この筆で、みんなを守る!
手を伸ばしたものの、腕の長さが短い僕は、圧倒的に不利だ。
まずい! このままでは、魔王に負ける。
そう思った時――。
「くっ……!」
魔法の筆が、あなたじゃない! と言わんばかりに、金色に、ピカピカと輝き始めた。
魔王は眩しくて見えないみたいだけど、僕には見える……!
じゃあ、その隙に……!
「取った……!」
――いただきました!
魔法の筆は、ドヤアと言わんばかりに輝いている。
「おお……なんと、神秘的な光……!」
「そうですね……」
「やはり、その筆は、お前にこそ、ふさわしいのだな」
魔王も感激雨あられのようだ。
まあ、どちらかというと、お帰りなさい……ってところだよね。
でも、ほっと胸を撫で下ろせたのも、束の間。
ゴゴゴゴゴ……と地割れのような音がして、岩が崩れ落ち始めた。
「あ。ちょいと、暴れすぎたみたいッス」
「……えっ?」
ゴーレムがやっちまったという顔をしている。
確かに、最後に壊れるのは、遺跡のお約束だけど……今、ここでは、やめて!
「くっ……私も、もはやここまでか……」
魔王がガクッと肩を落とす。
いや、私だけじゃなく、みんな、ここまでになるよ!
「ラブリーピース!なんとかして!」
ユイナが、僕に向かってマイクで叫ぶ!
そんなに叫んだら、僕がなんとかする前に壊れちゃうよっ!
「筆の力を使え! 今なら、ラブリーピースの手助けができるはずだ!」
さすが、どんな時でも、冷静なサラサだ。
僕は、深く頷いた。
「……うん!」
もちろん、唱える言葉は、わかってる。
「エターナル・書道パフォーマー!」
髪はポニーテールに、服は袴に、そして、足は裸足に変わっていく。
体の半分くらいある大きな筆を持ったら、完成だ!
「おお……」
魔王がうっとりしている。
和洋折衷な感じで、目新しいのかもしれない。
「かっわい~!そして、かっこい~!」
「ああ。とても似合っているぞ」
ユイナとサラサに褒められて、ちょっと照れる。いやあ……それほどでも……。
……という間にも、地響きは、どんどん大きくなっていく。
――よし。決めた。
僕が、この筆で、必ず、みんなを守る……!




