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非現実的な状況の中で出会ったケンタとキョウカ。

この場所から抜け出す方法を見つける方法を探している。


そんな中、多目的室での出来事が彼らにとってどんな結果に結びつくのだろうか。

暗い廊下に悲鳴が響く。


ケンタ「うあああぁぁぁ!!?」

キョウカ「きゃああああ!!」


扉の隙間より此方を見つめる目


ケンタ「……」


扉の向こうには何が居るんだ?

俺の頭はパニック状態だ。

もしも得体の知れないナニカだったら…俺たちはどうなる…?


キョウカ「……はぁはぁ」


隣に居るキョウカの息が荒い。

心臓がはち切れんばかりに脈打っている。

…実は俺も同じ様な状態だった。


ケンタ「!?」


突然ガラリと扉が開いた。


ケンタ「…くっ」

キョウカ「ひ…!」


あの教室の奴らと同じ状況になってしまうのだろうか。

俺は思い切りまぶたを閉じた。


「んん~…?」


何だ?どうしたんだ…?

固く閉じた目では何も見えないが、何か聞こえた。


「な”~にじでるんだ??あんだら」


聞いた事の無い様な言葉が聞こえた。

俺はその言葉を…え?言葉?

ゆっくりと目を開けた。


ケンタ「…え?」


開かれた扉から電気の光を背中に浴びた人が立っていた。

こちらを不思議そうに見下ろしている。

逆光を浴びているので、顔は見えないが、声の感じは女の様だ。


「ごごにいるどぎげんだ。ざぁざぁ~ぎょうじづへあいっどげ」


またもや何か言葉を発して多目的室に入って行く。

どうやら、俺たちは助かったのか?そして今の人物は敵ではないのか?


ケンタ「…なぁ…何か大丈夫みたいだぞ…?」

キョウカ「え…?」


キョウカが目を開けて当たりを見回す。

何が起きたか分からないと言った顔だ。

勿論俺も同じ気分だ。


ケンタ「とりあえず…中に入ろう」


俺は立ち上がって、座り込むキョウカに手を差し伸べ立たせる。


キョウカ「どうなってるの?」

ケンタ「俺が聞きたい」


恐る恐る室内に入ると、他の生徒も中に居た。

しかし皆の顔は一様に暗い。

中を見ていると先ほどの声の主が話しかけてくる。


「あんだらなんもなぐでよがっだな”ぁ~」


笑みを浮かべながら近づいて来た。

橙のショートヘアで制服を着た女生徒だった。

そして…


ケンタ「その傷は…」


彼女の右目の上下には大きな傷があった。

かなり深い。


女子生徒「んあ”?あ”あ”。ごれば、むっがじづいだギズだ。な”ん”でもね”ぇよ”」


そう言ってケラケラ笑う。

顔に傷が残るだけでも普通は気にする筈だが。

この女生徒はとにかくポジティブ思考だと言う事は分かった。

同時に凄い訛りだと言う事も言わずとも理解出来る。


ケンタ「あ…ここは安全なのか?」


俺は恐る恐る聞いてみた。


女子生徒「う”う”~ん…よぐわがんねぇが。いばのどごろあんぜんだ」

ケンタ「そっか…」

キョウカ「…あ」


キョウカが何かに気がついた様だ。

視線の先には凄い訛りの女子生徒。


キョウカ「ねぇ、貴女もしかしてヒジリさん?」

女子生徒「そんだ。あんでじっででぐれだんが?」


ヒジリと呼ばれた女子生徒は首を傾げる。


ケンタ「なんだ?知り合いなのか?」

キョウカ「ううん。でもライブは毎回行ってたの。」

ケンタ「ライブ?」


バンドでも見に行っているのかな?

