其の四 鷹からの招待
競馬界が繁栄し競馬がより日常となった世界。
競馬道に青春をささげる者、また競馬道を利用し金儲けに走る者、そしてそれらを取り締まる者達の学園競馬をめぐるロマンと事件の人間模様。
ありさ編はありさから見た視点の物語である。
早朝だというのに紫彩のスマホが突然震えた。
着信音とともに勝手に動画が再生される。
画面には――
紫彩が馬房でホワイトキャットを手入れしている姿。
その背後に昨日のスーツの男が“紫彩を見ている影”が映っていた。
紫彩は震えながら私にしがみつく。
「なーよ……これいつ撮られたにゃ……?」
動画の最後に黒い文字が浮かぶ。
《ユニコーン話がある。来なければ紫彩とその白馬の走りを奪う。16:30 喫茶ブラックラビットへ来い》
私は息を呑んだ。
紫彩の肩が震えている。
守らなきゃ――その思いだけで胸がいっぱいになった。
放課後、私は急いで喫茶ブラックラビットへ向かった。
心臓がずっと早鐘を打っている。
約束の時間より5分早く到着した。
席に座ると持参したノートパソコンを開きメールをチェックする。
画面の端に見覚えのあるコードが一瞬だけ走った。
《EGL-Trace》
イーグル……?
胸がざわつく。
その時、黒いパーカーの男性が目の前に立った。
私のパソコンのステッカーを確認すると無言で向かいの席に座る。
私は震える声で話しかけた。
「……あの、紫彩の件で……来ました」
男性は眉をしかめ、腕を組んだ。
「なんの話だ?俺はこれを渡しに来ただけだ」
胸元から封筒を取り出し机の上に置く。
私は封筒に手を伸ばした――その瞬間。
隣の席からツインテールの少女が立ち上がり黒パーカーの男に銃口を向けた。
「そこまで!誰に依頼されたの?早く言った方が身のためだよ」
男は驚き両手を上げる。
「俺は……栄組の奴の依頼を受けて……これを渡しに来ただけだ……!」
ツインテールの少女は封筒を開く。
中には白紙が一枚。
「……囮ね」
その瞬間、私のノートパソコンにメッセージが届いた。
[そいつはただの囮。すぐにツインテールの女生と店を出て]
私は息を呑みノートパソコンを脇に抱えて立ち上がった。
ツインテールの少女が私の手を引き店の外へ誘導する。
店の外には、金髪ショートの女性と、
どう見ても子供にしか見えない少女が銃を構えて入口を固めていた。
「あなたは早くここから離れて!」
ツインテールの少女が叫ぶ。
私はたじろいだ。足がすくむ。
その時――
背後から両肩を掴まれた。
心臓が止まりそうになる。
振り返ると、スーツに身を固めた黒髪ロングの女性が立っていた。
先日学校で私に名刺を渡した女性だ。
「やっと会えたわねユニコーン。私がイーグルよ」
私を憧れのAlisaprojectへ誘った女性。
その女性こそが憧れ続けた天才ハッカーのイーグル?
黒髪ロングの女性は私の肩を掴んだまま、
まるで私の鼓動まで読み取るような鋭い瞳で見つめてきた。
「大丈夫?怪我はないかしら?」
その声は驚くほど優しくて、さっきまで銃声が飛び交いそうだった空気が一瞬で和らいだ。
私は震える声で答えた。
「大丈夫……でも、なんで……?」
イーグルは即答した。
「守り抜いてあげると言ったじゃない。」
その言葉は、胸の奥に直接触れてくるようだった。
イーグルはすぐに表情を切り替え鋭い声で指示を飛ばす。
「店の中に敵の残党が残っているわ。チームC突入して確保して頂戴!」
その合図と同時にツインテールの少女、金髪ショートの女性、そして子供のような少女――
三人が一斉に店内へ駆け込んだ。
動きが速い。
迷いがない。
まるで訓練された特殊部隊のようだった。
店内から怒号が響く。
「動くな!手を上げろ!」
「確保!」
「武器なし!拘束します!」
その直後パトカーが2台ブラックラビットの前に滑り込んできた。
サイレンの音が街に響き渡る。
警察官たちも店内へ突入し、チームCの少女たちと連携して残党を拘束していく。
私はその光景を呆然と見つめていた。
イーグルは私の肩から手を離し少しだけ柔らかい声で言った。
「怖かったでしょう。でも、もう大丈夫よ。あなたを狙っている連中は今日で一度動きを止めるわ」
私は息を呑んだ。
「……私を狙ってる?」
イーグルは静かに頷いた。
「ええ。あなたのハッキング履歴を辿ってあなたが“あの日の映像”に触れたことを知った者がいる。でもあなたをここに呼び出したのは敵じゃない」
私は目を見開いた。
「じゃあ……誰が?」
イーグルは微笑んだ。
「私よ!あなたを守るために敵にも同じ情報を流し誘導したの」
胸が熱くなる。
イーグルは続けた。
「でもね獅子戸組のハッカーは一枚上手だった。栄組の名義を使って“獅子戸組には関係ない”ように見せかけて捨て駒を動かした」
私は息を呑んだ。
「じゃあ……今日のこれは……」
イーグルは静かに言った。
「あなたが本物のハッカーと認められたのよ。ただそれは危険も意味する」
その言葉は私の胸の奥に深く突き刺さった。
「再度聞くわ、私に力を貸して頂戴!」
断る理由などなかった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
面白かった!応援してあげるという方は!
⇒ 下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくださいね!
応援してあげる!続きをチェックしたい!という方は
⇒ 【ブックマークに追加】をお願いします♪
競馬が趣味!タフカノ感をもっと味わいたいという方は
⇒ 【お座敷ちゃんねる】を検索してください!
皆様のポチッとひとつが、次のストーリーを書く大きなヒントとなります。
感想も気軽にお寄せいただけると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします!
先進ホールディングスとは競馬収益と有価証券等の財テクを収益柱とし2006年より運営してきた同人サークルです。
(C) 2006-2026 お座敷ちゃんねるfeat.さなの夢馬券 ターフのカノジョ製作委員会 All Rights Reserved.




