魔法少女に日サロは不要!
ジャンと別れて、しばらく歩くと、海がだんだん遠ざかってきた。
気づけば――灼熱の太陽が照りつける、果てしない砂漠のど真ん中を歩いていた。
暑い……。
日傘を差して、全身を白い布で覆っても、なお、暑い。
地面からの照り返しが強すぎて、頭がクラクラする。
でも、ユイナは日焼け対策もせず、普段通り堂々と歩いていた。
「ユイナは、全然暑くなさそうだね……」
「人間は鍛えてなんぼっしょ!」
ユイナは満面の笑みで答える。
この天然のサウナで顔色ひとつ変えないなんて……強すぎる。
この人、属性耐性もあるのかな。最強だな。
「ほらほら! ぼ~っとしてないで、ちゃちゃちゃっと晩ごはん、狩っちゃお~!」
「え? どこにモンスターが……?」
辺りを見渡す。
その瞬間――。
ドオオオン!!
うわあっ! 砂丘だと思っていたところから、何か出てきた!
にょろにょろしたしっぽ、平たい胸元、鋭い眼光……これは……!
「ヘビはヘビでも、コブラだね」
ユイナが笑顔で言う。
見ればわかるよ! 冷静に分析しないで!
コブラは僕らに興味がないらしく、背を向けて、オアシスらしい街のほうへと進んでいく。
ちょっ……! 待って……!
「ほらほら。このままだと、街がなくなっちゃうよ、フーマ」
はあ……そんな体力、残ってないんだけど……。
でも、仕方ないか。
僕は渋々コンパクトを手に取った。
お約束の変身――もはや慣れたもの。
「あなたに愛を。この国に平和を!」
頬の横でピースサイン!
「魔法少女ラブリーピース!」
きらきらきら~ん☆
「なんだか、サマになってきたね」
「そ、そう……?」
それより……このノースリーブにミニスカの衣装、風はスースーするのに、妙に暑いというか……。
……そっか! 布面積が少ないぶん、紫外線がダイレクトに肌へ吸収されてるんだ!
もしかして、ここ――天然の日サロ!?
やばい! このままだと焼けちゃうっ!
「急ごう! ユイナ!」
「え? なんで?」
「いや……だって、暑いし……」
「ま、いいや。黒こげになる前に、黒こげにしちゃおう!」
ユイナが槍を構え、太陽を背に笑う。
その笑顔が、ちょっとだけ――太陽より眩しかった。
果たして僕は、平成のガングロギャルにならずに済むのか……。
暑い、そして熱い戦いが、今、始まろうとしていた。




