笑顔の舞い
青いスライムたちと一緒に、リンクに立つ。
大丈夫。僕らなら、できる……!
「それでは、ミュージックスタート!」
優雅な音楽が会場を包み込む。
リンクの外の魔法おばあちゃんの圧も始まってしまえば、気にならない。
スライムたちと一緒に隊列を作って、リンクをスイスイと滑る。
まずは、ジャンプからだ。
――ポヨォォォン!
スライムたちが、1匹ずつ飛んで、着地していく。みんな、とっても楽しそう。
そして、最後は僕――ラブリーピースの番だ。
「ラブリーピース! 大技を決めました!」
着氷した途端に、観客が沸く声が聞こえる。
よし。成功だ。
「あれはトリプルアクセルだね。なかなか筋がいいじゃないか」
アナスタシアの解説の手応えもいい。スライムの性質を利用したジャンプ、いい感じに映えたぞ。
「よし。スライムたち、おいで!」
「わあああい!」
スライムたちが、僕の右手に乗る。
僕は、ラーメン屋の出前のお兄さんのように、滑り続ける。
「ラブリーピース☆スライムタワー!」
あ! つい、叫んじゃった!
でも、今日、魔法は一切使いません!
「さあ! ここから、どうするのでしょうか!」
観客から熱い視線が注がれる中、僕は、1匹のスライムを右から左へ投げた。そして、2匹、3匹と数を増やしていく。
「ラブリーピース☆ジャグリングスライム!」
足のステップも忘れない……というか、楽しくて、動いちゃう!
今なら世界も行ける気がする!
「わあああい!」
「ふん。楽しそうじゃないか」
審査員の前では、より笑顔でキッチリ決めながら、滑る。
そして、全てのスライムたちをむぎゅっとして……空へ投げる!
「ラブリーピース☆スライムトスジャンプ!」
スライムたちが、落ちてくる前に、その下をくぐり抜けながらジャンプ。見た目はフィギュアスケートのリフトっぽい演出だ。
そして、スライムたちが、各自でポーズをしながら、自主演技「全力で跳ねる」をしている間に、ピンクの長いモールを取り出す!
「ここで、チーム魔法少女が、長いモールを取り出しました」
ユイナが買ってきてくれた、ピンクのモール。
派手好きなおばあちゃんたちに、PRするのに、うってつけだ。
スライムたちと一緒に「ハート形」を作っていく。あんなに自由だったスライムたちが、ちゃんと位置についている。
「素晴らしいフォーメーションダンスです!」
「そろっているから、可愛さ倍増だね」
アナスタシアの解説を聞きながら、音楽に合わせて、的確にステップを踏んでいく。
もう少しで、音楽が終わる!
最後の最後まで、楽しく、笑顔で……ミスなく踊りきった!
観客から歓声が上がる。
見ている人も、楽しそうに笑っていた。
「チーム魔法少女! 基礎点、出来映え点ともに、完璧です!」
司会者がおばあちゃんたちの圧から解放されて、のびのびと実況している。
「くうっ……化粧が崩れるじゃないか……っ!」
アナスタシアは、ハンカチを持って、目元を拭っている。ハンカチの大きなバラ模様が遠くからでも、よく見えた。
ここに来るまで思いもしなかった。
誰かを笑顔にできることが、こんなに幸せなことだ……なんて。




