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気が付けば英雄と呼ばれる存在になりまして  作者: 陽空
こんなに育っていいのかと不安になります
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ディルパレス王国VS魔王軍③

 魔王軍屈指の3人の幹部を失った魔王は大地に足を踏みつけていた。


 魔王はまたもや血で眷属を召喚するのであろうか?大地に手をつけると10程の魔法陣が展開された。


 魔法陣から召喚された物々しい存在は、もう立っているのもギリギリの魔王に何やら注意を受けている様だった。その声をマジックアイテムの拡声器が拾い拡声させる。


 「いいか!あの漆黒の鎧の魔法剣士はヤバイ!勝手な事はするな!安全距離を保ち、飛んでくる魔法のみの対処に当たれ!いいか!くれぐれも勝手な事はするなよ。ではいけ、魔王軍の恐ろしさを思い知らせてやれ」


 と何かを間違っている言葉を掛けていた。



 しかし俺は思うことがある。

 1人魔王軍に立ち向かうキララ。剣術だけでまともに戦えば凡そ秒速1000の単位で魔獣、魔物を屠る力がある。魔法も踏まえれば...............。


 ...................なんて奴だ!!


 魔王軍も必死に抵抗を試みているが、それは『MP回復ドリンク:エネルゲンG』あって成り立ち、アイテムが切れると同時に魔王軍の敗北が決定するのでは無いであろうか?と。

 現に魔王軍の魔法を使用出来る者達は『MP回復ドリンク:エネルゲンG』をがぶ飲みしている。足元には空いたビンだらけだ。


 鷹の目を持つ俺には『MP回復ドリンク:エネルゲンG』の使用条件欄もクッキリ目に見えて「朝、昼、晩各1本づつの使用に控えて下さい」の注意事項が凄く気になり、魔王軍が如何に無理を通しているのかが分かってしまう。


 相反してキララは2本の真紅の剣に魔石を当てながら魔力を吸収している様に見える。いや、間違いないであろう。あの武器はそーいう武器だと理解する。


 このまま行けばキララ1人で全てが終わる。そう思われた時であった。



 「ドドドドドドドドッ。プゥウーーーッ!プゥウーーーッ!ドドドドドドッ!」


 法螺貝で何やら作戦を実行に移すらしい。

 城門の上からはそれが一目で理解出来た。


 キララぼっち作戦。


 魔獣、魔物の軍勢が2手に分かれて、キララを中心に大きく弧を描き避けていく。


 敵ながら天晴である。


 魔王軍の目的は聖女ラピス。チートの塊キララなど相手にしなくてもいいのだ。

 キララを中心に2手に分かれた魔獣、魔物はキララを居ない存在だと言わんばかりに無視して城門に向かい突進してくる。


 何故かキララの背中が少し寂しく見えた。


 まぁーこれを予想したのもキララなのだ。でも、分かっていても寂しいものは寂しいのだろうと思う。キララの背中がそう語っているように見えた。しかし見事なものだ。後で頭を撫でてやろう。俺はキララにもっと優しくしてやろうと考えた。




 そしてやっと出番が来た右翼のイフン率いる1000の騎士。左翼にアルベルト率いる9000の騎士が迎え撃つ。


 ド真中でボッチにされたキララは右左に駆け出し、魔王軍の突撃に切れ目を作り、詠唱が終わると『世界ムンドゥス』を魔王の方に放っていた。



 右翼のイフンと魔獣、魔物が衝突すると思われた瞬間だった。

 

 『ソニックブレイド』


 イフンが放つ斬撃が突進する魔獣、魔物を一瞬で魔石に変えた。


 「やべぇー。ここにも化け物が居たんだった」


 すっかり忘れていた。イフンも大概の化け物である事を。魔獣、魔物を引付け放たれたイフンの斬撃はキララよりも伸びて魔獣、魔物が一気に魔石と化した。

 