俺が不思議そうにしていると。


キョウカ「ヒジリさん。私貴女の歌が凄く好きなの。聞いてると何かこう…大きな何かに包まれている様な安らぎと元気を貰えている気がして」

ヒジリ「ぞっが!ぞりゃ~えがっだ!え”っえ”っえ”っ」


笑い声も凄い訛りだった。


「もし。楽しき話は後ほどで構わぬか?」


奥の方から声が聞こえた。

俺はその方向を見た。


「ヒジリどの、折角だが状況をお察しくだされ」


白い髪の女子生徒が無表情で口を動かす。

その目は鋭く、寒気さえした。


ヒジリ「…ごりゃずまんがっだだ。んだでも、ごのぶだりがぶじでよがっだだな」

白い髪の女子生徒「うむ。それは同意よ。お二方、状況が分かるまで居座るが良い。」


そうしていたいのは山々だが…。


ケンタ「あの…俺友達を探しに行かないとならないんだ。だから少し休んだらまた探しに行くよ」


その言葉にキョウカが反応した。


キョウカ「なんで!?ここに居れば安全だと思うし、きっとその二人もここに来るよ!」

ケンタ「…」

キョウカ「だから、一緒にここに居ようよ…?」


俺の制服を握りしめて離さない。

確かにここに居れば歩き回るよりは安全だと思うが-


ケンタ「…もしも何も知らずに変な奴らに出会ってしまったらソレこそアウトだ。だからそうなる前に見つけて教えてやりたいんだよ…」


正直、ずっとここに居たい。しかしあの二人を見つけないと気持ちも休まらないと感じたからだ。

俺の気持ちを察してくれたのか、キョウカは何かを言い返そうとしたがグッと口を結んだ。


ケンタ「少しここで休んで探しにいく。」

白髪の女子生徒「もし。宜しければ話を伺いたい。時間の拝借は構わぬか?」

ケンタ「あ?あぁ。何の話だ?」


白髪の女子生徒は「では」と息をつき。

ひと呼吸した後に口を開いた。


白髪の女子生徒「先ほど申した、変な奴ら。とは何の事じゃ?ワシらには話が見えぬのだが。」


なんて事の無い質問だが、女子生徒の目つきが一段と険しくなった気がする。

そんな話を聞いて楽しい訳がないんだが…ただの興味だろうか?


ケンタ「あぁ…俺は見た訳じゃないんだが…」


俺は視線をキョウカに向けた。

正直聞いても話しても面白くも無いし、ましてや思い出したくもない筈だ。

俺だって二度と聞きたく無いくらいだ。


キョウカ「…わかった。こんな状況だもの、知っておいた方が良いと思う。だから見た事を話すね」

白髪の女子生徒「すまぬ。恩に着る。」


…そしてキョウカは話し始めた。


……

………


キョウカ「…見た事はこれで全部。後は無我夢中で逃げてたら、廊下でケンタと出会って一緒に行動してるの」

白髪の女子生徒「ふむ、成る程。」


考える素振りをして、無言になった。

何か知っているのではないか?


ケンタ「大分休んだからそろそろ探しにいくよ。」


俺は立ち上がった。

すると周囲に座る生徒たちが心配そうに視線を向ける。


キョウカ「待って。私も行くから」


俺は耳を疑った。


ケンタ「は!?お前はここで待っていろよ!」

キョウカ「イヤ」


即答だった。


ケンタ「ここは安全だから待ってろって。二人を連れて戻ってくるからさ。」

キョウカ「一人よりも二人の方が何かと良い事もあるでしょ?例えば何か有った時の対処とか」

ケンタ「…」


キョウカは本気の目をしている。

だけれど危険過ぎるだろう…。


白髪の女子生徒「二方。余り了承しかねる選択じゃ。今一度考え召され」


身を案じての発言だとは理解しているが…


ケンタ「気持ちは嬉しいけど、やっぱり友達が心配だから」

キョウカ「私も」


ふむ…。と困った顔をして少しの間考え込んだ。

そして小さな巾着袋を差し出した。


ケンタ「これは?」

白髪の女子生徒「守りじゃ」

キョウカ「お守りなんて気休めじゃない」


俺も同意見だが、何故だか受け取らないとならない気がした。


ケンタ「ありがとう。貰っておくよ」

白髪の女子生徒「うむ。良き判断よな。」


そう言いながら初めて笑った。


白髪の女子生徒「覚えておくが良い。たった一度しか効果はない。なるべくなら使わぬ様、心がけよ」

ケンタ「…あぁ。」


ヒジリ「お”んどにいぐんが…?あ”んだがよぐねぇがんじずるぞ…」

ケンタ「…また戻ってくるよ」



《廊下3階》


皆が心配の眼差しを送る中、俺とキョウカは多目的室を後にした。

先程までは明るい教室で皆と話せていたから忘れていたが。

やはり廊下に出た途端、不安がわいてくる。


キョウカ「…ねぇ。少し後悔しているない?」


キョウカが呟いた。

正直間違ってはいない。

だがキョウカも小刻みに震えている。ここで弱音を吐いても何も変わらない。


ケンタ「…とりあえず二人を見つけて早く戻ってこよう。」

キョウカ「そうね…」


少しだけ勇気を振り絞って進むしか無い。

俺たちは先の見えない廊下を少しずつ歩きだした。

初めまして、無演技劇団◆ぱらすあてね らびLine'S と申します。


先ずはお読み頂きありがとうございます。


OVD作品「re:MEMORY」の続編に位置する話を先ずは小説にて公開していきます。

長い作品ではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。


尚、OVD作品は当サークルサイトより一部フリー公開されておりますので、気になりましたら併せて聞いて頂けると喜びます。感想もあれば感涙。


1人でも多くの方に楽しんで頂ける作品を心がけて行くつもりです。


以上、宜しくお願いします。


HP : http://pathena-muengi.info/

Twitter : @PAthenaMuengi

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