クエスト『首なき騎士』⑱革新と復興のルネッサンスna話。
なんやかんやで出来ました。下ネタ含みます。
次から本編進めると思います。
明日はUP出来ないかもです。
俺の聖域に異物を放り込む罰当たりがいる。
「おい……何回言わせるんだ……こっちが俺の寝床で、あっちがゴミ箱だろ……」
「ああ、すまんすまん、ついなっ」
本来なら万死に値する行為を「ついな」で終わらせようとする罰当たり。
こいつの名はエリック。信仰系魔法使いの男。
「……ルル……いつ迄その中で生活するんだ?見ているこっちが何だかブルーになるんだが、如何にかならんのかね?……」
そう俺に蔑む目を向けてくる、こいつの名はドズルと言う魔法使いの男。
何故2人が、俺みたいな嫌われ者と一緒に居るかと問われると、理由は簡単。
エリックはエウリを、ドズルはアウェーの事が好きで、俺に仲を取り持って欲しいってのが理由。
決してそれを口には出さないがヒシヒシとそう伝わってくる。
どうやら俺は、見られる側からにすると、アウェーとエウリとの関係を友人程度には築いているように見えるらしく、2人は俺をコテージに招き入れ、色々とエウリとアウェーの事を間接的に聞いてくるヘタレであった。
「なっなぁー……ルル……エウリ俺の事何か言ってなかったか?……」
「んー?……なんで?……」
「いやー実はな、昨日深爪しちってさー。それとなくエウリに言ったんだよ。し、心配とか……し、してなかったか?……」
こいつはバカなのであろうか?深爪をどう心配しろというのであろうか?「まぁーっ!エリック大丈夫?痛いの痛いの飛んでいけーっ!」とでも言って欲しいのだろうか?
「ああ、言ってたぞ!」
「なななななっ、何て言ってたんだッ!?」
「死んだらいいのに」
つい俺の本音が漏れた。
崩れ落ちたエリック。これで暫くは黙り込むだろう。
「なっ、なぁールル。アウェーは俺の事何か言ってなかったか?」
「なんだ!?お前も何処か怪我でもしたのか?」
「い、いやー。そう言う訳じゃー無いんだけど。飯食ってる時にさ。へへっ、つい目が合っちまって……」
こいつもバカなのであろうか?目など誰とでも合うであろうに「き、今日ねドズルと目が合ったんだ!よ、宜しく言っといて」とでも言って欲しいのだろうか?
「ああ、言ってたぞ!」
「ななななな、何て言ってたんだ!?」
「死んだらいいのに」
つい俺の気持ちが漏れた。
崩れ落ちたドズル。これで暫くは黙り込むだろう。
しかし、非常に面倒だ。いい加減勘弁して欲しい。だから思った事を口にする。
「なぁー。エリックにドズルよ。回りくどく俺に聞かずに、直接本人に聞いたらどうなんだ?お前達も面倒だろ?俺にいちいちお伺い立てて……」
「へっ!それが出来れば、お前なんか相手にしないよ……」
エリックは何処か遠くを見るような眼で、気兼ね無く本音を溢し、俺を踏み台としかみていない事を打ち明けた。
「全くだ。俺達2人はな。誰にも言えないコンプレックスがあるんだ……」
更にドズルも負けじと、何処か遠くを見るような眼で、何やら俺に面倒な話でも始めようと、話の幅を広げだし始めた。
これはイカンと俺は。
「ふむ……それを知ったら俺はきっと。色々装飾して、笑顔でエウリとアウェーに話すぞ……」
そう話しを終わらせようとしたのだが、
面倒な事に……
「「それも、いいかもなッ!」」
投げやりながらも、それで現状に変化をきたすならば、とでも思っているのだろうか。
何も変わらない日常に嫌気が差し、静かな水に一石を投じる事を願うように。
そしてその結果、上手くいきますようにと、無言でチラチラと俺を見る面倒臭さ。
「……はぁー。分かったよ。俺出て行くわ」
「「まっ!待ってくれよ、ルルッ。普通、そこは聞いてやるだろッ!?俺達の話を聞いてくれよッ」」
俺は寝床であるゴミ箱を引き摺り歩き出すと、涙を流し、俺を行かせまいと、足に縋りつく面倒臭さ。
何故、ゴミに等しい俺の前でプライドを捨てるそれが出来て、エウリとアウェーに話し掛ける事が出来ないのかと、正直疑問に思うのだが……
諦めた俺は、一つ大きな溜め息を吐き。
「分かったよ。聞いてやるよ。ただしだ!2文字でまとめろ!もしそれが出来たなら、お前達の事を全力で応援してやるよ。しかしだ!出来ないならもう喋るな。聞くだけシンドイ。もう俺に構わないでくれ。俺はゆっくりボッチで癒されたい」
そう言ってやった。
グハハハハッ!どうだヘタレ共。流石に無理だろ?
