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「秘密の特技会でマジック披露する気になったろう」

「ちょっとね、おじいちゃんみたいにうまく出来るか心配なんだよね」


「そりゃ無理だ。マジシャン相島は、若い時からたゆまない努力を重ねてここまで来たんだから。さおりは、さおりの出来る範囲ですればいいんだ」

「今、考えているのは、大きなトランプを使ったマジックとコインのマジックとスカーフのマジックのやさしいやつ」


「欲張りだなあ。いや、それ位のファイトがあっていい」

「コインのマジックってむずかしくない?」

「正直に言うと、むずかしい。失敗する可能性大だ」


「ええっ、そうなの?」

「じゃあ、コインのマジックの種明かしをしてしんぜよう」


 時代劇みたいな言葉を使っておじいちゃんは、銀色のコインを手の平に乗せると、さっきのように消して見せた。そうして、次の瞬間、銀色のコインは、おじいちゃんの手の平の中にあった。


「分かんない」

「分かんないだろう。だから、マジックなんだよ。こっち来て」

 おじいちゃんは、さおりを呼ぶと、黒いマジック用の服を脱ぎ、横向きになった。

「いいかい。おじいちゃんの言葉に釣られないで、今、僕の手の中に握られているコインだけに集中してね」

 そう言った後、おじいちゃんは、「お客様、私の手に握られたコインは、透明になるコインでございます」と続けたが、「ああ、そうだったのか」とさおりは、納得した。

 

 お客様と言った瞬間、コインがシャツの上を滑ったのだ。姿も現わす時は、その逆だ。

「黒い服を着てるとよりカムフラージュになるが、シャツだけでも大丈夫だ。正面からだと、消えたり現れたりになる」

「ちょっと、やらせて」

 さおりは、ダウンを脱ぐと、コインの握り、薄手のセーターの上を滑らせで見るが、すぐ落ちてしまう。めちゃくちゃ、むずかしい。


「相当の練習が必要だな。短期でマスターするならスカーフの方が、さおりにはいいかな」

 おじいちゃんが、教えてくれたのは、スカーフマジックの最も基本技のしっかり結んだのにスッっとほどけてしまうわざだった。

 さおりは、カステラを入れて来たトートバッグの中に大きなトランプとコインと四色のスカーフを借りて家に帰った。

 

            


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