チンピラに筆
太陽の光がサンサンと降り注ぐ砂漠。
コブラの肉を背負ったユイナと赤いジャージのサラサの後ろを、少し離れて、ついていく。
こうして見ると、奇抜な組み合わせだな。
いや、失礼なのは、わかってる。でも、たまに、すれ違う行商人がぎょっとしてるから、あながち間違いではないと思う。
「……ってか、サラサは遺跡の調査中なんだっけ?」
「はい……ですが、その途中に、私の大事な筆をゴーレムに奪われてしまいまして……」
「えっ!? 大変じゃん!」
お!ユイナが事の大変さに気づいた。
成長を感じるぞ。
「そうです。だから、砂漠が、モンスターで溢れているのです」
なるほど……。そういうことだったのか。
また出くわさないことを祈ろう。
「じゃ、それを取り戻すしかないね。どこにあるんだろ~」
「今、向かっております」
「え? そうなの?」
「ここです」
サラサが足を止める。
そこには、石を積み重ねてできた三角形の建物がそびえたっていた。ピラミッドより一回り大きな建物だ。スフィンクスはいないけど。その代わり、何か入口に書かれている。
「何なの? この落書き……」
「これは、封印です」
サラサが指差したところには、確かに、モニャモニャ~と何か書かれている。なんて書いてあるのか……腕を組んで、考えてみる。
あれ……見たことあるぞ……。
――あ! 閃いた!
「これ、漢字のくずし字だ!」
「なんだ? それは」
「僕が昔いた国の古い言葉なんです」
まさか、ここに来て、書道五段……の腕前が役に立つとは。
「なんて、書いてあるの~?」
「えっと、ここに触れろって、書いてある」
モニャモニャ……じゃなくて、くずし字の通り、扉の真ん中に手をそっとかざす。その瞬間、扉がギィ……と鈍い音を立てながら、開いた……けど。
「ちぃ~す! 姉ちゃん!」
そこには、リーゼントのようなカツラを頭に乗せ、学ランのような服を着たゴーレムが立っていた。
見た目といい、喋り方といい……安っぽいチンピラにしか見えない。
「お前……それが、何か分かってるのか!?」
サラサがゴーレムを睨み付けた。
ゴーレムの手がきらきらと輝く。
もしかして、筆を持っている……?
「ん~……売ると、高いやつッスかね?」
ゴーレムは顎に手を当てて、考え込んでいる。
猫に小判ならぬ、チンピラに筆!
また、ヤバそうなのが出てきたぞ……!