現に2人は互いの顔を見合い。額の汗が半端ない。必死に考えようが無駄だよ。無駄。諦めろ。
暫く沈黙して。2人からの2文字の返事を待ったが、口も一向に開こうともしない。
思わずニンマリと口元を緩めた俺は、
「さてと、じゃーそういう訳だから、俺出て行くわ!じゃーな。精々、がんば……」
と、出口に向かい歩きだした時だった。
「ハゲ……」
エリックがボソッと何かを呟いた。
「ん?……エリック何か今言ったか?」
「2文字だろッ!俺はハゲだッ!」
そう、俺と眼を合わせず、床に向かい怒り気味な声を放つエリックは、頭の頭巾を取って俺に頭部を晒し、それを見せたのだ。
「オーノー」
そこには、つい言葉がカタコトになってしまうザビエルが居た。
笑ってやろうかとも思ったのだが、エリックの体がプルプル震えて、俺の方に頭をよく見せる為に、顔を伏せており、ポタポタと2粒の滴り落ちる水を見て、俺は懸命にそれに堪えた。必死だった。
そう今のエリックと同じ反面の境地で俺も必死に我慢した。だからイーブンだ。何一つ不憫に感じる必要は無くなった。
くっ!見事2文字で納めやがった。まぁいい、エリックだけなら、と俺はドズルを見た。
すると、どうだろうか?ドズルはいつの間に書いたのか?紙に2つの文字を掲げ、腕をピンと張り俺に見せていた。その文字を見た俺は驚愕の表情を浮かべ、知らぬ内に数歩引き下がっていた。
ハッと我に返った俺はドズルと目が合い。コクリコクリと頷くドズルと思わず目を逸らしてしまった。
ドズルが書いた紙には、確かに2文字で納められたある言葉が書かれていた。
しかし、何故それがコンプレックスになるのかが俺には不思議で仕方がなかった。
むしろ誇れる事では無いのか?と俺は疑問視しながらドズルの体の一部分を凝視するのだが、モッサリしたローブが邪魔をする。
そんな俺を見たドズルが徐にローブを脱ぎ始め、体にフィットする服がそれを強調して姿を現せた。
ドズルが書いた紙には2文字で『巨根』と書かれており、ドズルの股間には、メガ粒子砲を携えたビグザムが居た。
「圧倒的じゃーないか!」
つい言葉が漏れた。
俺は思わず両手で口を塞がざる得なかった。それ程に圧倒的な存在がそこにあったのだ。
自然と身を乗り出し食い入る様に見ていると、ドズルの体が震え出し。
「ルル。お前ひょっとして、あの噂は本当なのか?」
ドズルは震える声で訳の分からない事を俺に聞いてきた。
「何だ?その噂とやらわ」
ドズルの圧倒的なそれを色々な角度から確かめている俺はそう返事を返し、ドズルから帰って来た言葉は、
「ダニエル隊長とデキてるって話だよ……」
とんだデマだったのだが……
だからと言って言い訳等しても、俺の声など届かないと瞬時に判断した俺は、特に否定する事も無く、身の危険を感じ、芯から震えるドズルを舐めるように見渡し、暫く苛め抜く事にした。
そして俺は要らぬ約束をした事を猛烈に反省する事に。
「で?俺はお前達の為に何をすればいいんだ?」
全くやる気が無い俺は鼻クソをホジリながらそう聞いたのだが、モジモジと俯き、一向に口を開かない2人に俺は苛立っていた。
面倒になった俺は、そんな2人を放置して出口の方に足を進める。
「「何処いくんだよ!ルル」」
「ああ、もう面倒だから、アウェーとエウリ呼んでくる」
そう言った俺に飛び掛かり、俺を羽交い締めにするエリックとドズル。汚い言葉で罵ろうと考えたが、2人の今にも泣き出しそうな顔に俺は口はそれをしなかった。
