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クエスト『首なき騎士』⑲

なんやかんやで出来ました。

もうちょっと脱線しようかな?とも考えましたが、本編進める事にしました。


ポイントありがとうございます。


文章は..........勉強します。

ストーリー5貰える様な作品になる様頑張ります。


ブックマークも本当にありがとうございます。



どうぞこれからもよろしくお願いします。

 今俺達は食事を取る場所に集められ、ダニエルを除く全メンバー達が揃っている。


 何故か視線を一点に集める俺。何もしてないのに。皆の見る目が非常に冷たい。

 俺は何もしてないのに……

 「あーあっ!」と俺に聞こえる様に大層不機嫌そうな態度を取るメンバー。

 俺は何もしてないのに……


 突然の緊急召集。

 その理由を知る人間はダニエルしかいない。それなのに、皆が又お前かよ的な態度でそんな事をしてくる。


 耐えられない。自然と涙が俺の頬を伝う。そんな俺の肩をポンと叩いてニッコリ微笑んでくれたエリックとドズル。


 嬉しかった。そんな中唯一俺を信じて、そんな笑顔を俺にくれるエリックとドズルに俺は感謝して、思わず縋りつくように言葉をかけた。


「き、聞いてくれ!おっ、俺何も……」


「「謝っとけ!」」


 俺の言葉にかぶせて、そんな事を言ったエリックとドズル。思わず俺は呆けて、


「えっ!?」


 そう聞き直した。そんな俺に。


「「俺達なら分かる!お前しかいねぇ、早く、謝っとけっ!」」


 ニヤニヤしながらそんな事を言いやがったのだ


 こっ、こいつら……。


 それは仕返し、これは間違いなくこの前の仕返しだと判断した。

 最後は結局、痴態を晒させるだけ晒させて、元通りに直してやったのに、何だこの仕打ちはと、グルルルルッと喉を鳴らしていると。


 ダニエルが来た。

 一気にその場の空気が変わり、ふむ、やっぱりダニエルは人望があるのだなと、俺は少しダニエルを見直す事にする。


 コホンッと咳払いを一つして、メンバー1人1人の前に『聖騎士の宝玉』を置きながら、ダニエルは口を開いた。


「メンバー諸君、このクエストを開始してからもう20日間が過ぎた。

 『首なき騎士デュラハン』からのドロップアイテム『聖騎士の宝玉』も皆の協力の元、1人づつ分配しても、有り余る数となり、これもこのクエストの依頼を受諾して頂いたギルド『愚か者フール』ギルド長キララ殿とその所属冒険者ルル殿の力があったらこその功績である。

