突き破っちゃったあああ!
次の場所では、魔王がベッドに腰かけて、悩んでいた。
「ああ……眠れない……辛い……」
どうやら、不眠に悩んでるみたいだ。
「私は……どうしたら……」
ウネウネしたイバラが、魔王を包み込む。
え、魔王を吸収しようとしてる……!?
「そりゃあ、痛くて、眠れないってもんよ!」
ユイナが槍を構えた。
珍しく、気が合うね!
「エターナル・フルーティスト!」
情熱的な赤のオフショルダードレスを着て、横笛で優しい音色を奏でる!
「ああ……癒される……」
イバラたちの動きが止まったぞ!
「なんと……美しい……」
イバラが解けてきた……!
でも、こっちに向かってくる……!
「邪魔だ~っ!」
ユイナが僕の前に立ち、一瞬にして、イバラを灰にした。
「心に染み渡っていく……」
魔王は、そう呟くと、ベッドで眠ってしまった。おやすみなさい。
そして、また床が上へと動き出す!
今度は、空から炎が降ってきたぞ!
「私の……熱い気持ちを……皆に伝えたい……!」
さっきとは打ってかわって、拳を握り締めて、苦悩する魔王が立っていた。
「でも……どうやって、伝えたらいいのか、わからないんだあああ!」
魔王がさらさらの黒髪を振り乱しながら、頭を抱えている。もしかして、真の姿って……。
「魔王の中に眠る弱い心……のこと……?」
「表じゃ、あんなに堂々としてたのに……」
ユイナの言う通りだ。そして、それをわざわざ、僕らに晒している。
「きっと、これが、本当の魔王なんだ……」
ここへ来る前の僕を見ているみたいだ。
本当は弱いと知ってほしい。
それなのに、強いと言い聞かせて、周りの人と戦ってる。
魔王のそんな姿に、胸がきゅっと締め付けられた。
「じゃ、ラブリーピースの想いをしたためて、プレゼントしちゃいましょ~!」
もちろん! 僕は深呼吸をして、思い切り叫んだ。
「エターナル・書道パフォーマー!」
ポニーテールに、袴! 大きな筆を持って、準備は完了だ!
地面に向かって、文字を書く。
「まぶしくなくても ちいさくても」
「ぐっ……!」
「あなたのきもちは つたわってるよ」
「ありが……とう……」
魔王がふっと消えていく。
そして、ガコンガコンと床がまた上がった。
多分、これで、最後……いや、なんでもない。
ネタバレ禁止……ですよね!
「私は、相手を思って、厳しくしただけなのに……」
魔王の目の前には、モンスターたちがぐったりと倒れている。
「それを世間では、パワハラと言う!」
ユイナがどやあ……と槍を構える。
え、もしかして、魔王はパワハラという概念を知らない……?
「みんなが……私から離れていく……寂しい……寂しい……」
パワハラあるある~。そう思うのなら、やめていただこう!
「エターナル・フィギュアスケーター!」
軽やかに、楽しく、魔王の周りを舞い踊る!
「そうか……そういうことだったんだな……」
魔王がふっと消えていく。
自分も、みんなも、楽しいのが1番!
僕の想い、伝わったみたいだね!
そして、床が、ゴゴゴゴと上へと動き出す。
気づけば、天井が目の前に迫っていた。
ちょっ、ちょっと……ぶつかる……!
「ラブリーピース☆サンシェードパラソル!」
僕とユイナの上にフリルたっぷりの日傘が出現した。僕は、バリアが欲しかっただけなのに!
「日傘じゃ、効果ないっしょ!」
ユイナがキャッキャと笑う。
はい、おっしゃる通りです!
バコオオオン!
ああ!傘ごと、天井を突き破っちゃったあああ!




