昔みたいに
僕の目の前にいたのは
「……ゆ、幸也……?」
??!!
か、佳奈ちゃんじゃないかー!!
「ああああののののの……」
吃音が加速する!
いつかのトラウマが蘇ってまともに言葉が出てこない!
「あ、あんた……もしかして私を庇って……」
「そそそそ」
そんなんじゃない!たまたまだ!って言いたかったけど、身体がいうことを聞いてくれない。
「おい、我妻!落ち着け!中でケガしてるかもしれないだろ!」
「でもッ中に佳奈…漆原が!下敷きになってんだ!」
「ゆっくり剥がすぞ。端っこ持て!」
僕と佳奈ちゃんの他にも何人かが天幕の下敷きになってしまったみたい。
倒れている生徒の足が見えた。側からみたら僕が天幕から佳奈ちゃんを守ってるみたいに見える……意図してないけど実際そういう形になっちゃってるし……
天幕がどかされて、僕たちはやっと外の空気を吸えることができた。
「佳奈ッ?!大丈夫か!!」
将吾君は真っ先に佳奈ちゃんの元に来て佳奈ちゃんの両肩を掴んだ。
「だ、大丈夫だよ。ちょっと、将吾、痛い……」
「ご、ごめんッ強く握りすぎた…どっか怪我はないか?」
「平気。その……ゆ、幸也が庇ってくれたから……」
相変わらず仲が良いんだなー、
なんて眺めてたら、急に僕に水を向けられた!
将吾君は少し驚いたような表情で僕を見ると、すぐに強い目線で僕を睨みつけた。
なぜー……
「佳奈、保健室に連れてってやる」
「いいよ。どこも痛くないし」
「念のため行っておきなさい。愛善君もよ」
近くにいた教師に促されてしまった。
涼しい保健室に避難できるのは嬉しいけど、佳奈ちゃんたちと同じなのはちょっと嫌だな……
「分かりました」
適当に返事をして、佳奈ちゃんと将吾君を見送った後、僕はすんごく遠回りをして保健室に向かうことにした。
*
応援に来ていた両親にうるさくいろいろ聞かれたけど適当にあしらい、校舎をぐるっと迂回して昇降口から保健室に向かう。
遠回りをしたけど大して時間は稼げなかった。
あまり時間は経ってないけど、ちょっとだけ保健室を覗いてみることにしよう。
そっ
ドアを少しだけ開けてみる
位置的に中に人がいるかどうか分からない
少しだけ耳をそば立ててみたけど中から何も聞こえない
ほっとしたところで中に入ってみたら
「あ、幸也。遅くない?保健室来るの」
佳奈ちゃんいるじゃーん!!
どうしよう……
めっちゃ気まずい……
将吾君は……もう戻っているみたいだな
いたらいたでもっと気まずいけど
僕は幽霊のようにスススッとベッドの方に向かった。
「無視?!はぁ〜あんた本当相変わらずね」
「ごごごめん……」
「謝るくらいならしなきゃいいじゃん」
謝る必要なんかないんだけど、どうも萎縮してしまう。
「……それ、大丈夫なの?」
それ?
ああ、頭の怪我のことか
「だ大丈夫……もう、い、痛くない」
「そう……」
「…………」
「…………」
沈黙……
僕から話すことなんてなにもない。
佳奈ちゃんは将吾君と同じく1番の友達だと思ってた。
でも、あの時、2人の心無い言葉で、僕は友達というものがなんなのかが、何も分からなくなってしまったんだ。
今だってうまく友達をつくることができないでいる……
ベッドで少し横になろうかなって思ってたけど、やっぱり戻ろう……
僕は佳奈ちゃんの横を素通りして出入り口のドアに手をかけた。
「待って!」
タシッと佳奈ちゃんが僕の手首を掴んだ
「なななななッ??!」
「あ、あの……さっきは……あり、がと……守ってくれて……」
守ったつもりなどないのだが?!
なんなんだよ急に!
今さら優しくしたって、本心じゃないってことは分かってんだぞ!
そうだよ……
分かってんだ……
でも……
ドクドクと痛いくらい心臓が鳴っている
僕は振り返ることも、掴まれた手を振り解くこともできないままフリーズするしかなかった
時間がゆっくり進む
それに反するように、鼓動がさらに早まっていく
僕、今、絶対に顔が赤くなってる……
「ねぇ、幸也……私たち、また、昔みたいに……」
ガラッ
佳奈ちゃんの言葉を遮るように
目の前のドアが開いた
「愛善、君……?」
そこにいたのは
藍川さんだった
お読みくださりありがとうございます!
良い点悪い点、何でもよいのですが感想をいただけると今度の作話の励みになります。
これからもどうぞよろしくお願いします^_^




