32 脩人
本日もよろしくお願いします
交通事故のシーンが出てきます。
苦手な方、お読みにならない様にお願いします!
シュートはようやっと旅立てたな。予想外にアテロール滞在が長期間になってもーたけど、濃密な1年を過ごせた。もうアテロールは“第二の故郷”言うても過言やないな。
初めて自分だけの家(借家やけど)を持った。ご近所の主婦たちは楽しい人達やった。
スルホンさんと商会を立ち上げた。魔道具や“乾燥携帯食”を仰山作った。
海産物を堪能した。魚も仰山獲ったし、魔海獣を討伐・解体した。
例を挙げたらキリが無いくらいや。
フリーズドライマシーンも間に合って良かった。アテロールの工場任せる工場長も誠実そうな人やし良かったなぁ。
シーサーペントは巨大やったから、まだまだ『収納』の中に素材やお肉がたっぷり入ってるやろ?また何か作ろうぜ。
さて、王都の手前の街のチアミルまで2か月位の旅かぁ。どんな出会いがシュートを待っているのか!?ってね。
魔道具技師になったら当分、旅なんかでけへんなるねんし、楽しもうぜ!
いよいよ魔道具技師になる未来が見えてきたな。
こっちの裁判の方は進展してるで。僕も証言台に立ってハッキリ、キッパリ証言したった!だいたい4か月ほどで裁判は終わって、連中、全員きっちり有罪になってんけど、組長と玲子さんは控訴したんや。往生際が悪すぎやろ!
控訴審はまだ先になりそうやねんけど、もう勝確や。
あと、警察の捜査で分かってんけど、僕が逮捕に貢献したコンビニ強盗やねんけど、あれ、玲子さん達の仲間やったらしい。玲子さんがバイトで勤めて、店長のおらん時間帯とかレジの中身が多い時間帯とか下調べしててんて。玲子さんが脅されたふりしてレジの金をごっそり渡す手筈やったらしい。
僕と優人君がそれを阻止したもんやから、計画の失敗を穴埋めするために、僕達とあとついでに店長も含めて金を巻き上げようと計画したのが、今回の美人局事件の真相って訳なんや。
はぁ~・・もうよー言わんわ。
そうそう、しかも最近、優人君や店長やコンビニ周辺で妙な事が続いてるねん。コンビニのごみ置き場で出火(直ぐに気が付いて消し止めたから大事には至らんかったんやけど)したり、店長の家でも小火騒ぎとか、腐った物を玄関に撒かれたりしたらしい。
優人君はレイプ魔やみたいな事が書かれたチラシをばら撒かれたり、アパートの鍵穴に接着剤流し込まれたり、窓ガラス割られたりして、アパートを追い出されたらしい。優人君は何も悪ぅないのに。
ほんで新しいアパート探してるんやけど、不動産屋業界に情報が回ってるんか、中々貸してくれる所が見つからんのやて。今は友達んとこに居候させて貰ってやる。
これ、十中八九あいつらの仲間がやっとるやろ。警察も捜査してくれる言うてるって。
陰でコソコソ嫌がらせするってめちゃセコイ性格しとるわ。正々堂々とって言葉知らんのと違うか?
僕は、冬休み中はバイト頑張った。3年生になったらあんまバイトばっかししてられへんし、ちょっと貯金増やしとこ思って、けっこう頑張った。その冬休みももうすぐ終わる。明後日から三学期が始まるなぁ。
そんな事を考えながら、いつもの様にバイト先から夜道を自宅に向かって原チャで走り始めた。
「うぅ~・・・さっぶぅ~!寒すぎやろー!凍え死なす気かぁー!?」
とか悪態付きながらノロノロ走っててんけど、こんなノロい原チャなんかさっさと抜かせばいいのに、僕の後ろを安全運転の人なんか、抜かさずに律義に付いてきはる車があった。
それは、次の角を右折したら家が見えてくるって時やった。僕は交差点で減速したんやけど、後ろの車がいきなりアクセルを踏んで加速する音と、僕に迫ってくる気配を感じた。
「え?」って思った瞬間、「ガッシャン!」と言う音と共に僕の体は宙を舞ってた。
コマ送りの様に景色がゆっくり流れていく。10m以上は飛んだんと違うやろか、地面が迫って来て、僕の体はそのまま叩きつけられた。
不思議と痛みは感じなかった。ただ、顔面から出血しているのか、右目に血が入ってしまって瞑らざるをえなかった。唯一見えてた左目には、走り去っていく黒っぽい車と、横倒しになって、ハンドルやタイヤの歪んだ僕の原チャが見えた。
わざとやな。玲子さんらの仲間やな。車の車種は良ぉ分からんかったけど、ナンバーは覚えた。
“和泉 300 や 08‐93”ヤクザって、ホンマに893って付けるんやな。都市伝説やと思ぉてたわ。
そして僕の意識は暗転した。
脩人の命運は⁉




