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ショートショート7月~2回目

登場人物が消えるとき

作者: たかさば

私は、物語を生み出しています。


私の物語は、私が想像した物語。

私の物語の中で、私の想像した人たちが、物語を作っています。


物語には、ずいぶん魅力のある登場人物がいます。


物語の中で、人々は生きています。

物語の中で、人々は生き生きと過ごしています。

物語の中で、人々は人生を謳歌しています。

物語の中で、人々は人生を終えることもあります。


物語の中の人は、そこが私の想像した物語の中だと知りません。


けれど、私は、そこが私の想像した物語の中であることを知っています。


私は、物語をのぞくことができます。

私は、物語を知ることができます。

私は、物語を楽しむことができます。


私は、物語の中に入ることはできません。


私の心を持った登場人物を用意しても、それは私ではないのです。

私の心を持った登場人物は、私の心を持った物語の中の登場人物なのです。


私は、物語の中に入ることはできないのです。


物語の終わりは、物語の終わりにあります。


物語が終わっても、私はここに存在しています。

物語が終わっても、私は私として、ここに存在しています。


私は、物語が終わるまで、物語を楽しむことができます。


物語が私の心を弄ぶことがあります。

物語は私の本能に語り掛けることがあります。

物語に私の願いを乗せて大きく羽ばたかせることがあります。


物語が完結した後は、物語の余韻に浸ります。

物語の結末を心行くまで楽しむことができます。


この物語はこういう結末なのだと、受け入れることができます。

この物語はこういう結末しか迎えることができなかったのだろうかと、悔やむことができます。


この物語の結末までに、いろんな出来事があったなあと振り返ることができます。

この物語の中の出来事は、結末を迎えることができた物語なのだと誇ることができます。


物語が終わってしまった後、私はどうしたら良いのでしょうか?


物語が終わっても、私は終わることができません。

なぜなら、物語の終わりは、私の終わりではないからです。


物語が終わってしまった後、私は物語を思い出すことができます。

物語が終わってしまった後、私は物語を再びのぞくことができます。

物語が終わってしまった後、私は物語をまた想像することができます。


私は、新しい物語を想像することも可能なのです。


私は、物語を、終えることも、続けることも、書き換えることも、可能なのです。


私は、今、私の想像した物語の登場人物であるあなたと、対峙しています。


私は、あなたがどのような結末を迎えるのか知っています。



……あなたは、どんな結末を迎えると思いますか?



私は、あなたがこのあと、私にどんな言葉を返すのかも知っています。



あなたがこのあと、何をしでかすのかも知っています。




さあ、覚悟を決めたら……いつでも、ど う ぞ?

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― 新着の感想 ―
[良い点] うん、知ってるよ。 私達を生んでくれたのはお母さんだもん。 お母さん気持ちも分かるよ?。 私達にどうして欲しいかも分かるよ?。 だからね、お母さんに言いたい事があるの。 私達を生んでくれて…
[良い点] んん? 物語が終わったら新しいの……それは私の考えですか [気になる点] 登場人物さん、それはそれはおそろしかろう、もしくはへらへら系? [一言] うむ。なんとなく、へらへら系しか生き残れ…
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