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43 シュート

本日もよろしくお願いします

 折角、忙しさが落ち着いてきたと思ったのに、次々に魔道具を開発してしまうせいで、また忙しくなるという悪循環。落ちつく兆しが見えない。

 貴族向けの“湯供給魔道具”が爆発的に売れたんだ。最初、台数制限して徐々に出荷したのが大当たりで、この“湯供給魔道具”を持っているとお茶会を開いた貴族が優越感に浸れるっていう事で予約が殺到してるんだよね・・・


「他の魔道具技師さん達はどうやって仕事を回してるのでしょうか?」


 スルホンさんは残念な子を見るような目で僕を見て言い放った。


「それは・・・シュートさん・・・普通の魔道具技師はこんなに次々と新しい魔道具を開発しないのですよ」


(暗に自業自得と言われてしまった。僕の場合、自業自得じゃなく、脩人業自得なんだけどね)


《シュート、僕のせいだけにして()えと思ってんのか?》


(だってさー!・・・まぁ、僕も面白がって作っちゃったんだけど)


「誰かを雇うしか無いですよ。その人にはシュートさんの魔道具の仕組みや円環術式を教える事になりますから、信頼のおける人を探す必要がありますし、師弟契約を結ぶ事になるでしょうね」


「師弟契約ですか?」


「ええ。弟子として受け入れて魔道具の技術を教えて、ゆくゆくは独立を許す事になります」


「なるほど・・・弟子を受け入れるのは、まだ早いかなぁ。僕もまだまだ勉強中だし、誰かに何かを教えるなんて、とても、とても」


(シュートの助言を聞きながら作ってる僕が誰かに教えるなんてできないよ)


《誰かに教えた方が、より理解が深まるって言う事もあるんやけどな?》


「ならば、手間がかかる割には利益率があまり高くない物について、情報を売って手放してしまうか、ですかね?」


「そっかぁ・・・手放すとすると、傷当て、靴の乾燥中敷き、靴滑り止め、野菜みじん切り機、空間乾燥機かなぁ」


《そうやなぁ。それ以外んはシュートのオリジナル魔法を基本にして作ってるから、簡単に公開したくないよなぁ》


「そうですね。それだけでも手放せば、かなり楽になられるんじゃないですか?

 情報を売る方法はアテロールで“乾燥携帯食”の扱いについてシュートさんが私に提示して頂いたあれで大丈夫です。

 一括で1人に売ってしまう方法と、情報使用料として一定期間の売り上げから支払って貰う方法があります。後者ですと、情報の希望者が複数いる場合に良いでしょうね」


「一定期間が終わったら?」


「一般公開されている円環術式と同じですよ。誰でも自由に作りたい放題になります。“タークミィ式傷当て”とか“シュート式靴中敷”とかと言う様に開発者の名前は残りますよ」


「うん。それで良い気がする。手配をお願いして良いですか?」


「商業ギルドで募集を掛ければ直ぐに反応があるでしょう。魔術契約書で契約するまでを私が行いますので、その後シュートさんが製法を伝授して下さい」


「分かりました。お願いします」




▲▽▲▽▲▽


 魔道具製作の情報を売り出したら希望者が殺到した。

 売り出したのは、傷当て、靴の乾燥中敷き、靴滑り止め、野菜みじん切り機、空間乾燥機で、それぞれに5~20組の客が付いたんだ。

 魔術契約書には魔道具の情報及び僕の個人情報を流出させない事と、契約期間は7年間で売り上げの30%をタークミィ商会に支払う事、その他細やかな取り決めがなされている。

 契約者たちは、タークミィ商会お抱え魔道具技師(ぼく)がずいぶんと若い事にびっくりしていたよ。そして、僕の魔道具の仕組みを聞いて、けっこう単純な発想を基にしているって事にもびっくりしていた。