「はぁー。ならどうすればいいんだよ!」
そう聞いた俺にまたもやモジモジし始める2人。ホントに面倒臭い。俺は2人を放置して俺の聖域に身を埋める事にした。
それから1時間程経ったであろうか?丁度いい感じにウトウトし始めた頃に、突然ドズルが大声で張り上げた。
「そうだ!コンプレックスさえ無くなれば、俺達自信持てるんじゃーないか!?」
「……はぁー。それは何度も試したろ?自分自身の体の一部を変化させる魔法は魔法防御力と相殺され、効果無い事は実証済。俺達より魔力が優れている人物なんてそうそう?……あーーーーっ!そうかっ!」
エリックとドズルの会話に付いていく事が出来ない俺は、そのまま寝る事にしようとしたのだが、そんな俺を2人は油でテカる顔を俺の聖域に踏み入れて、ニッコリ怪しく微笑んだ。
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「ねぇー。何で僕こんな所に呼ばれたんだい?ルルが大事な話があるって言うか来たんだけど!?」
俺の名前を使い、俺の名前だけで全くの無防備な格好で、男3人の部屋にノコノコとやってくるケツの軽い女キララ。イヤ待てよ!そんだけ俺の信用があるんだな!と俺はそれを訂正する。
エリックとドスルは一度も顔を上げる事無く、土下座の体勢を維持して、移動の際も顔を地面に擦り付けながら移動する徹底振りであった。
それを見た俺は思わずブラボーと声を張り上げ高々と手を上げて喝采していた。
1人で盛り上がる俺にキララは冷たい目線を送る。そんなキララに俺はハイタッチとロータッチを順番にジェスチャーで要求すると、最初はダラダラと手を出していたキララだったのだが、段々とキレが良くなり。顔が次第に開けてきて、最後は笑顔で、アクロバットなタッチを繰り広げていた。
「「あのー。そろそろ喋ってもいいですか?」」
そう楽しんでいる俺とキララに水を差す、気が利かないエリックとドズルを凄い顔で睨み付ける。
「テメェー等!今からだったんだぞ!今からウルトラG技のコンビネーションを繰り出すところだったんだぞ!ふざけんなっ!金返せ、ホラ出せよッ、ジャンプしなッ!」
ついでに金銭も要求しておいた。
「ルル!こんな奴らに口で言っても分からないよ。こいう時はね。体に言って聞かせるしかないよ。僕の経験上こう言う時は拷問が1番さ」
この場に居る一番のお子ちゃまが経験とか抜かしやがった。今回は俺の味方のキララ。敢えて物申す必要はないな!と俺はそれを完全にスルーする。
「ルっ、ルルっ!お前約束を違える気か!?」
エリックにそう言われ、思わずアァッ!とガンを飛ばしたのだが、ポンッと手を叩いて、俺はキララを呼んだ理由をそこで思い出した。
そうだ!そうだ!と、不気味な笑顔を浮かべ拷問具の召喚とその準備にせっせこらと汗するキララの肩をポンッと叩く俺。首を横に振り。それは要らないと否定した。
「実はな。キララに聞きたい事があってな!まずはエリックなんだが、おい!見せろよ……と、まぁーこういう事でな!毛を生やす事は可能か?」
「ふぅーっ!どうして僕が毛を生やす、そんな事をしないといけないんだい!?ワザワザ呼び出しておいて、砂漠に木を植えろなんて、そんなくだらない事で呼び出したのかい?」
「キっ、キララ様どうか……御慈悲を……」
エリックがキララを調子に乗らす様な事を言い掛けたので、手を晒しそれを止め。
