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22 脩人

本日も宜しくお願いします

脩人はウハウハ、ドキドキのデートです

 待ちに待った日曜日。

 今、僕は玲子さんとの待ち合わせ場所に向かってるねん。うぅ~・・・

 気持ちは舞い上がってんねんけど、体調は最悪や。って言うのは、昨日の晩、ソワソワして眠れへんくて明け方から2時間くらいしか寝てへんねん。寝不足で頭がボーッとしてるのに、目はギンギンに冴えてて、更に緊張マックスで胃がキリキリしてる。

 大丈夫や、僕。

 服はバッチリ決まってるし、眉はキリリとしてる。髪も流行りの“爽やか男子”にして貰ろたし、今朝は下の兄ちゃんがセットしてくれた。

 僕は、やれる。

 僕も(おとこ)や。

 よしっ。


「あ!脩くーん♪こっちこっち」


 あぁー、玲子さんが手ぇ振ってくれてはる!

 今日も可愛えぇなぁ。ホワイトのニットワンピースにブラウンのロングコートを肩掛けしてはる。胸元には繊細な金チェーンのY型ネックレスが揺れてて、はぁ~神。いや、女神。まじ尊い。

 あかん、緊張でおかしくなりそうや。さっき緊張マックスやって思ってたけど、さらに上があった。


「あ、あ、あ、ま、ま、待たせちゃった?ご、ご、ご、ごめん、ごめん、ごめん」

「うふっ♪大丈夫やで。私も今来たとこやし。脩くん落ち着いて?」

「う、うん、い、い、いかこ?あ、噛んでもた。行こか?」

「あはっ♪脩くんって面白いなぁ?」

「あはは、え、えっと映画館こっちやわ」

「楽しみやね♪」


 あー汗だらだら出てきた。

 ヤバい、ヤバい、ヤバい。

 手と足が左右同時に出てもーてるし、めちゃ挙動(きょど)ってるわ。

 ちょっと落ち着こ。

 と、思ってたら、玲子さんが歩き始めた僕の左側にすっと寄ってきて、僕の左腕を抱き込む様に腕を組んできた。

 う、うわっ、めちゃ()え匂いするし、肘ら辺に何や至高の柔らかいもんが当たるねんけど。え、これって、不意なん?故意なん?アプローチしてきてるんかな?って期待してまうねんけどー!良いとこ「可愛い弟分」やと思っててんけどー!?

 ドキドキしながら、映画館への道を歩いた。映画のチケットも、売店で買ったジュースとキャラメルポップコーンも僕がお金出したで。僕の方が年下やけど、男やしな。

 目的の映画が上映されるスクリーンに入って、席について、広告が流れている間もまだドキドキしてたけど、本編が始まって数分もすれば映画に集中してきた・・・ねんけど、やってもた。

 がっつり熟睡!しかも!涎垂れてて、玲子さんに揺り動かされて起こされた。気がついたら部屋が明るくなってて、他の客が出口に向かって歩いてるのが見えた。


「あ・・・」

「脩君、よー寝てたね。疲れてた?」

「ご、ごめん!ぼ、僕から誘ったのに!」

「私の事は気にせんで()えんよ。それより、私と予定合わせるのに無理したんと違う?今日、止めとけば良かったね」

「そ、そんな事ないで。ぜんぜん無理やないで。ちょ、ちょっと寝不足で。あ、寝不足なんは、今日の事が嬉しすぎて、昨日眠れんかってん。ははは・・・恥ずかしいわ」

「うふふっそんな嬉しかったん?脩君、私の事、()え様に考えすぎと違う?」

「う、あ、そ、そんな、玲子さんべっぴんさんやし、僕に優しぃしてくれはるし、僕にとっては、女神っちゅうか、仏様って言うか」

「仏様って、死んでしもぅてるやん、あはは」

「ぶっ、あ、ご、ごめんなさい!そ、そう言う意味(ちゃ)うくて!」

「ふふふ、大丈夫。分かってるよ。そろそろ私らも出ようか?」

「あ、そ、そうやね。行こか。喫茶店とか行く?」

「うん、そやね。もうちょっと一緒にいたいしね」


 映画館の隣の喫茶店に入って、紅茶注文した。玲子さんはホットコーヒー飲んではった。大人やなぁ。映画の話とか、バイトの話とか、お互いの趣味の話とか、色々喋ったんやけど、正直、緊張し過ぎてあんま覚えてないねんな。


 1時間ほど喋って、喫茶店出てからちょっと歩いて(また腕組まれて、肘に至福の感触を感じながら)、行き着いた公園のベンチに座ってん。ちょっと寒かってんけど、その寒さがふたりの距離を近づけてくれてて、夕方になってて黄昏時って言うの?()え感じの雰囲気やってん。


 ふと会話が途切れた瞬間に玲子さんの香りが近づいて来た気配がしたから、そっちを見たら・・・なんと!直ぐそこに玲子さんの顔があって、目ぇ瞑ってて、(え!? これってキス待ち顔なん?)って思ってんけど、勘違いやったら困るし、固まったまま動かれへんかった。

 (あーあーそうですよっヘタレとは僕の事ですよ!)って心の中で一人突っ込みしてた。

 玲子さんが「もうっ!」言うて、僕の肩に手を乗せて優しく引き寄せながら、キスしてきはった。玲子さんの柔らかい唇が僕のにそっと触れてきて、玲子さんの香りに包まれて、僕はガッチガチや。

 一瞬やった気もするし、永遠にも感じた時間が流れて、離れた唇がもう一度、重ねられてから「チュッ」って音を立てて、玲子さんの温もりと香りと一緒に離れていった。


 僕はぼーっとしてもーて、何が起きたんかも理解できてへんくて、何のリアクションもせーへんまま、ただただ固まってるだけやった。

 そんな僕に、玲子さんはクスッと笑った後、「じゃあ、またね♪」って言うて去って行かはった。僕は玲子さんの後ろ姿を目で追うことしかでけへんかった。

 はぁ、今日は歯磨かんとこ。



一歩、大人の階段を登りました

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