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19 シュート

本日も宜しくお願いします

アテロールの生活

 うふふっ。

 脩人が夜も眠れない位に、恋煩いっての?病んでたね。僕の初恋はまだだけど、恋のキャッキャ、ウフフな気持ちは伝わってきたよ。

 そっかー。恋をすると、こんな感じになるんだね。心がふわふわして落ちつかなくなって、暖かくなったり、ギューッって締め付けられたり、兎に角忙しい。

 玲子さんは確実に脩人に気があるね。だって、他の人には邪魔されたくない。ふたりだけの会話を楽しみたいって、そう言う事でしょ?やったね!

 羨ましいよ。脩人は()()()()と違って愛される体質なんだよ、きっと。家族から大切にされているし友達も多いしね。僕は今のところ、誰からも必要とされてない。魔道具を販売できるようになったら、それなりに持て囃されそうだけど、これだって、結局は脩人の成果だよね。僕って駄目な奴だよねー。


 はぁ、落ち込むのはこれくらいにして、起きて活動を開始しよう。今日は忙しいぞ。

 身支度して朝食を食べて、まず冒険者ギルドに向かったよ。僕がまだ狩ったことの無い魔獣の情報を集めるんだ。ギルドには簡素な資料室があって、魔獣の特徴や素材についての情報を纏めた物が置いてある。


 まず、昆虫系魔獣から。

 ⎯ ソルジャーアントの特徴は、体の大きさは人と同じ位、脚は6本。二足歩行である人と違い、伏せの体勢。硬い外骨格、強靭な顎、統制された群れでの行動が脅威。群れの規模は20匹前後、まれに50匹程に膨れ上がることもある。群れがひとつの生き物の様に行動し、ある個体が他の個体の足場になり、盾になり、囮になり、襲ってくる。外骨格は剣を防ぐが、関節部に刃を刺せば簡単に切り落とすことができる。そうやって少しずつ削っていって討伐する。囲まれない様、戦闘時の位置取りに注意する事。

 ⎯ ハニービーも同じく群れで行動する。体の大きさも群れの規模もソルジャーアントと同程度、統制された行動も同じ。問題は飛翔できる事だ。空から襲いかかり、お尻の毒針で刺してくる。毒は麻痺毒と壊死毒。まず体が麻痺し、半日ほどかけて体が壊死していく。討伐のこつは、大きな魔術で墜落させて、群れを削って撹乱してから、各個を着実に討伐していく事。


 うーん、群れを形成する魔獣の討伐は、独りでは難しいかもね。僕は上級魔術が使えないからね。殺るとしたら、小さな群れを見つけて奇襲作戦かな。


 ⎯ 次に、マンティス。これはだいたい単独行動。2本の大きな鎌を備えた前肢と、4本の脚。他の昆虫系魔獣と同じく外骨格が硬いが、関節部と腹部は比較的軟らかい。こちらは体格が大きい事が問題だ。小さい個体でも人の3倍以上の体高がある。大きい個体だと更にその倍の大きさになる。


 昆虫系の魔獣って『雷痺』や『雷撃』は有効なのかな?これが使えないと、どうやって倒せば良いのか分からないね。


 ⎯ 採取できる素材は、昆虫系魔獣はどれも共通して、その丈夫な外骨格が鎧などに加工される。

 ⎯ それ以外に、ソルジャーアントは鋭い牙が武器に加工される。あと、瞳が薬の材料になる。

 ⎯ ハニービーは、巣に濃厚な蜂蜜を蓄える。お尻の針は武器に加工され、瞳は薬の材料になる。また、羽は工芸品の材料として珍重される。

 ⎯ マンティスは大きな鎌が武器に、瞳が薬に加工される。


 ⎯ リザードマンは爬虫類と人を足した様な外貌だ。剣や盾などで武装している。知性はそこそこあるが、人との会話はできないし思慮深くもない。人よりも膂力と戦闘能力に優れている。単独でも強敵だが、集団になると戦闘能力が格段に上がる。魔術を使用する能力は無い。

 ⎯ 戦闘能力に優れていると言っても、基本的に好戦的ではなく、生命を脅かしたり、棲息地を侵したりしなければ、敵対することは少ない。水辺に棲み、魚などを獲って食料としている。