「おい!キララ。勘違いしているのはお前の方だ!俺は出来るのか?と聞いたんだ。しろ!とは言ってないぞ。何を勘違いしてやがる。なんだ?見せ付けか?力無い俺達への当て付けなのか?そうやって上からしかものが見えないキララさんは、自己顕示欲に脳ミソ支配された王国の貴族と何ら変わらないんですね?」
ピクリと眉を顰めたキララ。
「ほぅーっ!言うねールル。ふふふっ。今回は僕の負けだよ!王国の貴族達とは違うところを見せてあげるよ」
そう言ってブツブツと何かを唱え始めた扱い易いキララ。
「髪の毛育成魔法」
キララの言葉と同時にエリックの脳天から藍色の物が生え始めた。エリックの髪色と同じ藍色のそれは天上に突き刺さる程の勢いを見せて、俺達の前に立ち聳えた。
それを手で触り泣いて喜ぶエリック。そんなエリックともの凄い温度差を感じる俺とドズル。
「………」
違う意味で、言葉が出ない俺とドズル。
どんなもんだいとエッヘンと、無い胸を張るキララに、俺は口を手で添え、エリックに聞えない声でキララに文句を言った。
「おい!キララ。どうして1本の髪の毛なんだよ!頭皮がエライ事になってるじゃないか!?」
「そこまでは面倒見切れないよ。僕の魔法はね0か100なんだよ。調整する必要なんてないからね」
傲慢な態度を崩さず言ってのけたキララ。
そうエリックのハゲの部分から生えたそれは1本の髪の毛で構成され、その毛根となる部分がそれはもう酷い有様になっていた。
あとで縦に裂けばいいか?と、俺はそれを安楽して、
さてと次にドズルだ。
「おい!ドズル。脱げ!圧倒的なアレを見せろッ!」
「!!!ななななな、何を言っているんだい!?ふあああぁぁーーーっ!ちょちょちょちょ、ちょっと待ってくれないかい!?ふあああぁぁーーーっ!」
俺の指示に従いローブを脱いだドズル。それを赤面して顔に両手で塞ぎ、指と指の間から覗き見るキララ。
結局見てるのと変わらないキララのその仕草に敢えて触れない俺は、
「次はこのビクザムをボールに変えてくれ!」
「ふあああぁぁぁぁーーーーっ!!!そんなモノ僕に見せるんじゃないよッ!消えて無くなれーーーーッ!」
大変よろしい反応した後、とてつもない事を口走りブツブツと何かを唱え始めたキララ。
「身体変化魔法」
キララの言葉と同時にドズルの機体がミルミル縮み始めた。ピッチリしたズボンの凸が無くなり、まるで何も無い様に外見からは、そう見える。
それをダイレクトで手で触り、泣いて喜ぶドズル。何故か小指が無意味に立っているのが気になったが俺はそれを見ない事にした。
ウンウン可愛い奴らめと、俺は泣いて喜ぶエリックとドズルを見てコクリコクリと頷いた。
そんな俺にキララが声を掛けて来た。
「ねぇー、ルル。これに何の意味が有ったんだい?」
そう首を傾げるキララに。
「実はな……」
俺は事の発端の全てを打ち明けた。
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今、俺とキララはエリックを物陰から覗き込んでいる。
そう、とうとう、エリックがエウリに告るのだ!こんな面白い事を俺とキララがほって置く筈がない。ウシシシとエリックの後ろ姿を笑う俺とキララ。
エリックの髪はあれから縦に無数に裂き、程よい長さでカットした。
もともとエルフの血が混ざっているエリックの容姿は、それはもう超が付く程の男前で、それにあのフサフサの髪の毛なのだ!靡かない女なんていないだろう?とは思われるのだが、その僅かな可能性に掛けて俺とキララはここに居る。
そんなこんなしているとエウリが来た。
