脈しかねぇな
おっし
今日のデイリークエストはあらかたクリアした。
あとは、来たるアップデートに向けて金策だ。
今回はいつもと違うエリアに行ってみよう。
魔物の素材を集めてアイテムを作りでもしようかな。
やってきたのは[ファシフォー]の中級あたりのエリア。
初心者を脱したプレイヤーがレベル上げのためにやっ来る所でもある。
あれ……?
まばらなプレイヤーの中、著しくHPを減らして今にもタヒりそうな人がいる。
と、思ったら前にお手伝いしてあげた10さん?じゃないか。
回復魔法をかけてあげよう。
――
なんとか危機は免れたかな。
【10さんこんばんは!】
【こんばんは】
チャットの返答が早くなってる!
それに、前に会った時は、ほぼ初期装備だったけど、だいぶレベルが上がったのか、見た目少しがオシャレになってる。
見た目が変わったからなのかな、まさに「ザ・美」って感じ
【回復ありがとうございます】
【いえいえ今日もレベル上げ?】
【はい昨日も遅かったから今日はソロデイリーだけやります】
【そっか。頑張ってください!】
【ありがとうございます】
それだけ言うとぴゅ〜っと走り去ってしまった。
きっとハマったんだなこの[ファシフォー]沼に。
やっぱり嬉しいな。
「テンさんも大分慣れてきたみたいだなぁ」
『テンさん?』
「10さんって、何か呼びにくい感じがするんだ」
『だからテンさん。……あんたはチャ◯ズか』
「ああそうですね。僕は脇役だ。それも名脇役。なぜなら僕はこの世界ではちょっとは名前が知られてるんだからな」
『ふーんソウデスカ……そのゲームそんなに楽しい?』
「そうだね、マホもできるといいのにね」
『……あたしは別にいい。どうせできないし。そういえばあたしのパパも同じようなゲームしてた』
「そうなんだ。[ファシフォー]だった?」
『どうだろ。同じようなゲームやってたよ』
マホは幽霊って設定だからな。家族のことあまり深掘りはしない方がいいよね。
『……ていうか、ユッキーは中3っしょ?もっとやることあるんじゃないの?彼女つくるとか、受験勉強とか、恋をするとか、彼女つくるとか……』
「……やることが恋愛関連に偏りすぎてないか?」
『恋愛は心の栄養でしょ?そんなんじゃいつまでもガキのまんまだぞ?』
なんだろう……
母さんや妹と話しているみたいにイラッとする
「よ、余計なお世話だよ。僕だってちゃんと考えてるんだから!」
『考えてる、ねぇ……そういえばさ、ユッキーの前の席の子、あいかわさん?下の名前は?』
なんで藍川さんの名前が出てくるんだよ!
嫌な予感しかしない……
「あ、藍川さん?……伊織だったかな…多分」
『ふーん……やっぱりそうか』
「な、何がやっぱりなの?」
『……別に。ちゃんとフルネームで覚えてるだなって思ってさ。そりゃそうか、めっっっちゃ可愛いもんね』
これはきっと僕のことをからかっているのだろうな……
意地悪なこともう言わないって泣いて叫んでたくせにさ。
「ああそうだね。めっちゃモテるし何人もの男子に告白されたみたいだしね!今日だって生徒会長の篁君と仲良く話してて、それで……」
じぶんが言った言葉で
何で僕はこんな気持ちになってるんだろう
僕には関係のないことだって思っていたのに
『……カワイイ。ヤキモチなんか妬いちゃって』
「そんなんじゃないよ!どうせ僕なんか見向きもされてないし!今日だってすんごい睨まれたし!」
『そうかなぁ。藍川さん、少なくともユッキーのこと嫌っていないと思うよ?』
「そうやって根拠のないことを……もういいだろ。僕は今忙しいんだ」
『根拠ぉ?んなもん、藍川さんのあの表情、しぐさ、目線…………あれ?……今思い出してみたけど……脈しかねぇな……』
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