クエスト『首なき騎士』④2つnaの話。
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
王国乙女騎士団だと知った俺は落ち込んでいた。
下を向き、放心状態の俺...........。
そんな俺の肩を揺すりキララが声を掛けてきた。
「ねっ、ねぇールル。そろそろ僕達が出発する時間だよ。.....................立てるかい?本当にごめんよ...............僕達が喧嘩なんかしたから、怖い思いさせちゃって..............」
何か勘違いしているキララ。ショックを引きずっている俺はその言葉を無視した。
俺達がディルパレス廃城のエリアBOSS『首なき騎士デュラハン』の元に向かうのは一番最後のパーティー。
ディルパレス廃城の道幅はそんなに広く無く。混戦を避ける為に3パーティに分ける必要があり、1時間づつ時間をずらし攻略する必要があるとの事。時間の理由は知らない。
俺の状態に気遣う様にパーティーが再編成され、ダニエルのおっさんがリーダーとなり、イフンが副隊長、乙女騎士が2人と女魔法使い1人、信仰系女魔法使いが1人、そして俺とキララの編成となった。
力無く立ち上がる俺に、女魔法使いと信仰系女魔法使いが声を掛けてきた。
「あのー大丈夫ですか?私はユウリ・クロップ。回復とサポートを担当をさせて頂きます。どうぞ宜しくお願いします」
ユウリは俺に深々と頭を下げる。
「私はアウェー・ドローン。攻撃魔法で何でもかんでも蹴散らすよー」
アウェーは俺に軽く手で会釈する。
死んだ目で2人を見る俺。しかし...............。
俺の目はみるみる生気を宿し、ユウリとアウェーの顔に食い入るように見つめる。
ユウリ・クロップ。
背中に小さな飛べない羽を持つ。ハーフセラフ。偽物天使のジルとは違い本物の天使だ!
穢れ無い笑顔が俺の傷付いた心を癒した
アウェー・ドローン。
小麦色に焼ける肌、耳の尖る、ハーフエルフ?ダークエルフのハーフなのか?。
無邪気に笑う笑顔が俺の冷えた心に元気をくれた。
2人は俺に興味があるというより、キララの方をチラチラ見ては、俺に紹介しろよー的な視線を送る。勿論俺はそんな事はしない。俺は今自分の事で必死で目を血走らせユウリとアウェーをガン見している最中だからだ。
乙女騎士2人はダニエルに遠慮しているみたいで、俺に近づこうとはしなかった。
ディルパレス廃城に入った。
俺の気分は晴れやかだ。しかしやはりアンデッド系の魔物・魔獣が発生するダンジョンであって嫌な空気がビリビリ肌を刺激する。
廊下の壁にマジックアイテムのランプが等間隔で設置されており、視界は良好。道幅は狭く5m程しかない。必然的に直線に編成を余儀無くされる布陣で奥へと進む俺達。
先頭にダニエル、次に乙女騎騎士、女魔法使いアウェー、乙女騎士、俺、キララ、信仰系魔法使いユウリ、イフンの順で奥に進む。
何と言えばいいのだろうか?ありがとうなのか?馬鹿にするな!なのか?守られている感が半端ない。
廃城に入ったのにも関わらず部屋のドアなるものが一つも無い。外を見ようにも窓もない。ただ壁と壁に挟まれた道を進むだけ。
イフンが言っていた。廃城に入った瞬間に廃城の内部が高度な魔法で作り変えられ、エリアBOSSの元、つまり王の間に到着する迄6時間位の時間を要するそうだ。外から廃城を見る限りでは10分も要さず、王の間まで到着出来ると思っていたのにゲンナリだ。
暫く進むと、先頭を行くダニエルが立ち止まり言葉した。
「くるぞ!戦闘用意!」
ダニエルの前方10m程前に黒い煙が立ち上がり、魔物・魔獣が姿を現わせる。
人型の魔物レヴァナント5体、魔獣ワーバウルゾンビ5匹。
レヴァナント。
中位アンデッド。性別は男女問わず。特徴としては顔が半分ない、心臓のある部分がえぐられており、向こう側が見える。
基本攻撃は怪力で相手を押さえ込み、からの、噛み付き。牙と爪に毒を持ち、下位魔法も使う。
ワーバウルゾンビ。
下の上位アンデット。狼の魔獣バウルの上位種のアンデット版で、スピードがアンデッドとは思えない速さで、気が付けば首元にガブリされている。