口に人差し指を立て、互いを見合い、頷いた俺とキララ。懸命に聞き耳を立ててエリックとエウリの言葉に集中する。
「や、やぁー、エウリ。今日もいい天気だね」
ダンジョンの中で外の天気をいい当てたエリック。お前はエスパーか?と俺は突っ込みたい。
「???今日はどうしましたかエリック?」
エウリの笑顔が何とも言えない至福のもので、決して俺に向けられてはいないが、自然と俺の顔が緩む。
「いやー。じ、実はな……俺……お前の……ここここ」
おおっー速攻行くか!エリック!!!と身を乗り出す俺とキララ。
「コデインリン酸塩とインデラルを今度貸してくれないか?」
訳の分からない事を言ったエリック。俺とキララは正直そのヘタレ振りにゲンナリした。
「どこか悪いんですか!?私に見せて下さい。咳と動悸?ですよね?」
聞いた事も無い成分でボディタッチをご褒美を貰うエリック。共通の専門分野で快感を得るとは大した奴である。
「ああ、コデインリン酸塩は俺の持病の咳の為なんだが……」
そう言ってエリックの体をアッチコッチを触り、触診しているエウリの手を取ると。
「インデラルの動悸は、エウリ……お前の所為なんだ!……」
訳の分からない事を言ったのだが、その顔はマジもマジ、大真面目であった。それに反応しているエウリは恥ずかしそう顔を逸らし、
「エ、エリック……冗談はよして……手を離して下さい……」
何とまあぁー100点の反応をしやがったエウリ。完璧だ!完璧だぞ!エウリと俺は涙を垂れ流し、ウンウンと頷いていると。
「冗談じゃない!おおおおお、俺は……君が、好きだああああああーーーーーーーーーっ!!!」
これまた完璧な告白だった……。
自然と俺の顔が笑顔で溢れ。
今だ空気を読まず、食い入るように2人覗き見る、ワナワナと肩を震わせ、これからどうやって逆転サヨナラさせようかと考え、親指の爪を噛み、苦い顔をするキララの肩をポンッと叩いて、俺は首を横に振って、それを否定した。
俺とキララは互いの肩を組み合い、肩を落として、次の可能性に賭ける事にした。
今度は俺とキララはドズルを物陰から覗き込んでいる。
ドズルがアウェーに告るのだ!こんな面白い事を俺とキララがほって置く筈がない。ウシシシとドズルの後ろ姿を笑う俺とキララ。
このシーンを拝めるように俺とキララが裏で手を回して、エリックの告白の時間とドズルの告白の時間をずらしたのだ。完璧だ!と俺とキララは互いの親指を天に突き立て相打ちを打つ。
ドズルは圧倒的な凸が無くなり、もっさりしたローブでは無くピチピチの服を着る。
もともとデーモンの血が混ざるドズルは、その持ち前の筋肉美と、程よい褐色の色との兼ね合いで、そんな腕に抱かれた女はイチコロだと思われるのだが、その僅かな可能性に掛けて俺とキララはここに居る。
そんなこんなしているとアウェーが来た。
口に人差し指を立て、互いを見合い、頷いた俺とキララ。懸命に聞き耳を立ててドズルとアウェーの言葉に集中する。
「や、やぁー、アウェー。今日もいい天気だね」
エリックと同じ言葉で始まり、どうやらヘタレは決まってこの言葉から始まるようだ。
「???今日はどうしたのドズル?」
アウェーの笑顔に俺は何も抱かない。何も無い。何とも思わない。と言うか寧ろ腹が立つ。
「いやー。じ、実はな……俺……お前の……ここここ」
おおっー速攻行くか!ドズル!!!と身を乗り出す俺とキララ。
「コアってスタッフどうしてる?」
杖の玉の部分の話をするドズル。俺とキララは正直ゲンナリした。
