10 シュート
本日も宜しくお願いします
ちょっと話がダラけてきたので、一気に時間を進めました
成人を1ヶ月先に控えて、もういつでも旅立てる準備が整った。
この半年、僕はずいぶん頑張ったよ。
定期的に魔獣狩りに行って、それを解体処理、魔道具を作って、魔術を訓練して、また狩りに行って。
狩った魔獣は、ホーンラビット、ナインテールフォックス、ソードディア、ポイズンスパイダー、ポイズンスネーク、ワイルドボア、フォレストウルフ、ゴブリン、コボルト。
魔獣との戦闘にはずいぶん自信がついたよ。旅の装備も充実した。お金はあまり無いけれど、『収納』に魔獣の素材がたくさん入ってるから、それを売ればかなりの資金が手に入る筈だよ。
習得した魔術は、攻撃魔術は中級までだけど四属性に適正があるし、『圧縮』で普通の中級魔術よりも高威力にできる。『誘導』で命中率も上げられる。奥の手の『雷撃』も持っている。十分だよね。
脩人に言われて、雷の威力を弱めた『雷痺』も開発した。相手を痺れさせて不動化するだけの魔術だよ。これでポイズンスパイダーから糸を採取することも可能になったし、素材を傷つけたくない魔獣を狩るのも簡単になった。
そして、攻撃魔術の複数発動にも成功したよ。初級や中級魔術を圧縮して高威力にした物を5つまで扱える様になった。その5つは単一の属性の魔術でしかまだできないけれど、将来的には、四属性を同時に発動するとかできるようになりたい。目下訓練中だよ。
『光明』を高威力にした『閃光』って名付けた魔術も開発した。一瞬、凄い光を出すだけなんだけど、これをまともに見ちゃったら、暫く目が見えなくなる。これは相手を撹乱させるのに役立つ。手に負えない魔獣と出会った時には逃走する時間が稼げる筈。
『索敵』『隠密』『収納』『障壁』『引寄』の魔術は習熟度が上がったよ。
『索敵』は500歩位の範囲まで感知する事ができる。
『隠密』は気配に敏感なソードディアの真後ろまで近づける。
『収納』はひと部屋分くらいの容量まで増えた。
『障壁』はワイルドボアの全力の突進も受け止められるし、中級魔術を防御できる。それを更に5重展開できる。上級魔術が防御できるかは、試してないから分からない。残念な事に、僕は上級魔術が使えないから、試すことが出来ないんだよね。
『引寄』は僕が自力で持ち上げられる重さの物なら10歩位の距離まで対象にできるよ。
そして、『鑑定』『解析』『鉱物加工』『移動』を新たに習得した。
『鑑定』は素材の種類、状態、魔力含有量などを調べる事ができるよ。
『解析』は加工された物の仕組みや円環術式を調べる事ができるよ。
『鉱物加工』は加工したい鉱物に魔力を通すと、粘土みたいに柔らかくなるので手で捏ねて整形した後、それを一日放置すると元の硬さに固まると言うものだよ。習得に成功した時は、脩人に「ずっこい!」って言われちゃった。でも、これには、かなりの魔力が必要だから、せいぜい拳大の大きさの鉱物までしか扱えない。脩人が「魔剣だ何だ」と騒いでいたけど、そんな大きさの物を加工するのは無理だからね。
『移動』は目視できる範囲内限定だけど、瞬間的にその場所へ移動する魔術だよ。途中に障害物があってもそれに衝突したり遮られたりする事はない。見えてさえいれば良いって凄く便利だよね。
他にも、僕が新たに開発した魔術があるよ。『産水』や『吸水』の逆の効果を示す、『乾燥』。服や靴、髪の毛などに含まれる水分を大気中に逃がす魔術だよ。
『索敵』と『解析』を組み合わせて開発した魔術が『図化』。これは『索敵』の届く範囲の大まかな地形図を把握する事ができるんだ。建物の中にいる場合は、間取りが把握できる。初めて行く町で重宝しそうだよ。
温度を操る魔術も開発したよ。これは、脩人の世界の知識や、新たに習得した『解析』を駆使した結果、成功した。名付けて『加温』と『灼熱』、『冷却』と『絶対零度』。空気や水の温度を変化させたり、物体を凍らせたり熱融解させたりできるよ。
温度を操る魔術を開発する過程で、火属性魔術の炎の温度を変化させる事ができるようになった。炎は温度によってその色が変わるんだ。赤色が最も低くて、約1500度、黄色は約3500度、白は約6500度、青は約10000度と変化していくんだってね。これで、火属性の攻撃魔術の威力を変える事に成功した。魔術の名前は、例えば『火弾』の場合、『赤火弾』『黄火弾』『白火弾』『青火弾』って言う風に魔術名の前に色を付けて呼ぶよ。
魔道具も色々作ったよ。
