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11品目

「悪い。パイソンじゃなかった」

「ど、どう言う事ですか?」


 自分達に何が起きたかわからないようではあるが騎士達は対面する魔物に恐怖を抱いているのか小さく身体を震わせている。

 メビウスは騎士達の前に立ち、鉈を構えると出現した巨大な魔物が予想していた物とは違ったと話した直後、地面を勢いよく蹴り、巨大蛇に襲い掛かった。

 彼が駆け出す時に放った言葉にセフィーリアは声を上げるが威圧されている彼女はメビウスを追いかける事はできない。

 メビウスも彼女の声など気にする事もなく、魔物の眼前に飛び込むと鉈を躊躇する事無く、その巨大な頭へと振り下ろした。

 しかし、魔物はメビウスの動きを察していたようで上体をそらし、鉈を交わす。


「……簡単にはいかないか?」


 初撃を交わされた事にメビウスは面倒だと言いたげにため息を吐くがその視線が巨大蛇から外れる事はない。

 それは巨大蛇も同様であり、獲物を威圧して動きを止めてからゆっくりと食事にありつこうと考えていたのか邪魔された事へ対する怒りなのかメビウスを睨み付ける。

 メビウスと巨大蛇の視線が交差した瞬間、巨大蛇は口から紫色をした液体を吐き出した。

 液体はメビウスが立っていた場所へと向けられているのだが、その場所にはすでに彼の姿はない。

 ただ、液体が付着した地面はじゅううと何かが焦げるような音とともに紫色の煙を上げ、異臭を放ち始めている。


「な、何ですか?」

「毒液だ。食らわなければ何でもない。ただ、動けるようになったら、少し後ろに下がって布で口と鼻を塞いでおけ」

「ど、毒液って、そんな攻撃があるなんて聞いていませんよ!?」


 目の前の理解できない状況に騎士達は驚きを隠せないのだが、メビウスは彼らの前に着地すると後ろに下がるように指示を出すとすぐに巨大蛇に向かって駆け出して行く。

 パイソンの攻撃には毒液などなかったようで騎士達は声を上げるのだがメビウスは振り返る事はない。

 距離を縮めてくるメビウスに向かい、巨大蛇は毒液を吐き出して行くがメビウスは毒液がどこにくるかわかっているのか足を止める事無く巨大蛇に向かって行き、巨大蛇の頭の下まで移動する。


「……まずは毒抜きからだな。しかし、使い捨てか? もったいないが経費は別だしな」


 巨大蛇はメビウスがどこに行ったのか一瞬、見失ったようで周囲を見回しているが、メビウスは腰に差していたナイフの1本を抜き取り、巨大蛇の腹に突き刺すとすぐにナイフを手放して後方へ飛ぶ。

 突き刺さったナイフは紫色の煙を上げ、刃の部分が解けてしまったのかすぐに地面に落ちる。ただ、傷をつける事には成功したようで刺された箇所からは紫色の毒液と真っ赤な血が流れ出して行く。

 流れ出した毒液は地面に落ちると地面からは煙が上がり始める。流れ出した毒液は巨大蛇の体内にも回り始めたようで鱗の隙間からも煙が上がり始めた。

 毒液が身体を溶かして行く激痛に原因を作ったメビウスへと殺気を込めた視線を向ける巨大蛇。ただ、すでにメビウスは次の行動に移っている。

 巨大蛇の視線の先にはメビウスの姿はなく、彼は巨大蛇の背後に回り込むと2本目のナイフをその背に差し込むと血液と混じり始めた毒液が噴き出る前に距離を取る。

 毒液がナイフの刃を溶かしきると同時にナイフが刺さった個所からは毒液が混じった血液が吹き出す。吹き出した血液により、巨大蛇はその身体を内と外から同時に焼き始めて行く。

 巨大蛇は身体に走る痛みに逃げる事を選んだようで身体から煙を上げながら、メビウスから逃げ出そうとするが獲物を逃がす彼ではない。

 動く度に吹き出した血液がどこにまき散らされるかがまるで解っているように巨大蛇にメビウスは近づき、次々にナイフを突き刺す。

 その度に巨大蛇の身体からは血液が流れて行くのだが身体の中に流れている血液にも限りがあり、溢れ出て行く血液の勢いは徐々に弱くなって行く。

 身体の中からほとんどの血液が流れ出てしまったのか、巨大蛇の動きは鈍くなっている。

 巨大蛇は近づいてくる死の恐怖にこの恐怖を与えているメビウスを睨み付けようとするがすでにその目には力などはない。

 それにメビウスにとっての巨大蛇はただの食材でしかないため、目から溢れ出る敵意に構う事なく、地面を蹴ると巨大蛇の頭に向かって鉈を振り下ろした。


「さてと、さっさと下処理でもするか?」

「メ、メビウスさん、大丈夫なんですか?」

「蛇は生命力が強いからな。頭をつぶしても飛びかかってくる時はあるな」


 鉈で頭をつぶされた巨大蛇は巨大な音を立てて地面に崩れ落ちるのだがメビウスの興味の対象はすでに食材としての下準備に移っており、新しいナイフを抜き取ると鱗を剥がし始める。

 戦闘が終わり、身体の震えも治まったようでセフィーリア達はゆっくりと近づいてくるが騎士達はまだ巨大蛇が死んでいないのではと疑っているようで腰は引けているように見える。

 メビウスは手を止める事無く、まだ生きている可能性があると言うとセフィーリア達の足は止まってしまう。


「……情けない騎士様達で」

「じょ、冗談だったんですか?」

「可能性があるってだけだ。何年も酒に漬けていた蛇が生きていたって話もあるからな。それに頭をつぶしただけで心臓は動かしたままだからな」

「それなら、完全に殺してしまってからの方が」

「いや、心臓を動かしたままじゃないと毒が上手く抜けないからな……って、おい!? ったく、使えない」


 振り返る事はなくとも騎士達の足が止まった事にメビウスはため息を吐いた。彼の様子にセフィーリアはまた彼が悪質な冗談を言ったと思ったようで非難するような視線を向ける。

 メビウスは食材にするためには息の根を止めてしまってはいけないと言うと鱗をすべて取り除いたようで皮をはがしに取り掛かって行くのだがすでにメビウスの身体は巨大蛇の血で真っ赤に染まっている。

 騎士達はメビウスの話を聞いているうちにどこか安心したのかほっと胸をなで下ろした後、彼の身体が真っ赤に染まっている事に気がつき、顔を真っ青にして3人とも気を失ってしまう。

 目の前で倒れてしまった3人の様子にメビウスは大きく肩を落とすのだが目を覚ましてまた気を失われても面倒だと判断したようで彼らを介抱する事はない。


 メビウスの武器、鉈……現状、専用武器をどうするか考え中です。

 基本、戦闘は食材確保の狩猟だから剣とかよりは弓かなとも思っています。

 料理人だし、包丁? とも考えましたが狩りに包丁はやっぱり何か違うかな? と思ったためです。まあ、下処理もするから包丁を持っていてもおかしくはないんですけどね。

 一先ずはもう少し考えようと思いますが何かご意見ありましたら、活動報告でだらだら設定とか考えを書いていますのでそちらにご意見をお願いします。

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