飛
息抜きで書きました。僕はうつじゃないです笑。ちなみにタイトルの読み方は「飛」です。
僕は今、飛んでいる。
比喩なんかじゃない。本当に飛んでるんだ。
両手を広げて、風を感じながら。
飛んでいる間はたくさんのことが思い出された。今まで生きてきた中での、美しい思い出が。
小さい時は空を飛ぶのが夢。いつか絶対飛んでやるって。パイロットとか、そんなちゃちなものじゃない。僕自身が大空を飛ぶ。
当時の友達には、こっぴどく笑われた。でも、今こうして飛んでるんだから、叶わない夢じゃなかったわけだ。後で見返してやるんだ。
あれ?友達なんていたっけな。まあ、いいや。
少し成長すると、僕は空を飛ぶために考えた。ムササビみたいに布を持って飛ぶとか、広げた傘を持って飛ぶとか。
親にもその話はしたさ。本気で受け取ってなかったみたいだけど。でも、僕がこうして飛んでるんだから、誇りに思うだろうな。
「奥さん聞いてください。うちの息子、空を飛ぶんですよ。」
って、近所の人に自慢するんだろうな。
僕のことを覚えてたらの話。
先生にもバカにされたさ。いかにも自分は世の中の全てを知っているみたいな言い方でさ、
「人間はね、空は飛べないの。飛ぶ必要がないのよ。」
って。どうだ。僕は飛んでるぞ。先生も驚いて僕を尊敬するかもしれない。僕の名前に様を付けたいなら今のうちだぞ。
ああ。そろそろみたいだね。凄く楽しい時間だったけど、そんな時ほど早く時は過ぎるんだから、仕方がないね。もうちょっと飛んでいたかったけど、まあもう無理だね。
さあ、地面が近づいてきたぞ。もう直ぐ到着だ。
さようなら。このクソ世界。
こんなくっそ後味の悪い作品を書いたのは初めてですね。よくまぁ書けたと思います。
※この作品はテレビニュースで学生の自殺が問題になっているというのを見て、考えました。決して自殺を促すものではありません。「生きるのが嫌になった。」、「死にたい。」そうなってしまう前に、必ず信頼のできる人に相談してください。決して1人で悩まないでくださいね。