 しかし何だアレは、桁違いに能力が向上しているのではないであろうか?と俺は考える。成長期か?と首を傾げ考えながらイフンの胸を注視する。そんな俺の方にイフンが振り返り。大声で何かを言ってきた。


 しかし、それは周りの声にかき消され聞こえない。そこでイフンはジェスチャーで俺に言葉を送ってきた。


 イフンは剣を掲げて、残った方で指を差し。


 「ふむふむ、この剣は............」


 股を広げて、両手で円を描いた。


 「凄く良いものだ。とな」


 可愛い奴よ。俺はイフンをそう評価した。


 俺も股を広げて、両手で円を描き「今夜は〇」とそれに答えた。それを見たイフンは親指を突き立て俺に合図を送った。どうやら俺の天界からのお土産を大層お気に召されたらしい。


 確かカラドボルグだったかな?全財産はたいた甲斐はあったようだ。



 

 そして左翼のアルベルトと魔獣、魔物が衝突した。

 流石は真の世界で勇者と呼ばれる存在になっただけはあるアルベルト。何とか魔王軍の進軍を止めて好戦している。少し危な気ではあるものの、騎士達が互いがフォローをし合っている。


 キララがアルベルト達に言った言葉があった。


 「いいかい。騎士道もいいけど、これは負けられない戦なんだからね。1対1で堂々と、何て考えるんじゃないよ。1匹に対して3人で事に当たるんだ。戦術の各個撃破基本だからね」


 どうやらそれを守っているみたいだった。連携もいい感じに取れていた。


 魔王軍の大多数である魔獣、魔物の軍団も1/4は削ったのでは無いであろうか?ドンドン数を減らす『MP回復ドリンク:エネルゲンG』の枯渇が先か、魔獣、魔物の軍団の全滅が先か、どっちにしろこの状態だと。


 勝利が確定したも当然であった。




 そんな考えを持ち始めた時だった。

 魔王は更に追加で『MP回復ドリンク:エネルゲンG』が入る木箱を無数に召喚した。その数は帯びたたしい数。とてもじゃないが数えられない。


 そう...........魔王もこのまま引き下がる様な玉では無かった。


 俺の考えが浅はかだったのか?いや、俺だけではないであろう、この場にいる皆の考えも俺と同じだったであろう。俺達は致命的な事を忘れていた。


 それは魔王が如何にして魔獣、魔物を従えるに至ったのか?だった。


 魔王自身の力。独特な支配者たるレアスキル。


 そして、魔王にはもう一つの呼び名を持っていた。それは魔石から魔獣、魔物を作り出し、自分の手足の様に操るスキル名と同じ呼び名。


 人々は恐れながらそのスキルをこう呼んだ。




 『魔石で想像された命無き者達の王:ノーライフキング』




 

 飛散する魔石が息を吹き返す様に黒い煙を上げて姿を現せ魔獣、魔物の軍勢が徐々にその数を元に戻していく。


 それは絶望的な光景であった...........誰もがその光景に悲観の色を浮かべた.............。


 勝機が見え始めた途端の出来事。急加速して奈落の底に突き落とされた騎士達。

 動きが鈍り。ただ佇む者まで出る始末。


 そしてアルベルトの左翼の陣形が乱れた。

 浮足立つ左翼の騎士。徐々に後退を余儀なくされる。



 このままでは左翼がもたない............。


 しかし打つ手がない............どうする?どうするれば?..........。


 これが魔王。これが魔王たる由縁。魔石の絶対なる支配者の力。『ノーライフキング』と呼ばれる者の力。



 ダメだ............このままだと俺達は負ける............。




 そんな時だった。



 『光属性転移連射魔法ライトミラージュ



 不意にキララが左翼、右翼に姿を現わせた。中央にもキララが居る。

 キララが3体。黒い三連星だ。


 そんなキララが言葉を放った。




 「魔石を僕に投げるんだ!」


 ふむ、どうやらキララはボッチで嫌われ者の道を進むらしい。





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