ハッキリ言おう。場違いである。俺はここに居ていい人間では無い。っていうか帰りたい。
アンデットには物理攻撃耐性が備わっているのが殆どで、中には物理攻撃無効ってのもいる。
一番効果的なのが魔法による攻撃とされている。その中でも火属性、光属性、神聖属性攻撃が効果的とされている。
ダニエルの言葉で、女魔法使いアウェーと信仰系女魔法使いユウリが詠唱を始める。
その間にワーバウルゾンビ5匹が猛スピードで駆け出して来た。
ダニエルが、ゆっくり腰に携える片手剣を引き抜きながら、ゆっくりワーバウルゾンビの方に歩み寄る。
ワーバウルゾンビが、ダニエルに向かい飛び掛かり、互いが接触する瞬間...............。
俺にはダニエルの動きが見えなかった..............。
俺にはダニエルは何もせず歩いているようにしか見えなかった。
だが、ダニエルに飛び掛かったワーバウルゾンビ5匹は木っ端微塵に全てを刻まれて、ボトボトボトと鈍い音を奏でて地面に無残な姿を晒していた。暫くして黒い煙と化しワーバウルゾンビは5つの魔石に姿を変えた。
「性格も戦闘も化け物かよ...........」
ダニエル1人が居れば何も問題無いのでは?と思われたのだが...............。
ダニエルはそのまま奥のレヴァナントの方に歩み寄っていく。
先頭のダニエルと次の乙女騎士の空いた間に黒い煙が立ち上った。
「次来るぞおおおおおっ!怠るなよ!」
現われた魔物レヴァナント8体。
「まっ!マジか!」
それだけでは無かった。背後から金属音が聞こえてきた。
振り返り、目で確認すると、イフンがワーバウルゾンビ10匹とレヴァナント3体と戦闘を繰り広げていた。
「ヒィーッ!こっちもいるのかよ!」
そして。
「燃やし尽くせえええっ!!!フレイムアロー!!!」
その言葉と同時にアウェーの杖から10本の炎の矢が天井に向かい放たれた。
炎の矢は前に6本後ろに4本に分かれ弧を描き、魔物・魔獣を突き刺さる。炎の矢で射抜かれた魔物・魔獣は一瞬で炎を包まれ、断末魔を挙げて、その場に倒れ、姿を魔石に変える。
「聖なる力の恩恵を!ホーリーウェポン!!!」
その言葉と同時にユウリは光輝く手の平を、天に翳して、手首を回して、一周させる。
動きに合わせて、青白い輪が、ユウリを中心に広がり、パーティー全員の武器が光に包まれた。
間髪入れずに次の詠唱を始めるアウェーとユウリ。
湧き上がる黒い煙。
レヴァナント、ワーバウルゾンビが言葉通りに次々に湧き出てくる。乙女騎士も一閃でレヴァナントを屠り続ける。
イフンはユウリと余り距離を取らず、後方に湧き出てくる魔物・魔獣を迎え駆逐していく。まるで壁だ。イフンの剣の間に入った瞬間細切れだ。いい料理スキルを持っている事は容易に想像出来た。
イフンに背中を任せているユウリも進行方向を向いて魔法の詠唱を行っている。イフンの信頼度が非常に高い事を物語っていた。
俺の前で身構える乙女騎士は終始、俺の周りに気を配って、完全に俺一人の身を守る為に配備された人員である事は直読み取れた。
そんな中、イフンが自分より強いと言わしめたキララは、腕を組みただこのパーティーの戦い方を見ているだけだった。
「お前も頑張れよ」
つい言葉が漏れた。
戦いが始まり10分程経過した頃にはもう黒い煙は立ち上がる事は無い。床一面に魔石が転がり数えるのも嫌になりそうだ。レヴァナント、ワーバウルゾンビの攻撃は俺の元に届く事無く、全てイフンと先頭の乙女騎士の前で倒され、安全に事を進める事が出来た。
流石は上級揃いのパーティーというしか無い。戦闘後、皆に笑顔が見られ、まだまだ余裕と言った雰囲気を醸し出す。
奥に単騎で姿を消したダニエルも戻ってきて、パーティー個人個人の状態確認を始める。
そんな中俺は、いつの間にかキララに抱き付き体がブルブルと震えていた。俺の事を馬鹿にするんだろうな?とキララの顔を除き込むと、何故かキララは一点にダニエルを見つめ、面白くなさそうな表情を浮かべていた。
俺が抱き付いてやっているんだぞ!もっと喜べよ!とも思ったのだが、ここでヘソを曲げられては、俺の命が危ないと、俺はそれを言葉にしなかった。
