25 脩人
本日も宜しくお願いします
玲子さん、ヤバい人でした
シュート、心配かけてごめんやで。ほんで、励ましてくれてありがとーな。
僕ひとりだけやったら、立ち直るのにもうちょっと時間かかったと思うわ。
まだ「立ち直った」って言い切れんレベルやけど、取り敢えずベッドから出ようかって気になるくらいにはなれたわ。腹も減ってきたしな。
寝不足と空腹でフラフラするけど、コンビニに行ってコーヒーと何か食い物買って来ようかな。原チャやと事故りそうやから、チャリで行くわ。
バイト先のコンビニやと優人君や玲子さんに遭遇するかもやから、ちょっと違う方な。
シュート・・・それにしても、ゴブリンとかオークが玲子さん似とか、ちょっと酷ーない?しかも遠慮なしにバッサバッサと切り払ってたな?
玲子さんは超絶べっぴんさんやで?美醜の感覚がこっちとそっちでは違うくても、玲子さんのべっぴん度はそこまで落ちひんやろ?
シュートの言動に突っ込みを入れながら、キコキコとチャリを漕いでたら、視野の端に見覚えのある人物が見えた気がした。
慌ててブレーキをかけてUターンして、いま通り過ぎたばかりの路地を覗き見た。
そこには柄の悪い集団に囲まれて、殴る蹴るされている優人君がおった。ほんで、その集団から少し離れた所で、集団のボスっぽい偉そうな男と、そいつに肩を抱かれている玲子さんが、暴行を受けている優人君を笑いながら見てる!?
(え!? どう言う状況?)
何がなんや訳分からんねんけど!?
(と、取り敢えず助けな!)
「あ!お巡りさーん!こっちです!こっちです!男の人が暴行されてます!」
僕は物陰に隠れながら、大声を張り上げた。
「ちっ、おい!ずらかるぞ!」
「はい!」
「おう!お前、2度と人のもんに手ぇ出すなよ!分かったか?おらぁ」
「また来るからな!残りの金、用意しとけよ!糞ガキ」
男達は口々に捨て台詞を吐いて、去っていった。
奴らが十分離れたのを確認してから、僕は優人君に駆け寄った。
「優人君、大丈夫っすか!? 何があったんっすか?玲子さんがおった様に見えたんっすけど?」
「ああ、大田君かぁ。サンキュー。助けてくれたんや」
「お礼とか良えですから。立てます?病院行きます?」
「はは、大丈夫や。骨逝ってないし、寝てたら治る程度や。俺、鍛えてるからなぁ・・・っつー痛ててて・・・」
優人君は立ち上がりかけて、痛かったらしく、体をくの字に曲げてしゃがみこんだ。
「やっぱ痛そうですやん!僕、チャリんこやから、後ろ乗って下さい。病院行きましょ?内臓やられてたら不味いっすよ」
「はは、情けないわー」
僕は離れたとこに停めてたチャリを取ってきて、何とか支えて、後ろに優人君を乗せた。
そして病院へと走りながら、事の経緯を聞いた。
今日はバイトの給料日やった。優人君は今日はバイトが休みで、玲子さんとデートの約束をしてたらしい。それで給料を口座から下ろしてからデートに向かう予定やった。その事は玲子さんに伝えてあった。
引き出したお金は15万円。中古の原チャリを買う予定があったから、多めの金額やった。この事も玲子さんに伝えてあった。
ほんで、約束の場所に向かって歩いている時に、あの集団が玲子さんと一緒に現れた。
「あいつら、ヤクザらしいわ。玲子さんはあの組の若頭の女やって。ほんで、若頭の女に手ぇ出したぁ言うて、因縁つけられたんや。無理やり関係迫ったやろ!? 言われて、慰謝料よこせって。さっき下ろしたばっかりの金、全部持ってかれて、こんな端金じゃあ足りひん!とか言われてたんや」
「え!? 美人局ってやつですやん!こわっ。これ警察にも届け出した方が良えですね?」
「レイプされた!言うて、玲子さんに逆に訴えられたら、負けるやろ。あいつら、マッポに知り合い居る言うてたし、向こうの都合の良え様にでっち上げられるかもや」
「あの、実は、僕も玲子さんにアプローチされてて、一回デートしたんす。僕の場合、キスだけで、その後、試験期間に入ったから会ーてへんかったんですわ。それが無かったら、僕もその先に進んでたかも知れませんねん。玲子さんが複数の人間に迫ってたって事実があれば、勝てますよ。僕、証言しますし、ラ○ンにやり取り残ってるからそれも証拠になるー思いますよ?」
「はー!? 大田君にもそんな事やってたんかいな?それで、「他の人には内緒」とか言うてたんやなぁ」
「僕にも、「恥ずかしいから、他の人には内緒ね」言うてましたわ」
「マジか・・・俺、完全に舞い上がってたわ。奴らの知り合いがマッポに居る言うのが本当やったら、大田君が証言しても握り潰されてまうかもやし、そうなったら大田君にも迷惑かかるで?」
「それやったら、先に弁護士とかに相談してから、警察に行きます?病院でも診断書貰っときましょ。民事でも刑事でも勝てそうな方で戦って、後悔させとかんと、あいつらまたやりますよ」
「大田君、えらい好戦的やな?めちゃ平和主義者みたいな面して、こないだのコンビニ強盗の時もそうやったけど、意外性の男やな」
「好戦的言う訳やないですけど、泣き寝入りはせーへん主義です」
「はは、頼もしいなぁ。でも、弁護士先生って金かかるんと違う?俺、さっき行かれた金、ほぼ全財産やってん。相談料なんか出されへんで?」
「僕の兄ちゃんの友達に弁護士やってはる人おるから、聞いてみますわ。多分、相手から慰謝料ぶんどって、そっから支払いすれば良えんと違います?よー知らんのですけど」
「頼もしい兄ちゃんおるやん。まぁ、任せるわ。くれぐれも大田君に迷惑かからん様に気ぃつけや?」
「大丈夫っす、任せといて下さい」
僕はチャリを漕ぎながら、心の中で今後の算段をつけ始めた。
結局、優人君は念のためにと入院になり、僕は帰宅した。
上の兄ちゃんが仕事から帰ってきたら、早速相談してみよう。高校ん時の友達が弁護士になったって言うてた筈。説明しやすい様にメモに時系列を書きだしておこう。
くっそー。僕の恋心とファーストキス返せ!許さへんぞー。
これが年内最後の更新になります。
今年、初めて執筆に挑戦し、予想以上にたくさんの方にお読みいただきました。
皆様、ありがとうございます。
誤字報告や感想も頂き、ありがとうございます。
来年も引き続き、宜しくお願いいたします。
良い年をお迎えください!




