4 シュート
本日も宜しくお願いします
シュート実戦投下です
脩人が戦闘訓練のために森に行けって。
ううぅ・・怖いなぁ。
でも、確かに王都までの道のりだって、魔獣と出会う可能性はある。お金があれば、王都まで護衛を雇えば良いのだろうけど、きっと僕にはそんな余裕はない。そもそも僕は冒険者になるんだから、戦えないなんて言っていられない。
なら、やるしかないよね。
取り敢えず町に行って、冒険者が着るような動きやすい服とか装備とか野営道具とか買いに行かなきゃ。
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僕はまず、冒険者ギルドに向かった。
ギルドは石造りの重厚な建物で、窓は小さく、扉は分厚い鉄板でできており、開け放たれている。昼過ぎの時間帯のせいか、出入りする人はいない様だ。石の階段を数段登って建物内に入ると、正面奥に受付があり、右手の方へ部屋が広がっていて、そちらは酒場になっている様だ。酒場には数人の冒険者の姿が見える。受付には職員のおじさんが一人いるだけで、冒険者の姿は見えなかった。
左手の壁は掲示板になっていて張り紙がいくつもある。近づいて見てみると、魔獣の買い取り価格や魔獣の出現情報、魔獣の討伐難易度、冒険者募集しているクランの紹介など色々な情報があった。魔獣の出現情報は助かる。
ギルドの仕組みは以前来ていた家庭教師から習って知ってるよ。何故そんな事を習うのかと言うと、貴族は依頼を出す側だからだよ。ある程度ギルドの仕組みを理解している必要があるんだ。
冒険者はそれぞれクランに所属している。1つの街にクランは複数あるよ。依頼がギルドに出されるとギルドは依頼内容と各クランの実力を加味して、適切なクランに依頼を割り振る。冒険者個人で依頼は受けられない。ただし、狩った魔獣の素材の買い取りは冒険者個人からも受け付けてくれるよ。
クランには等級があり、上から、特級、白金級、金級、銀級、鉄級、銅級、級なしだよ。クランは依頼を受けると、所属している冒険者達にその依頼を割り振る。依頼の難易度に合わせた最適な人選でパーティーを組ませて依頼に向かわせる。クランはより実入りの良い仕事を受けるために、所属している冒険者を指導し育てる。そんな仕組みだよ。
魔獣の出現情報を見てみると、町の南側に広がる草原と、その草原の更に南の林に出現する魔獣は比較的低レベルみたい。これなら何とかなるかな?
ギルドを出て次に向かったのは冒険者向けの道具屋だよ。雑貨や衣類、魔道具も扱っている様だね。動きやすい木綿の服とズボン、防水性の高いフード付きのローブ(リザードマン製)、膝下丈の皮ブーツ(リザードマン製)、天幕(リザードマン製)、毛布、ロープ、ウエストポーチ、野営用の鍋と木製の食器類、水筒、小型のナイフ、日持ちのする携帯食、紙製の円環術式(風斬の術が籠められた物と魔獣避け)を購入した。沢山買って、荷物が増えたけど、先日習得した『収納』を使えば問題なし!
武器は僕が10歳になったときに父上から贈られた剣がある。その頃はまだ見放されてなかったから、そこそこ良い物だ。防具は屋敷に勤めている兵士に支給されている標準的な物を借りるつもりだよ。
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翌朝早くに、南の草原に向かった。
今日と明日の午前中の鍛練を休む許可は昨日得たよ。僕の事を見放している父上には、ただ「好きにしろ」とだけ返された。もう僕の事はどうでも良いんだろうね。
『索敵』を発動しながら草原を進む。魔獣の種類や特徴は本で読んで知っている。だけど、知識で「知っている」のと実際に見た事がある「知っている」のとでは大きく違うと思う。
ドキドキしながら歩いていると、僕の『索敵』に反応が出た!
「え?何?何が出るの?怖い、怖い」
『索敵』の小さな反応が突然、物凄い速さでこちらに向かって来た。
と、思った一瞬後、白い塊が草むらから飛び出した。慌てて右へ避けた。僕の左側をすり抜けた塊は着地して、数歩進んでから反転して再び向かってくる。
ああ、これ知ってる。ホーンラビットだ。突進力が強く、頭部に生えている角で刺されると怪我をする。角はそれほど長さはないので致命傷になることは無いが、動きの早さから初心者にはそこそこ脅威だ。防御力は高くないので冷静に攻撃を当てれば簡単に狩れる筈だ。
ホーンラビットの頭突きを何度かかわしながら、魔獣の情報を思い出した僕は攻撃の隙を窺う。
「よし、次で仕留める」
ホーンラビットの速さにだいぶ目が慣れた僕は、突進してきたホーンラビットを左へかわしつつ剣を横向きに振り抜いた。
かあぁーーーんっ!