そうこうしている内にダニエルが俺の前に来て俺の状態を確認してきた。
「ダーリン。大丈夫だっちゃ?」
「ああ、魔物・魔獣のダメージは無いけど、お前からのダメージが半端ないよ!」
俺は正直にそう言った。
何故かそれでニッコリ笑うダニエル。そのダニエルの態度にイラっとしたのであろうか?俺の事が大好きなキララがダニエルに文句を垂れた。
「なんだい!この戦い方は!これじゃールルが死んじゃうじゃないか!」
全て俺の所為にして戦い方を批判する。白い眼が俺に突き刺さるのを感じた。
「ん?と言われましても……これが現パーティーで最良の戦い方だと私は自負しているのだが……」
顎に手を添えキララの問いに答えるダニエル。
「ダメだ!ダメだ!ゴースト系の魔物が出現したらどうするんだよ!ルル一撃で死んじゃうんだよ!君はそれを分かっているのかい?こんな戦い方僕は認めないよ!」
おい!こら!ちょっと待て!俺は一撃でお陀仏なのか?そんな事一言も聞いてないぞ!と俺はイフンの方に目を向ける。俺から目を逸らし、吹けない口笛を吹くイフン。
こ、こいつ............後で一杯抱きしめてやる。
「しかし、これ以上の戦い方は出来ない。その為にルル君の前に騎士を1人配備している............それに彼の後方にはキララ殿、貴方が居るじゃないのかな?」
そう正論を言ってきた。
「はぁー、僕も正直言うよ。ここは狭い。僕の火力だと皆を巻き込むんだよ。だから大したサポートが出来ない」
こ、こいつ.............俺守れない宣言をしやがった。
「そこでだ。僕が前に出るよ。君達にルルは任せられない」
キララが無い胸を張り、恰好いい事を言ってきた。
暫く考えるダニエルだったが、キララの自信溢れるその表情にキララの提案に渋々従った。
でキララが提案する編成になったのだが............。
先頭にキララ、次にイフン、そして俺、後はどうでもいいよ!と適当な事を言ったキララ。流石に一流のパーティーにその言葉は反感を買うだろうと思われたのだが............。
何故か素直に従う他のメンバー達。それよりも、その編成を聞いた。アウェーとユウリの目が光り輝いていた。
行進を始める前にキララが一言だけ皆に言った事がある。
「魔物・魔獣が出現しても僕に付いて来て、そのまま歩き続けるんだよ。とっとと終わらせよう」
と、俺にニッコリ微笑んだ。
それは良いのだが...........なんと言えばいいのか!俺はさっきの編成の方が安心感があった。正直前の2人を信用していない俺。そんな俺を気遣ってくれたのか?アウェーとユウリが俺と並行して歩き出した。
「あ、ありがとうな..............」
2人に感謝を言葉を送る俺。しかし2人からの反応が無い。無視だ。無視。ガン無視だ。俺の事を無視しやがってと、抱き付こうと思ったのだが、2人の目はただ一点キララに注がれていた。
首を傾げる俺。何故にそんなにキララが気になるのだろうか?もしかして、こいつらもなのか!?そっち系なのか?それでいいのか!これがいいのか!これでいいのだ?.................。
バカになった俺。肩を落としキララの方に視線を送ると、奇妙な事に気が付いた。
キララはいつの間にか武器を所持していた。スタッフなのだが.................。何故か左右に3本づつの計6本のスタッフが見える。指と指の間に器用に掴み、少し脇を開け斜めに下にスタッフを垂らすキララ。スタッフの頭に赤・白・緑・透明・青・黒・の色違いのコブシ程の球体があり、それはとても良い品、高級感溢れる作りをしていた。
「感じわりぃな、成金かよ!」
俺はそう言って床に唾を吐いた。
その時....................。
「ファイアボール」
呟くようにキララが前方に魔法を放った。
魔法が放たれてから黒い煙が着火地点に舞い上がる。魔物なのか?魔獣なのか?姿を現わせる前に黒い煙は炎に包まれた。
何という事でしょう.........匠は魔物の出現を瞬時に把握して魔法を放ったのです。これが匠の技。これが極めた者の真骨頂と呼べるのではないでしょうか?
