叫んでみよう!
はあ……。
スカートって、スースーする。
落ち着かないなあ……。
「いぇ~い!魔法少女!バンザ~イ!」
ユイナが槍を持って、踊る。
いや。だから、僕は、男だっ……。
「グルル……」
ん? グルル……だと……?
「うわあああ!」
巨大狼が再び動き出した!
全力で、逃げよう!
「逃げたら、ダメだよ~」
僕の首根っこをユイナが掴む。
鬼っ……!
「でも、武器なんて、何もないけど……」
「足と手に武器っぽいのがついてるじゃん」
ユイナに言われて、手袋を見る。
白くてかわいいこの手袋とブーツで……。
「殴って、蹴れと……!?」
「そゆこと~」
何なの! その通常攻撃!
でも、巨大狼はお怒りだ。
飛びかかってくる……!
「すいませえええん!」
拳が光り輝く。
ドゴォン!
巨大狼の顔に、まずは1発。
でも、また飛びかかってくる……!
「来ないでええええ!」
思わず、足を蹴りあげる。
狼ワンワン、ノックアウト……!
これ、僕のキックがよかったんだよね?
スカートの中身が見えたとかじゃ、ないよね?
「よ~し! ど派手に打ち上げちゃお~!」
「……何を!?」
僕、花火師も、副業すんの!?
「必殺技とかで!」
「ええっ!?」
だって、かわいいステッキ出してくれる、妖精さんとかいないよ!?
こんなに、ピンチなのに……!
「たとえば、愛と平和を入れたキラキラしたやつとか!」
「自分で作るの……!?」
どうせなら、僕の魔法グッズを、おもちゃにして、売ってほしかったな~……じゃなくて!
「頑張って! ラブリーピース!」
「う、う~ん……」
頑張っても、呪文は出てこない!
巨大狼、またじりじり迫ってきてるし!
「ほらほら~。ワンワンが~、君を~食べちゃうぞ~」
ユイナは、なんで、そんなに楽しそうなの!?
気分は、ハロウィンじゃん!
「そ、それだけは……」
飛びかかってくる巨大狼。
その後ろに輝く太陽。
決めた……!
「ラブリーピースシャイニングレイン!」
――叫ぶことを!




