表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/56

心の赴くままに、舞い踊ろう!

司会者が魔法おばあちゃんたちから、審査表を持って、素早く計算している。

その間も、じとっとした圧が伝わってくる。


「素晴らしかったぞ。ラブリーピース」


寒いのか、地味コート姿に戻った魔王が話しかけてきた。手には、ホットワインが入ったグラスを持っている。


「あ、ありがとうございます……」


「……だが、勝つのは、この私だ」


魔王が髪をかきあげる。すでに勝ったみたいな余裕のある顔をしている。


いや、待って!その自信、どこから来るの!?

あんなに失敗してたのに!


「それでは、結果を発表します!」


あ。計算が終わったみたいだ。おばあちゃんたちが、互いに頷き合っている。


「審査員は、勝者と思われる組の札を上げなあああっ!」


アナスタシアの号令のもと、蛍光色カラーのおばあちゃんたちが、手元の札を上げていく。


その結果……。


「5人全員がラブリーピース……!」


どこからともなく、クラッカーが鳴る音が聞こえる。街は、祝福ムードに包まれた。


「やったああああ!」


思わず、ガッツポーズしちゃった。

努力が報われたんだ……!

そんな余韻に浸る間もなく、足音が近づく。


「すごいよ! ラブリーピース!」


ユイナが人混みをかき分けて、僕に抱きついた! いや、これは……抱きついているっていうか……。


「ユイナ! 首を絞めないで!」


僕は、もう、死にたくないよ!

だって、1人でも多くの誰かを笑顔にしたいから!


「わあああい!」


――ポヨォォォン!


その上から青いスライムたちが降ってきた!


「ぎゃあああ!」


さすがに立っていられず、僕は、尻餅をついた。はあ……道が凍ってるから、体にダイレクトに響くなあ……。


「審査が不公正だ!」


そんな祝福ムードの中、珍しく、魔王が怒鳴った。いやいや。試合は、スポーツマンシップに乗っ取ってやろうよ。


アナスタシアが魔王を睨みつける。


「アンタ、私の審査にケチつけるっていうのかい?」


「……ならば、審査表を見せろ!」


アナスタシアが鼻で笑って、魔王に審査表を突き付けた。


「そんな……」


魔王が力なく座り込んだ。赤いスライムたちが、しょんぼりしている。よっぽど、悪かったみたいだ。


「これが証拠さ。私たちは、公平に審査を行っただろう?」


蛍光色カラーのおばあちゃんたちが、そうだ、そうだと加勢する。密集して、抗議すると壮観だな。


でも、魔王も負けてない。


「贔屓だ!この私がもう1度、踊ってみせよう」


スタスタと1人でリンクへ向かっていく。

ちょっ……! 勝手にエキシビションしないでよ!


そう言おうとした時――。


「ダメええええ!」


赤いスライムたちと青いスライムたちが、ほぼ同時に魔王にアタックした。


「ぐはあっ……!」


スライムはポヨォォォンとしているとはいえ、数が揃えば強い。合体してなくても、威力は抜群だ。魔王がその場に倒れ込む。

その隙に、アナスタシアが手際よく、スケート靴を履き替えさせた。


え、もしかして、この人、魔法の靴で踊ってたの……! ?

あなたのスポーツマンシップって、何……!?


「ラブリーピース。これで、もう1曲頼むよ」


アナスタシアが笑顔で魔法の靴を差し出す。


「ありがとうございます」


魔法の靴を受け取り、その場で履き替える。

靴を履いた途端に、僕の体は温かい光に包まれた。そして、再び、地面に降り立った時には、背中に、白い羽が生えていた。


「エターナル・フィギュアスケーター!」


この姿になって、やること……それは、街の人を巻き込んで、笑顔で楽しく舞うことだ。


氷の上だけでなく、屋根の上でも、通りの角でも、笑顔が弾けるように。


「魔法少女様のエキシビション、開幕~っ!」


「……うん!」


さあ!みんなで踊ろう! 心の赴くままに!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