意味もなくナレーションしてみた。しかしだ!下位魔法かよ!そう思ってゲンナリした時だった..............。
「ホーリーレイン・エアーソルト・ファイアアロー・ライトスピア・アイスストーン・ダークニードル・エナジードレイン・ホーリーソード・ヘルファイア・エアーランス・ライトニング・アイストゥース・ダーククロウ・エナジードレイン・ファイアフット・エアーバルブ・ライトソルト・ホーリーゾーン・アイスエイジ・ダークライトライジング...............」
隙間無く魔法を連発するキララ。魔獣・魔物が出現する前に全てを屠り続ける。何が出現しているのかも判断出来ない。スタッフの玉の色、赤・白・緑・透明・青・黒にそれでそ適した魔法を宿し魔法を放つキララ。その姿は有り得ない光景であった。
魔法を放つには詠唱が必要。それぐらいの知識は流石の俺でも知っている常識。しかしキララは魔法を詠唱する事無く放ち続けている。チートだ!チート!お前だけズルいぞ!俺にもそれをよこせ!。
ハッキリ言って出来レースだ。そう思っているのは俺だけではないであろう。ここに居る全ての者がそう感じているであろう。その証拠にアウェーとユウリの顔は喜びで満ち溢れ、魔法の詠唱すらしていない。イフンも武器を鞘から出してはいるが、構える様子が全く無い、剣先は地面に向いている。
それを見た俺は声を大にして言いたい...........。
そういう力は普通主人公の俺にあるべきだろ?と……
キララは体を左・右に軽く回転させながら、スタッフを振り、魔法を放ち続け、先頭を普段と変わらないスピードで歩き続ける。
背後はどうなっているんだ?と確認すると、背後も同じ様に、黒い煙が発生すると同時に炎や光り輝く何かしらに包まれ。魔物・魔獣の姿を拝むことが出来ない。そこに魔獣・魔物が出現した証拠に、魔石だけが俺達の前に姿を見せていた。
「なんだよこれ...........」
俺の言葉が耳に入ったイフンが、俺に話掛けてきた。
「ふふふふ、凄いでしょ?キララは、魔法詠唱をまるで行っていないみたいに見えますが、ちゃんと行われているのですよ」
と、不気味な笑い方でポンコツがポンコツらしい事を言ってきた。
「お前馬鹿じゃないのか!?魔法の連発なんて聞いた事がないぞ!それぐらい俺でも知っているよ」
「ふふふふ、キララ様はね、脳内詠唱を行っているんだよ」
と、不気味な笑い方でアウェーがポンコツの言う事を肯定するアホだという事が判明。
「しかし、凄いですね.........圧巻ですよ.........全ての言語を解読したキララ様ならではの戦い方ですよね...........本当に尊敬します」
と、ユウリが瞳を輝かせ、天使様は俺を優しく諭した。
「お前らさっきから何を言っているんだよ!魔法の連発なんてチートだろ!?」
「ふふふふ、キララのチートはそこでは無いですよ。これは至ってノーマル仕様のキララです!」
嬉しそうにそんな事を言うイフン。
「............どういう事なんだ!?意味がさっぱり分からないんだが............」
首を傾げ考える俺。そんな俺を嬉しそうに見る3人が憎らしい。
後でまとめて抱き付いてやる!ヒィーッ!ヒィーッ!言わせてやる。俺はそう誓った。
「キララは、この世界に存在する言語を全て把握しているんです。おおよそ、その数千言語です。凄いでしょ?」
俺に笑い掛けさっきユウリが言った言葉に少し色を付けて繰り返すポンコツ。
「だから、それが何なんだよ!」
ちょっとイラつく俺の口調は強いものになる。
「うーん。例えば名詞の『くも』は2通りの意味があるよね?空に浮かぶ『雲』と節足動物の『蜘蛛』同じ文字だけど、全く異なる意味を持つ言葉だよね?もしこれが召喚の詠唱だと2つのものが出現する事になるよね?それだよ!それ!」
