K先生
私は男の先生の方が好きだ。もちろん”好き”というのはLOVEではなくLIKEだ。
今までの女の先生はすぐに感情的になるので、理論的に話してくれる男の先生の方が良いと思っていた。
そして担任となったK先生もすぐにみんなに慕わられたし、私も良い先生だなと思ってた。
一応一人一人のことを考えている雰囲気だし、問題児にされていたこの学年を他の嫌な先生たちから必死に守ってくれてた。
みんなが大好きなK先生だが私はあの姿を子どもの前で見せて良いのかと疑問に思う。
とある男子二人とK先生はよく”哲学”という話をしていた。お題を出してそれについて3人で語るのだ。
私は先生の机の前だったためよくその話を耳に入れていた。
毎日毎日話すから私もその3人にちょっとだけ声をかけてみた。
「いつもお題を出して話すってすごいですね」
「…女には難しいよ」
男子の一人が軽く言った。
私は何故かこの言葉に対してK先生がどういう反応をするのかワクワクと待ち構えてた。
しかし、非常に短い間だが待てども待てども何も聞こえない。
先生の口は半開きのままで動くことは無い。
薄暗い口の中を横目にしながら私から「そうなんだ」と言ってしまった。
K先生は小学6年生の女子には何も響かない言葉だと思ったのだろうか。
それとも私を入れたくないのか。
嗚呼、本心か。