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44 脩人

本日もよろしくお願いします

 夏本番の気候の今日この頃。

 僕のリハビリは順調で、杖を突いて歩ける様になってきた。今はできるだけ杖に頼り切らん様にする事と、歩く速度を上げるのが目標や。最終的には走れるようになりたいねんけどな。

 字を書くこともできるよーになったで。(きったな)い字やけどな。


 今日も朝からリハビリ病院に来てんねん。まずはマッサージとストレッチからや。理学療法士さんが丁寧に関節を伸ばしてくれはる。それが終わったらリハビリの開始や。

 まず重心の取り方の練習。真直ぐに立って、前重心を30秒維持、後ろ重心を30秒維持、右足重心を30秒、左足重心を30秒とやって、歩く下準備の練習やな。

 次は平行棒の間に立って正面の鏡を見ながら歩く。体の感覚だけやのーて視覚でもちゃんと歩けてるか自分で確認しながら真直ぐ歩く。

 真直ぐ歩いた後は、横歩きとか色々と1時間程やって終了。


 次に、手のリハビリに移る。細い木の棒を穴にぶっ刺す訓練とか、おはじきを移動させる訓練とか、洗濯ばさみをはさんだり外したりする訓練やな。木の棒は最初は太いやつで何とかできるねんけど、だんだん細いやつになっていくとけっこう(むず)いねんなぁ。

 こっちも1時間ほどで終了。

 自分()でも同じように自主練するように言われて帰宅する。



 家帰ってちょい休憩したら、もうお昼や。婆ちゃんが昼飯の準備してくれて爺ちゃんと3人で食べる。麻痺が残ってる僕は、ちょっと行儀悪いねんけど、グリップが太くて握りやすくなったタイプのスプーン・フォークを使って、顔を食器の傍まで寄せて掻き込む様に食べてるねん。

 婆ちゃんは過保護や。元々僕の事は甘やかし気味やったけど、事故後は尚更になった。


「脩ちゃん、から揚げもう1個食べなはれ」


 僕の皿にから揚げが1個追加される。


「うん、ありがとー」


「脩ちゃん、お茶のお替り入れたろね」


「うん」


「脩ちゃん、口の(はた)にお弁当くっ付いてるで」


 口の横についてたご飯粒を婆ちゃんが取ってくれはった。


「婆さん、儂にもお茶」


「急須にまだお茶入ってるで」


「儂には注いでくれへんのんか?」


「あんたは元気やないの。自分で何でもできるやろ?」


「婆ちゃん、僕の事は()えから。ある程度は自分でできるし」


「脩ちゃんはまだ手元が覚束へんから危ない。お婆ちゃんがちゃんと(あんじょう)したるさかいに任せとき」


「儂も最近、目ぇがよー見えへんから手元が覚束へんのや」


「何でも人に頼ったら、早よーボケてまうで?」


「婆ちゃん、爺ちゃんにも優しくしたりーや」


「脩ちゃんは優しい子ぉやねぇ」


 夫婦漫才で毎日楽しませて(もろ)てるわ。



 午後は暇になるから、同級生の友達から授業ノートやら宿題やらを借りて、来年の復学に向けて予習したりもしてるねん。

 あと、シュートの世界の魔道具の資料を検索したりとかもな。

 ほんで、キンドルで色々読んだりゲームしたりしてたら、もう寝る時間や。

 


 最近、暑さで夜が寝苦しくなってきたからベッドにクール敷パッドを敷いて(もろ)た。


「シュート、これ売れるな?」


《春ごろから『保温』の外套が売れなくなって、落ち着いてたんだけど、最近『冷却』のマントが売れ始めたからね。シーツに『冷却』を付与したら寝やすそうだね》


「寝てる間、冷えすぎたら風邪ひくから控えめにな」


《うん、『冷却』の強さを変えて、いくつか作ってみて試そうか》


「お貴族様には敷パッドで、庶民には小さな首に巻くサイズで作ったらどうやろ?

 首には太い血管が通ってるから、そこ冷やすだけで体全体を冷やしてくれるねん」


《なるほど!小さい物なら、庶民にも「ちょっとした贅沢」位の価格設定にできそうだね!》


 おっしー!

 じゃあ眠るから待っといて。早速作ろうぜ!





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