 今皆の前にある『聖騎士の宝玉』は特別報酬として皆の懐に納めて貰って結構。そして、今この段階をもってこのクエスト『首なき騎士デュラハン』の任務の達成を宣言する。

 今日は祝宴を催すのも結構。今現段階から2日は帰還の為の準備期間として、自由に過ごしてくれたまえ。私からは以上。解散ッ!」


 暫く沈黙。

 そして。


「うおおおおおおおおおおーーーーーーーっ!」


 皆が歓声を上げ近くのメンバー同士が声を張り上げながら抱き合った。


 勿論俺も腕を広げ待ち構えているのだが、誰一人として俺に近寄ろうとしない。

 一歩踏み出し、目の前のエリックを逃さないように構えるのだが、ヒョイと身を交わされ、俺の背後に居る乙女騎士と抱き合う始末。

 ムキになった俺は誰構わず抱き付こうとするのだが、カスの能力しかない俺の動きでは、ヒョイと軽く身を交わされ、

 全力で駆け出し、勢いを乗せ飛び掛かるも、ゴミの能力しかない俺の身体は、鞘に納めた剣で高々と舞い上がった。


 俺はムキになり、半泣き気味に、ボロボロになりながらも、それを何度も何度も繰り返した。







 歓喜が止んで、俺に近付く影がある。


「ねぇー、ルル。君は一体何してるんだい?」


 俺の枕元に立ち、キララが呆れた顔で、そんな事を言ってきた。


 そう俺は寝そべっている。この建物唯一の出口で寝そべり、道を塞いで拗ねている。嫌がらせだ。


 歓喜の輪に入れなかった俺はこうして、皆に逆襲をしている最中であり、そんな俺を冷たい目で見る全メンバー達。


「楽しそうだったなーお前ら。俺ボッチだったんだぜ?知ってるか?俺ボッチだったんだぜ。お前ら全員見てたよな?俺ボッチだったん……」


 俺の心はもうその惨めな言葉にするなと、自身で吐き出すその悲しみから逃避させる為に、俺の胸を言葉が出ない程に締め付けた。


「ルル!君ね。日頃の行いが悪いからこうなるんだよっ!何で分からないかなっっ!」


 当然、そんな心中を悟れないキララが俺にくれるのは、いつもの野次りであり、

 ならばと、俺はいつものようにキララを焚きつける。


「……キララ、お前。丸くなったよな?このクエスト始まる前の刺々しさは何処へ行ったんだよ。王国の人間が大嫌いだった筈のキララ様は、今はもう、王国の犬ですかい?」


 そう言った俺の言葉にピクッと顔を顰めたキララ。それを見たイフン、アウェー、エウリはこれはマズイとキララの元に駆け寄ろうとした時。

 キララは手の平を晒して3人の動きを止める。


 そして、深い溜め息を一つついた後。


「その手には乗らないよ……」


「チィッ!」


 生意気にも少しは学習したようだ。しかし、俺の煮え切らない腹は収まらない。


「ぐはははははっ、だったら俺はここを退かないぞッ!ここに居る全員が俺に謝る迄俺は退かないッ!さぁー、か弱い俺を踏みつけてここから出る気概を見ろよッ、お前ら騎士だろ?貧弱な俺を犠牲にして、騎士の信念を捻じ伏せ、道を切り開けよっ、さぁ、やってみろよッ!この腐れ騎士達めッ!ぐはははははっ!」


 そう笑う俺に。


「じゃー遠慮なく……」


 次々に俺を踏みつけて建物を出て行くメンバー達。しかも、まるで俺が足元に居ないように世間話をしながら出て行きやがる。

 更に、俺を踏む時に、かなりの足裏の捻りをくれやがる。

 稀に、俺の顔に唾を吐きやがる。


 何だよこれ!?……俺は、どんだけ嫌われてるんだよ……


 そして最後に俺を踏みつけたの乙女騎士が「あっ!」と、何かを思い出したかのように俺の方に振り返り。


「ゴミがぁーっ、人間を語るなよ!」


 そんな事を言っていた。





 俺は今、横を向き寝そべっている。いや、人工的な悲しい溜池を創り上げている。そんな俺の背後からキララが。


「ねっねぇー。ルル?」


 その時の声は、とても優しいものだった。


「今の俺に優しくするなよ……」


「ふふふふふっ、ホントに気持ちいいぐらい嫌われ者だね。君って……」


 そう言って俺の頭を撫でてきた。


「君が居ると不思議と僕が悪目立ちしないんだよ。ホント感謝しきれないよ……」


「そんなつもりは無いけどな……」


「ふふふふふっ、そっかでも。言っておくね……」


「何だよ!今の俺に何を言おうって言うんだよ……」


 キララは俺の頭に、自分の額を置き、




「ルル……ありがとう……」



 そんな事を言ってきたのだ。


 基本的にやる事成す事が裏目に出るキララ。そんなキララよりも俺の方が嫌われるこの事態に、首を傾げる複雑な心境な俺だったのだが、

 集団行動中にいつも火の元に晒され、後ろ指を刺されて来た俺と同類のキララの気持ちは痛いほど理解出来るし、花いちもんめで1人残される侘しさを知る俺だからこそ、キララのその言葉は響いたのだ。


 そして、そんな俺でも、日常とは違うこの討伐クエストでの集団生活はなんだかだ言いながらも楽しかった訳で、


 

