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40 脩人

本日もよろしくお願いします

 消毒液の匂いがする。

 頭の近くでピッピッピッピッピッピッって規則的な電子音がしてて、遠くで誰かが会話してる声が聞こえる。

 僕は重い瞼を必死で開こうとするんやけど、中々上手い事いかへん。それでも何とか頑張って右目だけこじ開けた。


(うっ眩し・・・)


 眩しさに思わず閉じてもーた右目を必死こいてもう一度開けると、白い天井が見えた。


(「ああ、ここは病院かな?」って一度(いっぺん)言ってみたかったんや。念願叶ったな)


 次いで左目もこじ開けた。

 手足を動かそうとしてみたけど、ピクリとも動く気配はないわ。

 3ヶ月以上も意識なかったんやから当然やわな。


(何とか首だけでも動かへんかな・・・うん、無理や)


 眼球だけは動かす事ができるみたいで、必死こいて左右を見てみたら、右側には窓が見えた。ここは個室っぽい。左側に開きっぱなしの病室の扉があって、話し声はその向こうから聞こえて来るみたいや。


(そう言えば、シュートはどないしたんやろ?シュート!? シュート聞こえるか?そこに()るんか?気合い入れて必死に話しかけてくれ!)


《******?》


(うっすらと何や聞こえた気ぃもするけど・・・はっきりとは聞こえへんな。シュート、諦めずに話しかけてくれ!)


《******?》


 何とかシュートの声を聞こうとするんやけど、やっぱりよー聞こえへん。ちゃんと聞きたいんやけど・・・だんだん意識がぼやけていって、僕の意識は暗転してもーた。





▲▽▲▽▲▽


 真っ黒空間、再び。


「脩人!」


 シュートが向こうから走って来た。


「おお!シュート。一瞬やったけど、戻れたな!」


「脩人!僕の声は聞こえた?僕、必死に叫んだんだよ?」


「うっすらとな。でも、はっきりとは聞こえんかったわ。残念ながら。意識も長時間保たれへんかったし。でも、まぁ、これからやな」


「もう一度行ってみる?」


「いや、たぶん僕の体は休息を求めてる気ーするから、今は止めとこ。また明日、行こう」


「分かった」




 こうやって、僕は毎日シュートと一緒にあの光の穴に飛び込み続けた。

 最初は、目覚めても直ぐに意識が落ちてもーててんけど、少しずつやけど日に日に、意識を保てる時間が長くなってった。

 シュートの声は3日目からちゃんと聞こえる様になった。

 ほんで光の穴に飛び込み続けて10日目、ついに看護師さんが僕の目覚めに気づいてくれはった。


大工(おおたくみ)君!あんた気が付いたん!? 私の声が聞こえてる?君は交通事故に()うて、病院に入院してるんよ?直ぐにご両親に連絡を取ってあげるからね!」


(おお!やっと気づいてくれはったわ!でも、両親が来るまでに僕の意識、また落ちると思うで?)


《脩人、頑張って起きていようよ!ご両親はどれくらいで病院に来てくれそうかな?》


(どこの病院に入院してるんか知らんから分からんけど、設備の整った病院は(うち)から遠いと思うで)


 看護師さんが飛び出して行ってから直ぐに医者らしき人が来た。


大工(おおたくみ)くん、僕の声が聞こえるかい?聞こえたら、瞬きを2回してみてくれるかい?」


 瞬きを2回ね。


「よし、よし。体のどこか、瞼以外で動かせる場所があるかい?動かせるなら動かしてみて?動けない場合は、瞬きを3回してくれるかい?」


 瞬き3回ね。


「よし、よし。大丈夫だよ。心配しなくても、リハビリしていけば動く様になるからね!足は骨折していたけど既に治りかけているし、脊髄の損傷はないから大丈夫だよ。君はまだ若いからね、きっと大丈夫、大丈夫。」


 「大丈夫」ってあんま言われ過ぎると、反って大丈夫やない気がしてくる不思議。


 そして案の定、僕の意識は両親の到着を待たずに暗転した。

 残念!







 

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