気づき、ラングラドの条件を聞き出すとあまり深く考えないで当たり前のようにお酒へと手を伸ばす。

 メビウスはため息を吐くのだがターニアの事より、ラングラドの行動に何か裏があるのではないかと考えているようである。


「何が引っかかっているの? 条件的には何も問題ないし、オーミット家が後ろ盾になってくれればいろいろとやりやすくはなるでしょ」

「……確かにそれはそうなんだけどな。確実に裏があるだろ?」


 条件的には何も悪いことはなく、オーミット家の後ろ盾があれば竜の焔亭を彼の父親が経営していた頃にまで戻すことができる。

 それはメビウスの夢でもあり、本来なら飛びついても良い条件なのだがセフィーリアをオーミット家から追い出したことにもつながるのではないかと考えているようで眉間に深いしわを寄せた。


「それは確実ね。むしろ、メビウスを手ごまにしたいからフィーちゃんを追い出した可能性もあるわね」

「あ?」

「フィーちゃんがここにいるのは手の内かもねって、そんなことはわかっているでしょ」


 セフィーリアを追い出し、メビウスが彼女を迎え入れたことからラングラドの手の内だと言うのは2人ともわかっているようで店内で常連達にからかわれているセフィーリアへと視線を移す。

 2人の視線にセフィーリアは気づき、首を傾げて近づいて来ようとするがメビウスは何でもないとけだるそうに追い払うように手を振る。


「スパイにしてはポンコツだけどな」

「だから、ここに送り込めた気もするけどね。あんたの性格も計算の内ってことでしょ……もちろん、私の性格もね」


 自分がラングラドの策にはまっていることにまったく気が付いていない彼女の様子にメビウスは大きく肩を落とす。

 ターニアはメビウスや自分の性格を考えて、ラングラドが動いていると考えているようだが彼の手のうちで踊る気はないと言いたいのか楽しそうに口元を緩ませる。


「……性格を計算されているね。ずいぶんと安く見られたもんだ」

「お互いにね」


 彼女の様子にメビウスはろくでもない事が起きるのではないかと面倒くさそうに頭をかくのだが、ターニアと同様にラングラドの手のうちで踊る気などまったくないようである。

 ターニアは甥っ子の反応に頼りになると言いたいのか楽しそうにお酒をあおった。


「とりあえず、裏があっても利用価値があるなら、手のうちで踊っておくか?」

「そうしときなさい。少なくともオーミット家の後ろ盾があれば、ずいぶんと大きな面してうちの店に嫌がらせをしていたバカ達に痛い思いをさせられるわけだし」

「全面戦争か? ……楽しくなるな」


 元々、悩んでいたより、ターニアとの意思統一のつもりだったようで彼女の様子にメビウスは口元を緩ませる。

 ターニアも竜の焔亭に嫌がらせをしていた連中にはかなり腹を立てているようで2人は顔を見合わせると邪悪な笑みを浮かべて笑う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