第24話 〜孤独から〜
別に、同じ考えの人がいないと思っていた訳では無い。
俺のいた世界だって、人殺しに躊躇ない人物はいくらでもいた。
しかし、そんな人物は本当に稀だと俺は思う。
例えば、戦争で、徴兵される人間全員が人を殺す勇気があるとは言えないだろう。
むしろ、ほとんどが人を殺せないはずだ。
ん?人とモンスターは別だって?
俺はそうは思わない。
モンスターだって、俺たちと同じく、家族がいて、ご飯を食べて、寝ている。何も人間と変わらないんだ。
…ドラゴンは人を殺すって?
確かにそうかもしれない。しかし、それは弱肉強食の世の中では仕方の無いことなのかもしれない。
人間も家畜を殺して、肉を食べている。結局は、人間もドラゴンも一緒なのだと俺は思っている。
あぁ、話が逸れたな。
要は、俺たちの世界と違って、この世界は、明確な敵が決まっていて、人々は[冒険者]となって敵を殺そうとしている。ましてや、[討伐クエスト]なんか行っている人が敵に対して情が湧くようなことがあるのだろうか。
それか、殺す覚悟があるのか。
俺にはない。
その覚悟は、本当に必要なのだろうか。
死よりも悲しいことなんかない。俺はそう思っている。
いつまでも子供のように出来もしない願望だって思われるかもしれないが、俺はそんな願望が叶う可能性があるならそうしたい。
俺1人が、そんなことを考えている。そう思っていた。冒険者をやると決めた以上、そういう覚悟はしていた。
しかし、全員がそうだということはなかった。
現にリアさんは、死なせたくないといった。
たった1人だ。たった1人だが、俺はそれが言葉に表れない程に嬉しかった。
孤独というのは辛いものだ。ずっと1人で考えて、1人で動いて…
1人で自分の理想を達成するというのは難しいことなのだ。
だから、嬉しいのだ。
───────
ずっと考え事をしていて、下を向いていた俺は言う。
「…ありがとうございます」
リアさんは、いきなりなんでそんなことを言うのか、不思議そうな顔をしていたが。ただ、微笑んでくれた。そして言う。
「話すことはもうない?」
あぁ。すっかり忘れていた。俺はリアさんに聞きたかったことを言った。
「治癒玉…でしたっけ、あれって、一体何なんですか?」
リアは言った。
「あぁ、道具について?」
やっぱり、アイテムだよな。正直わかってはいたが、念の為聞いただけだ。俺は再度質問する。
「道具は、僕も買うことが出来ますか?」
リアさんは、知らないの?とでも言いたそうな顔でこちらを見た後、ニヤリとして俺に言う。
「あなた達の治療が終わったら行く?道具屋」