「うん?アンタはどうしてるの?私に見せてごらん。私のはこれね。ハイどうぞ」
杖の話で、互いの命とも呼べるスタッフを交換するドズルとアウェー。杖で如きで快感を得るとは、ドズルの野郎は大した変態である。
「ああ、スタッフのコアは聖獣ムシュフシュなんだが……」
そう言ってアウェーがスタッフ返してと差し出した手を掴み。
「俺の体の心臓は……お前にしたいんだ……」
と、正直よくわからない事を言ったドズル。しかし、その顔はマジもマジ。大真面目であった。それに反応しているアウェーは恥ずかしそうに俯き。
「ド、ドズル……冗談はよしなって……手を離しなよ……」
何とか及第点の反応をしやがったアウェー。不甲斐なくもそこそこだ!まぁ、あれならいいかと。俺は渋々納得するも、何故かそう納得した自分に怒りを覚え、足をドンドンと踏み鳴らす。それをキララに怒られて、シュンとする俺は大人しくなった。
「冗談じゃない!おおおおお、俺は……君が、好きだああああああーーーーーーーーーっ!!!」
とまぁ、エリックに続きドズルの告白も完璧だった……。
だが、何故か自然と俺の中で沸々と沸き上がる怒りに、血が滾り。
俺はワナワナと肩を震わせ、これからどうやってこの状況で逆転サヨナラさせようかと考え、親指の爪を噛み、苦い顔をするのだが、そんな俺の肩をポンッと叩いて、キララは首を横に振って、それを否定したのだ。
俺とキララは互いの肩を組み合い、肩を落として、互いを褒め合いその場を後にした。
俺はコテージに戻り一人。聖域で心の傷を癒している。
あんなものを見せられたんだ。俺の傷は深い。涙で溺死するかもしれない。それぐらいのダメージだ。
そう癒されている俺の耳にドタドタドタと誰かが駆けて来る音がして、俺の唯一の天井からの光源を遮る影が出来た。
俺の聖域を覗き込む。その人物はエリックだった。
「ルルーっ!戻してくれ!俺を今直ぐ戻してくれ」
俺の胸ぐらを掴み。もの凄い顔で懇願してくるエリック。
「お!おいちょっと待て。何がどうなっているんだ?お前エウリといい仲になったんだろ?」
そう言った俺に首を横に振りエリックは。
「『私は信仰心溢れる人が好きなの……ゴメンね。エリック。変だよね?……信仰心が溢れ過ぎて、天辺がハゲ上がるぐらいの人が好きです。ホントにごめんなさい』だってよおおおおおおおっだから戻してくれよ!頼むよ!!!」
頭の処理が追い付かない俺。
そんな俺の耳にドタドタドタと誰かが駆けて来る音がした。
俺の聖域を覗き込むエリックを押し退け、姿を現わせたのはドズルだった。
「ルルーっ!戻してくれ!俺を今直ぐ戻してくれ」
俺の胸ぐらを掴み。もの凄い顔で懇願してくるドズル。
「お!おいちょっと待て。何がどうなっているんだ?お前アウェーといい仲になったんだろ?」
そう言った俺に首を横に振りドズルは。
「『私ねビグザムたいな圧倒的な人が好きなんだ……ゴメンね。ドズル。変だよね?……体のどこかしらに圧倒的な何かを持ってる人。そんな人居ないのにね。ホントにごめんね』だってよおおおおおおおっだから戻してくれよ!頼むよ!!!」
頭の処理が追い付かない。
俺は頭の中をゆっくり整理して、手をポンッとひと叩きして、それを理解して、キララを呼びに行く。
俺とキララは、ニヤニヤしながら、2人の土下座姿を肴に、ワイングラスの重なる音を鳴らし、そんな予想もし得ないサヨナラホームランの改変に、
「「ルネッサーーーンスッ!」」
そう声は張り上げ、盛大に祝杯を挙げた。