角と剣がぶつかった高い音を響かせながらホーンラビットが向こうへ吹っ飛んでいく。10歩ほど先、放物線を描いて落下した辺りを探してみると、ピクピクと痙攣しているホーンラビットを見つけた。首に剣を振り下ろして止めをさす。
「はぁ~まず1匹」
仕留めたホーンラビットを拾い上げようとして、僕は自分の手が小刻みに震えている事に気づいた。初めて命を奪ったんだ。さっきまで必死だったから気が付かなかったけど、思った以上に緊張していたみたい。ほっとした瞬間に緊張を自覚したのだろうね。
取り敢えず獲物を『収納』に入れて、再び『索敵』に集中する。
暫くホーンラビットが続いたよ。10匹も狩る頃にはすっかり慣れてしまって手の震えも止まったよ。
次にホーンラビットを見つけた時、魔術を試すことにした。まず風属性の中級魔術『飛斬』を発動する。初めて獲物に向かって放った魔術は対象物に当たらず半歩ほど右をすり抜けて飛び去った。ホーンラビットも慌てて逃げ去った。
「あぁ~だめかぁ」
がっくりしながらも次の獲物を探す。またホーンラビットを見つけた。今度は慎重に狙いを定めて『飛斬』を発動する。
バシュッ
鋭い音とともに『飛斬』がホーンラビットの首を刎ねた。ホーンラビットは崩れる様に地面に倒れこんだ。
「よしっ!上手くいった」
ぐっと拳を握る。
次に見つけたホーンラビットには、水属性の初級魔術『水弾』を試したよ。魔術攻撃を胴体に受けたホーンラビットは吹っ飛んだが致命傷にはならなかった。倒れてじたばた藻掻いているところを剣で止めをさした。
初級魔術で致命傷を与えるのは難しいみたい。次は中級魔術『水斬』を試したら、首を刎ねる事ができた。土属性の魔術は中級魔術『土斬』も同じ結果だったけど、初級魔術『土礫』でも致命傷を与える事ができた。当たり所かなぁ?他の中級魔術『水槍』『土槍』も試したけど、ホーンラビットの胴体に大きな穴を開けてしまい、素材を損傷してしまうだけで、利点はなかったよ。
僕の魔術がそこそこ使い物になる事が分かって自信が出てきたので、南の林に近づいてみる。『索敵』がホーンラビットよりも大きな獲物の反応を感知した。慎重に近づいてみると、ナインテールフォックスだった。ホーンラビットよりも少し速さが落ちるが変則的な動きをするので攻撃が当てにくいらしい。主な攻撃手段は噛みつきだけだったと思う。慎重に狙いを定めて『飛斬』を飛ばすが、すらりとかわされてしまう。『水斬』『水槍』『土槍』も試したけど、何度攻撃魔術を放ってもかわされ続ける。そのうち逃げられてしまった。
「ぐぬぬぅーちくしょー!」
もう一度『索敵』を発動してナインテールフォックスを探した。直ぐに発見し、今度は『隠密』を発動してできるだけ近づいてから、慎重に狙いを定めて『土槍』を発動した。5歩の距離から放った『土槍』は狙いを違わずナインテールフォックスの首に刺さって命を刈り取った!よしっ!
その後も適度に休憩を取りながら、ホーンラビットやナインテールフォックスを狩り続けて、夕方になった。
今夜は屋敷に帰らず、野営をするよ。予行演習だよ。大きな岩を見つけてそのそばで準備を始めた。
天幕を張り、薪を集めて『着火』の魔術で火を熾す。生活魔術で出した水をはった鍋を火にかける。ここに昨日購入した携帯食を投入する。硬パンや干し肉、乾燥野菜、塩を入れて、具が柔らかくなるまで煮たよ。味は・・・まぁ旨くはないね。でも1日動いてお腹が空いていたので完食したよ。
やることもないし疲れたからさっさと寝ることにする。魔獣避けの円環術式を起動した。これは6時間ほど魔獣を遠ざける効果があるそうだ。術の発動を確認して天幕に入って毛布を被った。初めての野営で寝付けるのか心配だったけど、一瞬で夢の中だった。つまり脩人の時間だ。




