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23 シュート

本日も宜しくお願いします

リザードマンとの戦いの結果は・・・

 脩人、勉強お疲れ様。やっと真面(まとも)に戻ったね。試験って、確か、夏前とか年末にもあったよね?定期的にあるんだね。遅い時間まで勉強やってて、大変そうだ。僕にはちんぷんかんぷんだよ。


 今日は夜明け前から活動開始するよ。まずは昨日の川の分岐部まで戻って、今度は左側の川に沿って探索開始だ。

 『索敵』を発動して、川の周囲を丹念に確認しながら川沿いを登って行く。最初に発見したのは、ワイルドボアだった。

 僕がやつの目の前に姿を出すと、途端に興奮して右前足で何度も地面を掻き掘る。僕は高威力『水槍』を発動した。

 ワイルドボアは僕に向けて突進する直前に、大きく口を開いて咆哮をあげた。

 その動作に合わせて射出した高威力『水槍』はワイルドボアの口の中に吸い込まれる様に命中した。

 その一発で脳まで達したらしく、ワイルドボアはその生命活動を停止し、横倒しになった。

 

「よし!他人のいる時に使えない雷系統にばかり頼ってられないからね。他の魔術や剣も磨いていかないと」


 その後、またワイルドボア、次にゴブリン、オーク、次にまたゴブリンと続けて遭遇した。何れも水、風、土属性の魔術を使って討伐した。オーク相手には剣も使ったよ。

 フォレストウルフの10匹の群を『索敵』で感知した時は『隠密』で遣り過ごした。まだ魔術の同時発動は5発までしかできないから、多数を相手にする時は準備が必要なんだよね。


 そうして、漸くリザードマンを発見した。1匹(人?)だけだ。

 川の浅瀬、膝下まで水に浸かって立っている。手には短槍を構えていて、今にも突きそうな体勢のまま静止している。『隠密』をしっかりかけて木の陰から様子を窺うが、じっとしたまま動かない。


 (あれ、狙いを定めた位置に魚が来るまで待つつもりかな?)


 ちょっと興味が湧いた僕は、観察を続けることにした。その間に、ギルドで確認したリザードマンの特徴を思い出しておこう。


 リザードマンは、爬虫類と人を足した様な外貌。剣や盾などで武装している。知性はそこそこあるが、人との会話はできないし思慮深くもない。人よりも膂力と戦闘能力に優れている。単独でも強敵だが、集団になると戦闘能力が格段に上がる。魔術を使用する能力は無い。

 討伐のこつは、単独でいる所を狙って、相手を圧倒する武力で押し勝つのみ。素材の価値を落とさないためには、外皮をできるだけ傷つけない様にし、首や心臓など急所をしっかり狙う。

 採取できる素材は、外皮、肉、手にしている武器・防具。


 僕の当初の作戦は、「『雷痺』で動けなくさせてから急所を狙う」って事だったんだけど、ちょっと僕の剣の技術がどれ程のものか試したく思ってるんだよね。脩人は、僕の父上が言う程弱くないって褒めてくれるんだけど、実際のところどうなのかな?って。


 ・・・それにしても、リザードマンはさっきからピクリとも動かない。根気強い性格だなぁ。こっちの緊張の糸の方が先に切れそうだよ。そう思いながら、辛抱強く待っていたら、リザードマンが突然、短槍を川の中に突き入れて、見事に魚を獲った!おぉー。

 でも、ここまで1時間以上待たされたよ。リザードマンはその場で捕った魚を食べて、そしてまた短槍を構えて静止した。


(えぇ!? まだやるの?)


 もうこれ以上待つ必要もない。僕は『隠密』を解除して姿を晒した。川辺に近づいて『身体強化』を発動して、腰の剣を抜いて構える。

 僕に気がついたリザードマンは、僕から発せられる殺気を感じたのか、無言で短槍を構え直し、僕に対峙した。リザードマンはゆっくりゆっくり移動し、川から岸に上がってきた。

 僕もリザードマンに合わせてゆっくり移動し、不利な位置取りにならないようにする。


 お互いに戦闘準備が整ったと感じた。

 リザードマンは短槍の先端をくるくる回転させて、どこを突いてくるか分からないように撹乱してくる。

 僕は剣を正眼に構えて、どこを突かれても直ぐに対応できるように集中する。

 すると、周囲の音が遠ざかって、リザードマンの動きがゆっくりになった。


(ああ、これは脩人に教えて貰った、ゾーンとか言うやつだ)


