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誤算・4


中庭に行くと、腕組みをして立っている銀髪の若い男が目に入った。

さっきまでお茶をしていた、婚約者にしてヒロイン弟のアルカス。


(あー、気が重いわ)


流石にいきなり焼き殺される事は無いだろうけど、警戒しておくに越したことは無い。

かと言って、これまでの記憶がほとんど無いから防御魔法の使い方とかもわからないんだけど。


「お待たせ致しました、アルカス様」


炎魔法は放つと敵に向かって一直線上に走る。

だから私は、アルカスの腕の直線上に入らない様に注意しながら声をかけた。


「……ラーネ」


少し跳ねた銀髪に単眼鏡モノクル

深い青の瞳の美青年がゆっくり私の方を向く。


「アルカス様。先程は失礼致しました、わたくしの謝罪が足りぬ様でしたら、何なりと仰って頂ければと思います。ですが、どうかお願いです。命だけは……!」


取り敢えず、命乞いをしよう。

そう思った私は、両手を組み跪いて許しを請うた。

アルカスは、微動だにせず私を見下ろしている。


「あの、アルカス様」

「ラーネ。お前はさっきから何を言っているんだ?婚約破棄だと?何故だ。俺の事が嫌になったのか?」

「……は?」


え、貴方こそ何言ってるの?


「あ、あの……私はこれまでの罪を……」

「罪って何だ」

「リアドリス様に、数々の嫌がらせを……」

「いつ?」


いつ!?

えぇと、確か手紙イベントから数えて3回目くらいの舞踏会で何かやってた気がするんだけど……。

あ、思い出した。


「マデリン様主催の舞踏会で、リアドリス様の大切な首飾りを盗ませようとしました」


マデリン様とは、第一皇子の婚約者で別ルートでの悪役令嬢。

この方もそこそこなバッドエンドなのよね。


「お前は体調不良が続いて舞踏会にもパーティーにも暫く出ていないだろう。何なんだその妄想は」

「パーティーに出席してない!?」


嘘。そんな筈はないわ。

だって、ゲームではパーティーや舞踏会には毎回ラーネは実兄や従兄弟と出席してたのよ?

アルカスが、姉のリアドリスばかりエスコートするから。


そうだ、これよ。


「そ、それにアルカス様はリアドリス様とばかり出かけられるではありませんか!私と言う婚約者がありながら……!ですから私、悔しくて悲しくて!」


で、嫌がらせをしたんですよ。

あぁ、可哀想なラーネ。


「仕方ないだろう。お前は体調不良続きだったし、姉のエスコートを弟が務めるのは当然の事だ」


「……アルカス様とリアドリス様が実のご姉弟ではない事は存じてます。そしてアルカス様、本当はリアドリス様がお好きなのでしょう?ですから私は大人しく身を引かせて頂きます」


「はぁ!?言うに事欠いて何て事を言うんだお前は!確かに俺達は義姉弟だが、姉には想い人が居る!お前も知っているだろう?一体どうしたんだ?」


「想い人!?誰!?」


アルカスは、ハァ……と大きく溜息を吐いた。


「ラーネ。後でお前を検査させて貰う。姉の恋人はお前が一番良く知ってるだろう。トリスタンだよ」


「だ、誰?」


「さっき居ただろう。我が一族の一人で才能溢れる男だが勉強嫌いで今は御者をやっている」


え――!?


あの「っす」てチャラチャラした語尾のアイツ!?


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