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52 シュート

本日もよろしくお願いします

 翌日、夜明け前に宿を出発した僕は、昼前には“毒の森”に到着した。装備を再確認して、さっそく森に足を踏み入れる。

“毒の森”は魔獣だけでなく植物も毒を持つものが多く繁殖していて、有毒の花粉を吐き出していたり、毒を分泌している棘に肌を傷付けられたりする可能性があるので、『障壁』で体全体を覆った。そして『索敵』も発動しながら進む。

 鬱蒼とした森は視界を妨げていて、『索敵』能力のない冒険者には厳しい環境だ。

 ふたつの魔術を同時にそして常時発動している僕は、魔力の消費を抑えるために『障壁』は物理的な最低限の薄さの物に抑えているので、魔獣からの攻撃を防ぐものではない。そして『索敵』も同じ理由で方向性を制限しているので、その分を視覚で補う必要がある。

 最初は周囲に視線を巡らせながら慎重に足を進めていた。だけど膝上までを覆う様な深い下草の繁茂する地帯に入ってからは意識を足元にもっていかれていた。

 と、突然頭上から何かが降って来た。


《シュート!右に避けろ!》


「っ!!」


 かろうじて1歩、右に避けた僕の左肩すれすれを黒い長い物が落ちて来た。慌てて僕は『水弾』を放つ。確認すると、そこにはふたつに泣き別れしても尚、くねくねと蠢くポイズンスネークが落ちていた。


「ふぅ~、危なかった。無音で落ちて来たね。この森では頭上にも気を配らないといけないのか」


《ヤバかったな!周囲ばっか見てたわ。これからは、上は僕が見といたるわ》


「よろしく。僕は足元を見ながら、周囲は『索敵』で探るよ」


 ポイズンスネークを『収納』に納めて、気を取り直してまた探索に戻る。その後もポイズンスネークは度々降って来た。他にポイズンスパイダー、アラクネ、トレント、キラープラント、スライムなどに遭遇した。

 ポイズンスパイダーとアラクネは蜘蛛糸を採取してから討伐した。

 トレントとキラープラントは『索敵』で発見次第、『高威力』の『飛斬』で鞭のように攻撃してくる蔦を切って、『土槍』で魔石を破壊する。魔石が勿体ない様に思うけど、この倒し方が一番素材を無駄にしないで討伐できる。素材は色々な加工品に重宝するからね。

 スライムはどんな攻撃魔術を放っても、水に石を投げつけたかの様に抵抗なく貫通して、だけどその穴は一瞬で修復されてしまう。


《“暖簾に腕押し”やな。スライムの討伐方法は中心部の核を壊すんやと思うで》


「そうなの?」


 試しに核を狙って魔術攻撃を加えてみた。するとスライムはその形を保てなくなってべちゃ!って潰れて地面に沁み込んでいった。


「脩人の言う通り、討伐方法は分かったけど、これ採取できないね」


《核を攻撃すると同時に『引寄』魔法使ったら?で、素早く『収納』に入れてまう》


「簡単に言ってくれるけど、それ難しいよ」


 文句を言いつつも「それ以外に方法はなかろう」と、試すことにした。やってみると、やはり難しい。最初何度かは『引寄』の発動が間に合わなくて無駄にしちゃった。けど、諦めずに続けていたらそのうち上手く採取できる様になった。


《よっしゃ!ジェルシート作れそうやな!》


「お尻が痛くなりにくい座布団?」


《せや!20匹分くらい獲れたか?試作する分にはじゅうぶんやな》


「チアミルに戻ってからやってみるよ」



 こんな風に時々魔獣を討伐しながら探索を続けること数時間、『索敵』に巨大な魔獣の反応が感知された。明らかに巨大で、だけどシーサーペントよりはずいぶん小さい。


「脩人、見つけたかも!あっちの方角に向かって凡そ200歩位先だよ」


《おっしゃあ!もうちょっと近づいたら、僕が様子を窺ってきたるで》


「うん!」


 見つけた反応はバジリスクであった。ちょうどそこはバジリスクの巣らしい。

 脩人によると、木がなぎ倒されてちょっとした広場になっていて、土や枝、草などですり鉢状に整えられている寝床と、その周囲に魔獣や人の骨や遺品などが散乱している。現在バジリスクは食事中だとの事だった。


「さて、罠を仕掛ける場所を決めて、必要な物を書きだそうか」


《獣道って言うて良いんか分からんけど、バジリスクの幅位の道が周囲にできてて、シュートにも走りやすそうや。その道に沿って罠を仕掛けといて、シュートが逃げながら誘導する感じかな》


「そしたら、その道を調査しよう。道を辿りながら罠を仕掛ける場所の選定をしていけば良いね」


 脩人と相談しながら道を手早く調査して、日が暮れる前に森から出た。

 今夜は森の傍で野営だ。

 食事の後、寝る前までの時間を使って明日の準備をする。

 まず罠の準備は、蜘蛛糸を100本ほど出して『付着』を『付与』していくよ。『付与』したら、周囲にくっ付いてしまう前にすかさず『収納』に取り込む。 

 あと、顔に着ける防毒の魔道具。戦闘になると『障壁』が切れる可能性もあるから、毒を吸い込むことが無いように顔に付けておくよ。脩人の世界にある、“ますく”ってやつを参考に作った。庭の防犯に使ったキラープラントの蔓の余りで外枠を作って、蜘蛛糸を使った布に『浄化』を『付与』した物を被せて完成だ。

 それから、毒や石化にやられた時に直ぐに解毒剤や石化解除の薬を服用できるように、服の胸元や腰に薬瓶を入れておく収納を取り付けた。『収納』の中にも入れておくんだけど、想定外の事が起きて『収納』が使えなくなっても大丈夫な様にだよ。シーサーペントの皮革で作って、『障壁』を付与した。戦闘中に割れて使えなくなってしまったら大変だからね。

 最後に、“爆裂弾”を作る。『高威力』にした『水弾』の円環術式を仕込んだ紙の魔道具と、「指定した時間が経ったら、1枚目の紙に魔力を供給する」と言う『魔力供給』の円環術式を仕込んだ紙の魔道具を準備する。指定時間は10秒に設定。

 『魔力供給』の紙を芯にして、これに巻き付けるように攻撃魔術の紙を丸めて固めていく。『付着』の魔術で剥がれないようにくっつけて球体に仕上げた。これを5つ準備した。


《これで準備万端やな!》


「うん、バジリスクは飛ばないから、危なくなったら『移動』で上空に逃げれば良いし、何とかなりそうだよ。バジリスクとの戦闘中にマンティコアと遭遇するなんて奇跡的な事が無い限りは大丈夫だと思う。」


《んじゃあ、明日に備えてもう寝とき》


「うん、おやすみ脩人」


 



じわじわ更新中

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