 突然、リザードマンの猛攻が始まる。顔、腿、顔、腹、肩、腿と次々と刺す、刺す、刺す。

 鋭い刺突だ。

 僕は時には剣で払い、時には半身になって、時には後退して、リザードマンの攻撃を(かわ)す、(かわ)す、(かわ)す。

 武器の間合いが違うから、僕は防戦一方だ。

 何とか剣の間合いに入ろうとするんだけど、リザードマンの息つく間もない攻撃に翻弄されて思うように行かない。

 何度か後退を繰り返していたら、いつの間にか大木へと追い詰められていたらしく、木の根に足を取られて転びそうになる。

 慌てて『移動』でリザードマンの真後ろへ飛び、剣で袈裟懸けにする。

 しかし、リザードマンは驚異的な反応を示して、振り返りながら僕との距離を取りながら短槍で僕の剣を払うと言う離れ業を行った。

 僕はギルドで見た資料にあった「人よりも膂力と戦闘能力に優れている。単独でも強敵」と言う言葉をまざまざと実感させられた。


(こんなにか!! )


 それから何度も剣で挑んだけど、どうにも攻略できない。仕方なく『障壁』を盾の形で展開して身を守り、間合いに入った。


(魔術は出来るだけ使わない予定だったんだけど、なっ)


 剣の間合いに入ったと言うことは、短槍で攻撃は出来ない範囲と言う事だ。僕は飛び込んだ勢いのまま腹を狙って剣で刺突を決める。

 しかし、またしてもリザードマンは素晴らしい反応を見せた。半身を引いて剣を躱して、剣を握る僕の腕を掴んで蹴りを放ってきた。

 僕は腹を蹴りつけられて、体がくの字に曲がる。急いで『移動』で10歩程離れた。さっきまで僕のいた場所に拳を振り下ろしたリザードマンの姿が見えた。


(駄目だ!全然敵わないよ~。僕の剣術はまだまだだなぁ)


 リザードマンが短槍を構え直して、僕の方にゆっくりと近づいてくる。

 僕は立ち上がって、剣を正眼に構えた。


 勝ちが見えないと感じた時点で、僕の集中力は途切れて、ゾーン状態も解除されてしまった。息も上がってるし、残念だけどもう終了しよう。

 リザードマンが短槍の間合いの一歩手前まで来た時に『雷痺』を発動した。

 リザードマンは短槍を構えた形のまま、バタンと、後ろに倒れた。

 僕はリザードマン頭の傍に立ち、剣を振り上げた。

 リザードマンは目だけで僕の事を鋭く睨み付けてきた。その目は「戦士同士の戦いに魔術を持ち出して狡いぞ」と僕を非難している様だった。


「ごめん。でも、僕は命をかけるつもりはないんだよ」


 そう呟いて、リザードマンの首に剣を振り下ろした。




▲▽▲▽▲▽

 

 脩人は連日勉強漬だね。こっちのことは気にしなくて良いから、頑張ってね。

 寝起きに上げた「獲ったどー!!」って咆哮だけで十分、気持ちは伝わったよ。


 僕の方は、リザードマンとの死闘をやった翌日は全身の筋肉痛で動けなかったよ。翌々日も休んで、今日やっと動けるようになったから、リザードマンの解体作業をやっていくよ。


 作業場に道具類を準備して、さぁ解体だと思ってリザードマンを作業台に乗せたんだけど・・・うん、人型の解体作業はかなり躊躇するね。ゴブリンでずいぶん慣れたつもりだったのだけど、そう言えば、ゴブリンは『飛斬』と『引寄』で済ませてたから、人型の本格的な解体作業は初めてだったな。


 解体をギルドに委託することもできるみたいだけど、見たくないものから目を逸らせるって無責任な気がして、そう言う選択肢は無いな。リザードマンの素材を使わないって選択肢は、「じゃあ、このリザードマンは何のために殺されたんだ」ってなるから、もっと無い。


 よし、心を決めて作業を開始するぞ。


「いただきます」


 何となく、脩人が食前に言う言葉を口にしてから、リザードマンの体に解体用ナイフを入れた。



リザードマンはハシビロコウ

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