「ふんっ!俺もお前に一言申すぞ!よく聞けよ……一回しか言わねぇかんなっ……」


「うっ……うん……」


 こうして皆で過ごしたこの時間は、

 いつも集合時間を1人ズラされ、違う目的地の場所の地図を渡され続けてきた、粋な嫌がらせで仲間外れにされ続けてきた俺にとっては、今までに無い経験な訳で、




「俺の方こそ……その……あっ、ありがとな……」


 そんな貴重な時間を作ってくれたキララに言葉にしてちゃんとお礼を言ったのだ。



「えっ!?……」


 恐らく、空気を読めないキララは今の俺の境地を悟れないのだろう、呆けるような声を出した。

 俺にとってその感謝の言葉は恥でしか無く、これ以上掘り下げられても、奥底に眠っていた開けてはいけないトラウマを曝け出し、今以上に負のスパイラルに陥る事態に成り得た。

 だから、


「2度は言わねぇーっよッ、もう行けよッ。俺は今この星とコンタクトを試みているんだっ!もう一人にしてくれよ……」


 今の顔を見られないように、あっち行けと、キララを押すのだがピクリともしない。

 そんな俺を惨めと映ったのか、


「あっ……う、うん……また後でね。じゃー行くね。でもルル。ここダンジョンだよ?床に耳付けても聞こえるのって……行くね……」


 俺の照れ隠しを台無しにしかけたキララは、そう言って何処かへ消えた。

 暫く床のヒンヤリした感触を楽しんだ俺は。


「さてと……しがらみから解放されたんだし、一人、楽しみますか……」


 立ち上がり。厨房に向かい足を進めた。


 ・

 ・

 ・

 ・


「キーズっ!グスン。うううううううっ。ギーズっ!グズン。お前だら、わがってぐれるよだ?ううううううううっ。ジルっ!やざじぐ、なぐざべでーっ」


  ルルは酒を漁りウダウダになっている。


 「ヤバい。タバイ。ドイデ。どごだ?」


 突如の自然現象でトイレを捜し。建物を出て、いつもと変わらない、慣れた道順で、同じ場所に向かう。自覚は殆ど無い状態で、体が自然に覚えた道順を進む。

 そしていつもの様に一際大きな扉の前に辿り着き。



 いつもの様にその扉に入り。扉を閉めた。



 耐えられなくなったルルは、その場でズボンを降ろし、小さな虹色を作ると、グラつく視界で周りを見渡した。


 そして見慣れた。黒い煙が中央から湧き出て、それが次第に形取る。



 見慣れた煌びやかな白銀の鎧。2m程のその体躯。右手の長剣は妖しく輝き。左手に己のフルフェイスの顔を持つ。フルフェイスから覗かせる面妖な輝きを放つ瞳。


 


 『首なき騎士デュラハン




 一気に酔いが冷めたルル。


 「おっ!おい!!!ゼロ!!!!何とかしろよこれ!」


 しかしゼロからの返事は無い。


 「マ、マジかよ................」



 ――究極の光魔法アルテメットライトを使うか!?



 発動しようと詠唱を始めた時。ある事に気が付いた.................。



 ――駄目だ今の俺だと。この廃城諸共破壊してしまう。




 ルルは顔面蒼白になり。言葉する。





 「お酒で過ちを犯す人がいるそうですよパート2です」





 そして、それは突然やってきた。



 「準備は整ったみたいですね。では約束通り。貴方の手で私を無に返して下さい。魔王に呪われた私達を開放して下さい」



 王座から黒い煙が立ち上がり。それは形取る。



 純白の透き通るドレスを纏い。幾多もの七色の羽衣が宙に舞う。骨に少しばかりの肉を残し、髪は疎らに残る。


 


 ディルパレス王国聖女:ラピス・ディルパレス





 ここは王の間。正確に言うならば聖女の間。

 『首なき騎士デュラハン』は聖女を護れなかった騎士達の想い。聖女を護る騎士の想いは。この場に集結する。


 ラピスを護る様に次々と黒い煙が立ち上がる。




 その数は分からない.........ただ一つだけ分かる。その光景は絶望。ただ絶望の光景だけがその場を漆黒に彩った。




こうしてギルド『愚か者フール』の唯一の冒険者ルル・トイドールはこの現世界から姿をくらませる事となる。





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