第二話:トマトへの情熱
俺が黙々とカツ丼にカブリついていると、藤野が口を開いた。
「そーいえば、智がいないわね。どーしたの?」
俺が顔を上げると、藤野の天ぷら定食が見えた。
「あーそういや、今日来てないな」
俺は一言そう言うと、もう一度カツ丼を口にほおばる。
横では春が、さもおいしそうにトマトサラダを食べていた。
「アンタね・・・友達でしょ。そんなんでいいの?」
藤野が呆れた様な口調でそう言った。
俺はもう一度、顔を上げた。
その瞬間、古川と目が合ったがすぐに伏せられてしまった。
俺、何かしたか・・・?
そんな事を思いつつも、素っ気なく言葉を返す。
「まぁアイツもたまにはサボりてぇんじゃねぇの。いいんじゃねアイツはダブることねぇし」
「はぁ・・・アンタ、ちょっとは心配しなさいよ」
と、言われましてもね。
智と言うのは、鹿野原 智 鹿野原財閥の社長の一人息子だ。
鹿野原財閥って言うのは、この街、いやこの国でも、1,2を争う大きな財閥だ。
智はその次期社長って事になってる。
まぁそんな奴がどうしてこんな学校に来てるのかはよく不明だ。
でも、アイツが欠席なんて事は今まで見たことない・・・
そんなこんなでちょっと心配する俺であった。
そして、カツ丼の最後の一口を一気に口に頬張った。
横を見ると、全て綺麗に食べきっていた皿がお盆の上に置いていた。
そして、俺は席から立ち、春に合図を送った。
「じゃあ、俺ら行くわ。じゃあな」
「バイバイ」
「さようなら・・・」
俺達は藤野達に別れを告げ、学食からさっと、出て行った。
「いや〜やっぱりトマトは最高〜〜〜〜一日三食トマトでもいけるよ〜」
教室に戻る途中に春が言った。
「いや、お前は実際そうだろ。ど〜せ、また朝っぱらからトマト食ってきたんだろ」
俺は皮肉っぽく返した。
「ん〜実際トマトは食ってないけどね〜トーストにトマトジャ・・・」
「待て、もういい!!お前のトマト雑談何かもういらない!!誰も求めてやしない」
俺は春の言葉を慌てて遮った。
これ以上喋らせていると、もうどうなるか分からないからだ。
最終的に小1時間、話された事もある。
そうこうしている内に教室についた。
はぁ何か、全然物語が展開しない・・・