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37 シュートの中の脩人

本日もよろしくお願いします

「駄目だった。脩人を見つける事ができなかった」


仕方(しゃー)ない、仕方(しゃー)ない。まだ新作戦1日目やん。気にすんなや。そのうち僕の意識が戻るかも知れへんし》


「はぁ~~~」


《シュートぉ、落ち込み過ぎて苔生えてんぞ?》


「脩人は元気だよね?脩人の体の事なんだよ?普通、反対じゃない?脩人の方が落ち込んで然るべきだと思うんだけど?」


《せやかて、考えても、心配しても、どうにかなるもんでも無いし、仕方(しゃー)ないやろ?たぶん、お医者さんが治療頑張ってくれてはるわ。

 それよりも、朝の準備始めーよ?他の人らテント畳み始めてるで?》


「はぁ~、分かったよ。今夜また頑張る」


 シュートは手際よくテントを片付けて、(畳まんでも『収納』に一気に入れてまえば楽なんやけど、一応希少な『収納』魔法はまだ秘密やからな)朝食を取った。スープを昨日の若者達にも振舞ってたら、出発の時間になった。


 今日も馬車は3台連なって草原地帯を走る。


《何かさー、自分の体の状況を見てないからか、それかシュートの世界で楽しんでるからか知らんのやけど、不思議なほど悲壮感を感じぃひんねんなぁ・・・それと、体と心が乖離しとるんやと思うねん》


 僕は今朝シュートに言われたことについて考えてた事を、車窓を静かに眺めてたシュートに語りかけた。


(体と心が乖離?)


《せや。びっくりしたり、感動したり、恐怖を感じたり、色んな場面で気持ちが高ぶった時って心臓がドキドキするやろ?でも、いまの僕はドキドキって感覚が無いから、体から離れてるんやと思うねん。せやから悲しみとか不安感とかあんま強く感じーひんのと(ちゃ)うかな?知らんけど》


(ふ~ん。よく分からないけど、分かった様な気もする)


《ほんで僕の体っちゅう、僕とシュートが落ち合うための器が機能してへんから、あないな真っ黒空間に放り出されとるん(ちゃ)うか?》


(なるほど。でも、それが分かったところで僕たちがあの空間で落ち合う助けにはならないね)


《そんな身も蓋もない事言うなよ。異世界ロマン感じさせてぇーな》


(ほんと、脩人は危機感がない。このまま自分の体に戻れなかったらどうするのさ!?)


《これでシュートの世界が無くて、24時間あの真っ黒空間に閉じ込められたら、流石に焦るし鬱になったと思うけどなぁ》


(はぁ~。それは良かったねと言えば良いのかな?)


()え事やろ?僕ってラッキーやな》


《それからな、今まで僕ら夢の中ではお互いの世界の言語はあんま分からんくて、頭の中で理解した内容を共有してるって感じやったやろ?それがな、今は普通にシュートの世界の言語を聞き分けられるねん。自動翻訳されてるみたいな》


(じどおほんにゃくってのが分からないけど、いまも僕と脩人は違和感なく会話できてるものね)


《せやんねん。僕は日本語喋ってるつもりなんやけど、シュートにはシュートの世界の言語として聞き取れてるんやろ?》


(うん、僕、脩人が僕の国の言葉を修得してたのかと思ってたよ。違うの?)


(ちゃ)うねんなぁ。まぁ便利で()えけど。あと、シュートから5m位やったら離れれるねんで?》


(ああ、それで冒険者希望の2人の会話を聞き取れたんだね?)



 そんな感じで駄弁ってたら、夕方、ちょっと大きめの街に到着した。

 

 馬車から下車したシュートは、宿を探す前にまず若者達を冒険者ギルドに連れて行った。読み書きのでけへん彼らに代って書類に記入して冒険者登録を助けた後、情報ボードの「クラン加入募集」の張り紙を一緒に見に行った。

 冒険者を募集しているクランは4つあった。2つは討伐系を多くこなしてると書かれてあった。あとの2つは、乗合馬車組合との契約があって、護衛系を中心に活動していると書かれてあった。その内容を2人に伝えると、これから見に行ってみるとの事だった。

 シュートはクランに入った事が無いから、こっから先は未経験者。手助けできるのはここまでと、彼らと別れて、宿を探しに行った。 


 宿の個室を取って、一息つく。


《シュート、お疲れさん》


「うん。あの2人が冒険者として成長できると良いね」


《せやな。どっかでまた会えたら()えな。あいつら餞別にあげたフリーズドライ喜んでたな》


「ふふ。この辺じゃあまだ出回ってないからね」


《明日、どないする?昼くらいまで寝て、魔道具店とか冒険者の店とか見て回るか?》


「そうだね。それも良いけど、食事の時に、宿の人に観光する様な場所があるか聞いてみるよ」


《それが()えなぁ。ま、そんなん()ーても、僕は街ブラだけでも楽しいけどな。あと貴族街があれば見てみたいかなぁ》


「了解。じゃあ、そろそろ夕食を食べに行こうか」


 食堂で宿の女将を捉まえて聞いてみたら、曰く、街の西側にちょっとした山があって、その頂上にある祠にこの世界の女神ヒュギエイア様が祀ってあるねんて。参拝する人が後を絶たないから道はしっかり整備されてて歩きやすいし、お勧めやって。


《う~ん、シュート興味ある?正直、僕はあんま無いかな》


(うん、僕も興味ないね。じゃあ、明日は街中をブラつこうか?)


《そうしよ。》


 今夜の食事は煮込み料理とパンやった。けっこう旨かったみたいで、シュートは満足そうにお腹をさすりながら部屋に戻った。


 今夜も、僕はシュートを呼ぶだけで移動せんと、シュートは僕を探して回る事にして、就寝した。

 でも今夜も収穫無しやった。シュートが落ち込む、落ち込む。底なし沼や。

 僕のためよりも、シュートの精神衛生の為に早いこと落ち合いたい。



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