『付与』品では、ソードディアの革に『吸水』を付与した靴の中敷き、ホーンラビットの革に『付着』を付与した靴に巻く滑り止め、ソードディアの骨に『障壁』を付与した結界の付与品、『浄化』を付与した蜘蛛糸で作った服。あと、ポイズンスパイダーの外骨格で防具を作って『障壁』を『付与』したよ。
それから『冷却』の外套と『加温』の外套。リザードマンの外套を2着購入して、それぞれ蜘蛛糸の布を内張りしたよ。リザードマンの革には『障壁』を『付与』して、蜘蛛糸の布には1着は『加温』、もう1着は『冷却』を『付与』したんだ。冬と夏で使い分けるよ。冬用の手袋にも『加温』を『付与』した。
ポイズンスネークの革で鞘を作って、『浄化』を『付与』した。血で汚れた剣を鞘に入れると、綺麗になるから手入れの手間が大幅に減るんだ。綺麗になったら、普通の鞘に入れ換える。
『付与』品は常時魔力を消費するから、『収納』を活用して必要最低限だけ使うようにしているし、替えをたくさん準備したよ。
因みに「強力な『付着』を作ったら壁が登れるか?」って脩人の要望にお答えして、蜘蛛糸の手袋に『付着』を『付与』してみた。自室で試したんだけど、壁に頑丈に張り付いて、剥がすのに苦労したよ。『身体強化』して無理やり剥がしたら、壁紙が一緒に剥がれちゃった。何とか誤魔化そうと思ったんだけど、どうしても隠しきれなくて、侍女のターニャに見つかって凄い剣幕で怒られちゃった。てへへ。
円環術式を用いた魔道具は、『産水』の魔道具を作った。天幕の中で発動しておくと、天幕内が良い感じに乾燥して蒸れない上に飲水が得られて、一台二役なんだよ。乾燥しすぎない様に空気中の水分量を感知して調節する術式を組み込んだよ。僕が開発した独自の術式だよ。
それから、『光明』の魔道具。自分で魔術を発動しても良いのだけれど、魔道具があれば、他の事に集中できるからね。脩人が調べてくれた反射板の素材や形を工夫して、魔力の消費量を抑えてみた。ホーンラビットの魔石でも、連続使用で3日間使えるよ。
竈の魔道具も作ったよ。脩人の世界の野営用コンロってやつを参考にして、小型で折り畳みができる形にした。炎はもちろん、青い色だよ。炎の威力が分散しない様に、炎の吹き出し口を丁寧に作ったよ。脩人が自分の野営用コンロを分解してくれて中をじっくり観察させてくれたから助かった。そのお陰で燃費が良くなって、ホーンラビットの魔石でもスープを作るくらいの時間は発動できる。これ、絶対に売れそうなんだけど、魔道具技師として登録しなきゃ、販売はできないんだよねぇ。
紙の円環術式の攻撃魔術を時間差で発動させる件は、紙を2枚使うことで解決できた。1枚目は普通に攻撃魔術の円環術式を書いておいて、もう1枚には、「指定した時間が経ったら、1枚目の紙に魔力を供給する」と言う術式を開発して書いたんだ。この『魔力供給』は、『付与』品に魔石から魔力を供給する術式が既にあったから、それを応用したよ。
そうそう、ポイズンスパイダーの糸の元になるお尻の液体、あれね、魔インクの材料にできたんだ。魔石みたいに粉にする作業が要らないから楽だった。インクと糸液の比率は5対1位でもちゃんと発動できたから、結構実用的だと思う。
そして、携帯食作りも成功したよ。
まず、脩人の世界の料理を練習した。脩人の世界の料理って美味しいんだよね♪ 毎晩、脩人が料理を作ってくれて、僕も毎日真似して作って、あっちでもこっちでも料理してて、最後の方はちょっと食べ飽きちゃったけどね、そこそこ美味しいと思える味が出せるようになった。
それで次に、フリイズドライってのに加工した。こっちでは、“乾燥携帯食”って呼ぶことにしたよ。
作る行程は、凍結→真空→乾燥だよ。
燻製肉、ビスケット、チーズ、色々なスープ、シチュー、果物、野菜などを加工したよ。まずこれらを『絶対零度』を発動してマイナス30℃位に冷やして凍結させる。次に『障壁』で球体を作り、その中に凍結させた料理や素材を入れる。風属性の生活魔術で球体内の空気を抜いて真空を作る。そして、30℃位に『加温』して乾燥(昇華)させる。
真空状態が不十分だったり、『加温』の温度調節が上手くいかなくて、何度か失敗したけど、最終的には満足のいく出来上がりになったよ。コツコツ作って各料理30個ずつ準備した。これは売る用だよ。自分が食べる分は、出来立ての料理や焼きたてのパン、瑞々しい果物や生野菜を『収納』にたっぷり入れてある。1~2ヶ月は食いつなげると思う。
はぁ、本当に脩人には感謝しかない。僕ひとりではここまでできなかったよ。脩人がいてくれて良かった。これからも宜しくね。