私今凄い分かり易く言ったよー的な態度で胸を張るアホなアウェー。
「うん、なるほど!全く分からん!アホは黙ってろっ!」
俺はアウェーの伸びた鼻をへし折った。崩れ落ちるアウェー。
それを聞いたイフンがそんなアウェーを無視して次は私の番よー的な態度で胸を張り俺に話しかけた。
「キララに教わった魔法詠唱で分かり易く説明します。黒系下位魔法ファイアボールと信仰系中位魔法ホーリーレインで説明しますね。ファイアボールの詠唱は『我求める炎の球体』です。ホーリーレインは『神の力を求めし我が呼び掛けに答え、光の力を我が前に示し、不浄なる者の血肉を天に召し、その者の業を無に返す、それは神の教え、それは神の意志、それは我が願い、光の雫よ、我が前の不浄なるものに神の導きを与え給え』と全然違うのですが、ところがどっこい!これをこの世界にある全ての言語を使うと、ファイアボールは『アーミークライ』だけでいいそうです。そしてホーリーレインは『アーミークライカイットホー・ルクレタ・ディヴ・オーシャル・ナザレクス』でいいそうですよ」
「.............本気かそれ!?」
「ええ!大マジです」
つまり、キララは1回の魔法詠唱で1つの魔法だけでは無く、2以上の魔法詠唱を同時に行う為に、数千ある言語から言葉を選び、魔法詠唱を行なっているとの事である
。
にわかに信じがたい俺なのだが...............。
「「イフンさん、さっきの詠唱もう一度教えて下さい」」
アウェーとユウリが何処から持ち出したのか?ペンと紙を持ち、必死な形相でイフンに詰め寄る所を見るとマジなのであろうと思われた...............。
それだけでも凄い事なのだが、キララはこの周囲を全て把握して、後方にも気を配っている。
しかもだ!時よりエナジードレインを使いMP管理にも余念がない。
更にだ!偶にヘアーチェンジなる魔法で俺の髪の毛を面白可笑しくイジリる余裕も見せる。
なんて奴だ!俺はキララを少し見直し、ヨシ!後で俺の肩もみと乳もみのコンボご褒美を用意する事にした。
そんな俺を見て嬉しそうにイフンが俺に声を掛けてきた。
「キララって最高ですよね?キララの2つ名は3つ有りまして.............一つは、傲慢の魔女魔女。これは王国の人間が陰口でキララ付けた2つ名でして..............」
「ああ、さっきゲテモノに言われてキレてた2つ名だよな?」
「ええ、そうですね!本当に最悪ですよね..........」
なるほどね。だから王国の人間であるゲテモノに言われて怒ったんだなと俺はそれを理解した。しかしだ!俺は知っている。キララもそれ相応の事を王国でやらかしている事を.........王国の人間がキララに怯えていたのが何よりの証拠だ。
だがな!陰口を叩く奴は俺は嫌いだ!
「だな!俺がそんな2つ名をキララに付けた奴を見つけて、ぶん殴ってやるよ!」
「ふふふふ、どうぞ宜しくお願いします」
俺の真剣な顔を見て不気味な笑い方をした。さっきから、こいつ..........。
「それで残り2つは?」
全く興味は無かったが、イフンがモジモジして聞いて欲しそうだったので聞いてやる事にした。
「...............今の姿を見た人々はキララをこう呼ぶんです」
イフンは口を緩め魔法を連発するキララの方に振り返り真顔で言葉した。
「魔法詠唱を統べる者キララ・パンプキンと!」
適度に足を開き、胸を張り高々と声を威勢よく張り上げ、片手を腰に、片手を高々と天を翳し、恰好良くポーズを決めて言って魅せたイフン。
しかし……。
「あっ!ゴメ。イフン。逆剥け気になっちゃって聞いて無かったわ!何て言ったんだお前?」
「.............」
イフンは顔を紅潮させ、それ以上何も言ってこなかった。
「なぁーっ。今のもう一回やってくれよ」
俺は赤面し顔伏せるイフンにニヤニヤしながらそう言った。