 ⎯ 採取できる素材は、外皮の防水性の高さから、防水性が求められるあらゆる物に加工される。また肉は食用に適している。淡白な味で、どんな料理にも合う。彼らが使っている武器・防具は亡くなった冒険者などから得た物であり、業物もたまにある。これらも討伐した冒険者の物にできる。勿論、当たり外れがあるが。

 ⎯ 討伐のこつは、単独でいる所を狙って、相手を圧倒する武力で押し勝つのみ。素材の価値を落とさないためには、外皮をできるだけ傷つけない様にし、首や心臓など急所をしっかり狙う。

 

 こちらは『雷痺』が役立ちそうだね。動けなくさせてから急所を狙えば簡単に殺れそうだ。



 棲息域の確認もしてから、僕は冒険者ギルドを出て、今度は商業ギルドへ向かった。


「こんにちは」

「いらっしゃいませ。シュート様、こんにちは。今日はどう言ったご用件でしょうか?」


 先日、対応してくれたドーランさんが今日も対応してくれる様だ。僕の顔を見て、躊躇なく名前を呼んできた。ちゃんと僕の名前を覚えているんだね。凄い。有能な人なんだね。


「今日の用事は3点。ひとつは、商業ギルドへの登録手続きをお願いします」

「ありがとうございます。畏まりました。登録手続きに必要な書類はこちらです。お手数ですが、ご記入をお願い致します。それから、市民証か、他のギルドに加入でしたら、ギルド証のご提示をお願い致します。また、登録料として、大銀貨5枚と、年会費として大銀貨1枚、合計で大銀貨6枚を頂戴致しますが宜しいでしょうか?」

「はい・・・・・こちらで間違いないでしょうか?あと、市民証と冒険者のギルド証です。それから、大銀貨6枚です」


 書類に記入して、市民証と冒険者のギルド証とお金を出した。


「はい、間違いございません。大銀貨6枚、確かにお預かり致します。ギルド証の発行手続きに少々お時間を頂きますので、その間に他のご用件をお伺いしても宜しいでしょうか?」


 ドーランさんは書類と僕の市民証、冒険者のギルド証、そしてお金を後ろの事務の人に渡してから、こちらの話を促してきた。


「はい、ふたつめの用件は、スルホンさんと言う行商人がここを訪れたら、僕に連絡を欲しいと言う旨を、伝えて貰いたいのです」

「畏まりました。行商人のスルホン様がお見えになられましたら、シュート様が連絡を欲していらっしゃる旨をお伝え致します。ドーランが確かに承りました」

「はい。お願いします。最後に、先日も少しお話しした件なのですが、僕が独自に開発した冒険者向けの携帯食の製造販売を他の商人に委託できるかどうかを相談したいです。間違いや契約違反、情報が漏れたり等の問題が起きないための対策について、詳しくお話しをお聞きしたいのです」

「畏まりました。商人間の契約について詳しい担当者を呼びますので、少々お待ち願いますでしょうか?」


 少し待っていると、奥から年配の男性職員が現れた


「シュート様。契約についてご説明させて頂きます。ゆっくりお話しできるように個室をご用意致しましたので、こちらへどうぞ」


 僕は個室に案内されて、そこで色々と話を聞くことができた。

 契約の確実性を高める方法として、商人同士の契約に商業ギルドの公証人を立てる、契約書に魔術契約書を使用する(契約違反が判明した場合、相手にペナルティーを起こす呪いの様な仕掛けをするらしい)、商業ギルドに毎年の監査を委託する、等があるらしい。

 公証人の立ち会いと、監査の委託には費用がかかる。それぞれ、小金貨2枚と3枚だそうだ。他に、抜き打ち調査や内偵などの委託もできるらしい。

 お金はかかるけど、安全性を高める方法が色々とあるみたいで安心したよ。“乾燥携帯食”の具体的な話はスルホンさんが来てからだね。上手く会えるかな?こう言う時は、脩人の世界が羨ましいよね。お互いがどこにいても直ぐに連絡が取り合えるんだからね。


 新しい商業ギルドのギルド証を受け取り、市民証と冒険者のギルド証を返してもらって、商業ギルドを後にした。

 さて、スルホンさんが来るまでは、冒険者活動に腰を据える事と、“乾燥携帯食”の作り溜めをしなきゃね。それから新しく手に入れた素材を使って、新しい魔道具を作りたい。これも、魔道具技師として登録できたら直ぐに売り出せる様に作り溜めをしておこうと思う。

 暫くは着実に、堅実に、アテロールで生活を続けて行こうと思う。




脩人の恋の行方は?


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