 と言う訳で、魔道具の製造をいくつか手放した事で僕は少し時間ができた。

 今日は1日休みにして、屋敷の魔道具導入の続きをやるよ。

 室内の照明はこの間にコツコツと交換していた。元々屋敷には数え切れない程の灯りの魔道具が取り付けられていたんだけど、僕の魔燈(まとう)は明るいから少なくて済む。脩人の世界のえるえー何とかって言うやつ並みに明るいんだ。


《LEDな》


 そうそう。そのえるいー・・・まぁ良いや。兎に角、屋敷中の魔燈(まとう)の取り付けは既に終わってて、今日は魔燈(まとう)から魔力の流れる線を引いて、入口近くに魔力感知装置を付けるよ。魔力感知装置に魔力を流すと魔燈(まとう)が点灯する仕組みを作るんだ。

 玄関ホールは広いから流石に僕の魔燈(まとう)でも1つと言う訳にはいかない。天井付近と壁、合計10個取り付けた。それらを1つの点灯装置に集約して1回の操作で全部を点灯させるんだ。

 同じように、長い廊下には魔燈(まとう)を6個位取り付けている。廊下は屋敷内に4か所ある。各部屋はそれぞれの広さによって2~3個の魔燈(まとう)を設置してある。これらにも同じように点灯装置を付けていった。

 朝から作業をして、夕方までかかってしまった。

 

「終わったー!」


《お疲れさーん。シュート、明日は廊下と玄関に人感センサー付きフットライト付けようぜ》


「それ、要る?」


《もし夜に帰宅して、真っ暗な玄関で電灯のスイッチ探して直ぐに見つけれるか?夜中にしょんべんしたーなって、部屋から出てトイレに行くのに、廊下で電灯のスイッチ探すの面倒やない?そう言う時に、自動で足元照らしてくれたら感謝感激やで?僕が夜中にトイレ行こうとして足の小指ぶつけてもーて、痛みに身悶えてた事覚えてるやろ?》


「ああ、そう言えばそんな事もあったね。『索敵』の魔術と魔燈(まとう)を組み合わせて、小さな灯りを点ければ良いんだね?それくらいなら簡単にできそうだよ」


《じゃあ、今夜は飯食って早よ寝ーや。僕の方でフットライトの形状とか明るさとか相談しようぜ!》




▲▽▲▽▲▽


 「“人感センサーライト”で検索したら、フットライトも出てくるけど、玄関に防犯目的で付けるライトも仰山(ぎょうさん)出てきたわ。こっちも付けようぜ」


《なるほど。忍び込もうとしてて、いきなり明るく照らされたらびっくりしちゃうよね》


「せや。こっちは凄く(ごっつー)明るくしといて、フットライトの方は白熱球みたいなオレンジ色の小さな灯りが()えわ」


《暗い中で明るい魔燈(まとう)が点灯したら、眩しくて目が焼けるもんね。了解。あ、脩人、止まって、前の画面に戻って。そうそう、その色ガラスみたいな装飾の奇麗じゃない?》


「ああ、カバーガラスがステンドグラスになってるんやな。()えやん」


《これを、廊下と玄関ホールと・・・階段にも要るかな?防犯目的なのは、玄関と屋敷の四方に付ければ良いか》


「そうやな。人感装置の周囲5mの範囲に入ったら自動点灯。反応が無くなって1分くらいしたら自動で消灯でどうや?防犯用のライトは1方向に強く照らす形にして、人の反応のあった方向に自動で首振りする様にしたら()えんと(ちゃ)う?」


《そっかぁ。じゃあ円環術式もいくつか新しく考案する必要があるね。ちょっと時間がかかりそうだ。明日から作ってみるね》


 僕は普段の魔道具製作の合間を縫って、それぞれの明るさの魔燈(まとう)と人を感知する装置の作成、中に書き込む円環術式に開発と完成品の設置を30日程かかってやった。


 こうやって色々な魔道具を導入していくと、「僕の屋敷」って感じがして屋敷に愛着が沸いてきたよ。

 次はどんな魔道具を入れるかな?



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