ミニスカサンタが褒めまくる!
青いスライムたちは、氷の上に乗った途端に好き放題動き始めた。
もう……自由奔放なんだから……。
僕は、覚悟を決めて、深呼吸した。
「ラブリーピース☆ホイッスル!」
そう叫ぶと、赤いホイッスルが、僕の首にかかった。それでは、咥えて、吹いてみよう。
――ピピ~ッ!
「集合~っ!」
スライムたちがびっくりして、ポヨポヨと集まってきた。
僕のキャラじゃないけど、やるしかない。
「よし。じゃ、まずは一列に並ぼう」
スライムたちを横一列に並べると、氷の上で小さな波のように並んだ。かわいい。
「いい感じだね」
褒めると、スライムたちの体がふにゃりと明るく揺れる。
令和式の褒めて伸ばす、ここに開幕。
「いい感じだね。じゃあ、次は、ハートの形を作ってみようか」
五匹をバランスよく配置していく。
それっぽくはなったけど、もうひと押し、何か欲しいなあ。
そのとき、背後から賑やかな声がした。
「お。ハート型、いいじゃん! かわい~!」
振り返ると、ユイナが体より、ひと回り大きな風呂敷を背負って、立っていた。
「……何なの、その荷物」
「これはね……!」
ユイナが地面に風呂敷を広げる。中からクリスマスパーティーのグッズがどっさり飛び出した。
トナカイのカチューシャ、もこもこの服、蛍光色のマフラーまで。
短時間で、よくこんなに集めてきたな……僕は、君を尊敬するよ。
「せっかくだから、トナカイのカチューシャでもつけて、モコモコの服でも着せようかな~って」
確かに、スライムたちに着せたら映えそうだ。
フォーメーション問題は、これで解決できる! ユイナ、グッジョブ!
「安心して。ラブリーピースの分もあるから」
ユイナが、次に取り出したのは、赤い服とスカート、そして三角帽子。
これは、まさか……!
――ミニスカサンタ!
「……僕もやるの?」
「うん! 指導者も楽しまなくっちゃね!」
楽しんでるのはユイナのほうだ。せめて、トナカイ役にしてほしい。
「さあ! みんな、しゅ~ご~!」
ユイナが手際よくスライムたちに衣装を着せていく。僕も、ミニスカサンタに衣装チェンジ。
まあ、氷に映る姿は、どう見ても、クリスマス時期のアイドルユニットだけど。
「……僕たち、アイドルだったっけ?」
「いいじゃん! 滑れるアイドルとか、絶対売れるよ!」
「わあああい!」
スライムたちもノリノリだ。
「もう……」
「だって、あれは嫌でしょ?」
ユイナの視線の先では、魔王が引き続き、体罰という名の練習をしている。
「スライムたちよ!勝利のために、回れ!回って、回って、回りまくるのだ!」
根性論全開。今まで見てきた中で、1番、魔王様っぽいことしてるな。怖い、怖い。
「よし。じゃあ、ここからはアイスダンスっぽい技を開発しよっか」
「わあああい!」
ユイナが、ポヨンと跳ねるスライムをキャッチして、軽々とトス。
そのまま――スライムアターック!
「うわあ! なんか飛んできた!」
スライムがものすごい勢いで地面に叩きつけられた!
平和に協力してもらうはずが、まさかの戦闘練習に……!
青いスライムたちもびっくりして固まっている。
……どうするの! このへんな空気!
「いいね! アイスダンスっぽい!」
「投げるのが……!?」
「だって、アイスダンスって、男性が女性をぽ~いって投げるじゃん」
確かにあるけど、今のは完全にバレーのアタックだよ!
「よ~し! 空中へぽいぽいしよ~!」
空き缶を捨てるみたいに、言わないで!
スライムたちは生きてるんだよ!
「優しくやるから、大丈夫だよ」
そう囁くと、スライムたちが恐る恐る近づいてきた。
投げられても信じてくれるのが、ちょっと嬉しい。
僕が投げ、スライムが空中でウインクして着地する。
――見事に決まった!
「すごいね。君たちのおかげで、ひとつ、技ができたよ」
「わあああい!」
スライムたちが嬉しそうに跳ねる。
褒めるって、やっぱり最強の魔法だ。
この調子で練習を積めば、きっと――。
魔王に勝てる。令和の力で。




