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あーかい部! 13話 昆虫食

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。

そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。


3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!

趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!

面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!

独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)


そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「「「……。」」」




きはだ、ひいろ、白ちゃん先生は机上に鎮座する若干透明な茶色のゼリーと対峙していた。




「?」




顔を引き()らせる3人を前に、あさぎは無垢な顔で首を傾げていた。




「……いや、あさぎ?気持ちは嬉しいけどな?」


「?」


「『?』じゃないのよ。」


「?」


「蓋に書いてある文字読んでみて?」


「クリケットゼリー。」


「「「コオロギじゃねーか!?」」」


「うん。いけるよ?……美味しくはないけど。」


「あさぎ、美味しくないものは人に勧めるな……!」


「え〜……。」


「だいたいなんで昆虫食なんて振る舞おうと思ったのよ?」


「面白そうだから?」


「ネタに困ってるなら力になるから……さ?こういうのはやめにしておかないか?」


「別に困ってるわけじゃないよ?」


「むぐむぐ……いけなくはないかなぁ。美味しくないけど。」


「ぅおおおい!何食ってんだきはだ!?」




いつの間にかきはだがクリケットゼリーをご賞味していた。




「何って、クリケ……昆虫ゼリー。」


「なんで言い直すのよ……しかも、より食欲が失せる方向に……!」


「昆虫ゼリー、昆虫ゼリー、昆虫ゼリー…………よし!いただきますっ!」




続いてひいろが覚悟を決めて口にゼリーを放り込んだ。




「覚悟の決め方それでいいの……?」


「ま〜あ、コオロギって思うよりは楽かもねぇ。」


「1回食べちゃったら吹っ切れるけどね。」


「それな。」


「…………焦げたエビの尻尾?」


「確かにそんな感じかも。」


「うん、美味しくはないけど食べられるな。」


「♪」




2人の『食べられる』というコメントにあさぎは気をよくして満面の笑みで白ちゃんにクリケットゼリーを差し出した。




「『どうぞ♪』の圧力やめなさい。」


「わたしとひいろちゃんは食べたよぉ?」


「……食の好みは人それぞれよ。」


「養護教諭が好き嫌いするなんて、良くないよなあ?」


「私を道連れにしたいだけでしょう……!」


「……。」




クリケットゼリーを食べようとしない白ちゃんに、あさぎはしょんぼりしてしまった。




「『食べてくれないの……?』の顔やめなさい。あさぎちゃん、もっと喋る子だったわよね?」


「……。」


「…………、あ〜もうわかった、わかったから!食べるからその上目遣いやめなさい。」


「よし。」

「よし!」

「ヨシ!」




白ちゃんから言質(げんち)をとった3人は片足を上げ、何が『ヨシ』なのかはわからないが揃って明後日の方向を指差した。




「さあさあ白ちゃん先生、ご賞味。」


「急に喋るわね……。」


「これで白ちゃんも虫童貞卒業だねぇ。」


「初物の白ちゃんも見納めか……。」


「おい。……まあいいわ、いただきます。」


「おお……!」


「一口でいった!」


「むぐむぐ……美味しくはないわね。」


「昆虫ゼリーとどっちが美味しい?」


「カブトムシ用の方がまだほんのり甘いぶんマシね。」




なんだかんだ言いつつ、白ちゃんはクリケットゼリーを完食した。




「あさぎはこれ、どこから仕入れてきたんだ?このゼリー、色々英語で書いてあるようだが……。」


「ほんとだぁ〜、国産じゃない。」


「旅行のお土産かしら?」


「お隣さんがくれました。」


「お隣さんぶっ飛んでるな。」


「まったくよ。とんでもないヤツね!」


「でも仲良しなんだね〜。」


「仲は……いいのかな?」


「そこは疑問系なんだな。」


「でも白ちゃん先生が昆虫好きじゃないのはちょっと意外です。」


「そう?」


「一応、子どもに好き嫌いするなって言う立場の人じゃないですか。」


「「一応な(ねぇ)。」」


「そこ聞こえてんぞ?」


「養護教諭でも嫌いなものあるんだねぇ。」


「私は養護教諭である前に1人の女の子だもの。」


「うわ……。」

「きっつ……。」

「う"ぷ……。」


「女の子よね……?」


「まあ好き嫌いは誰にでもあるよねぇ。」


「そうよ。」


「たまたま嫌いなコオロギに当たっちゃって災難でしたね……。」


「他の虫が好きなわけでもないからね?」


「昆虫食って、『他の』って言うほど種類あるのか?」


「う〜ん……イナゴ、バッタ、コオロギ……。」


「なんか似たようなヤツらばっかだな。」


「あとはセミとかクモとかタガメら辺?」


「一気にゲテモノ感増したわね。」


「カブトムシとかは流石に硬くて食べられないか。」


「食べられたとしてひいろは食べたい?」


「……昆虫ゼリーでいいな。」


「やはり時代は昆虫ゼリー……!」


「そんな時代は来ません。」






あーかい部!(4)




あさぎ:投稿完了っと


ひいろ:お隣さんにお礼言っておいてくれ


あさぎ:了解


ひいろ:美味しくはなかったとも


あさぎ:了解


あさぎ:お隣さんめっちゃ笑ってる


白ちゃん:やっぱろくなヤツじゃないわね


きはだ:ナチュラルに『いる』の怖え


あさぎ:海外だとミルワームとか蚕の蛹とかセミの幼虫なんかが珍味なんだって


きはだ:うわぁ食べたくない


白ちゃん:食べなくていいわよそんなの


ひいろ:もっと美味しい食材はたくさんあるもんな


あさぎ:でもどんな味か興味ないですか?→白ちゃん先生


きはだ:名指しwww


白ちゃん:なんで私なのよ……ないに決まってるじゃない


ひいろ:そういえば蜂の子はピーナッツみたいな味がするって聞いたことあるぞ


白ちゃん:なにそれ


きはだ:興味引かれてて草ァ!


あさぎ:お隣さん蜂の子は持ってないって


白ちゃん:用意せんでええ


ひいろ:もし持ってたら食べさせられたのか……白ちゃんが


きはだ:バグイーター白久


白ちゃん:ま〜た変なあだ名つけようとして!


あさぎ:レディーバグ


白ちゃん:後ろ半分いらない


きはだ:高いところ好きそう


白ちゃん:あ!?テントウムシやないかい!


ひいろ:半分取ったぞ

ひいろ:3.5ホシテントウ


きはだ:そこそこ高評価www


白ちゃん:バグの方残してどうするのよ


あさぎ:白ちゃん☆3.5


白ちゃん:レビューするな


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