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運命の選択

「さて早速だけどもこれから君には私の出す選択肢を選んでもらうよ」


彼女が横たわる俺の顔を覗かせ喋りかけてきた。


「えっとまず先に俺から質問していい?」

「なんだいきなり質問って・・・・・・まぁいいだろう選ぶのはその後にでもいいだろう」

「早速だけども、いきなりの展開で俺はまだ頭の中の整理ができていなくって・・・・・・まずここは一体どこなんだ?」

「ここは気まぐれの空間だ。空間の名前は私が名付けたものだがこの空間には私以外誰もいないので問題はない。これで満足したか?では早速選んでもらおう・・・・・・」

「ちょっちょっと待ってくれ!まだ他にもなんで俺がこの気まぐれの空間にいるんだ?それに君は偶然と気まぐれの女神とか言ってたけども君は一体誰なんだ?・・・・・・あと選択肢とかもさっぱりだし」


偶然と気まぐれの女神と名乗る彼女はむすっとして頬を膨らませ

「秋篠春馬。君は頭が悪いのか?わざわざ私が名を名乗ったのに誰と言うのは失礼というものだろう!」

「あっいやごめんなさい・・・・・・でも自分が今いる状況がいきなりすぎて全然わからなくって」


彼女はため息をついてヤレヤレとした表情をしている。

仕方ないなと彼女は呟くと立ち上がり仁王立ちになって俺に説明をしてきた。


「まったく世話がかかるなぁ、いちいち説明するのも面倒臭いけども君が納得しないと選択肢を選んでもらえそうにないから特別に教えてやるぞ」


あっこれは特別なんだ、理不尽だよまったく・・・・・・。


「では秋篠春馬、君がここにいる理由について教えてやろう。君が地球にいた世界でトラックに跳ねられた。ここまでの記憶はあるか?」

「たしか・・・・・・トラックが俺に突っ込んできた記憶はあります」

「うむ、覚えているのなら良い。君はそのトラックに跳ねられたその時点で地球にいた世界での運命が終わっていたのだよ」


「運命が終わっていたってまさか・・・・・・」

「そう、あの世界で君の人生は終わっていたということだな・・・・・・本来ならな!」

「本来なら?それってどういうことですか?」

「そりゃーもちろん私が君が死ぬ寸前にこの空間に引き込んだから生きているに決まっているからだ。まぁ今、君の体は半分は生きていて半分は死んでいるがな」


どういう事なのだろうか?

生きているけども死んでいるっていう状況がいまいちピンとこない。


「まぁそう深く考え込まなくていいぞ。どうせ君には理解できるとは思わないからな!」

「いやいや、この状況で考えないほうがおかしいとおもうんですけども・・・・・・それよりもなんで俺がこの空間に連れてきたのかがわからないんですけども」


「そりゃーたまたま私が気ままに君を見つけて、たまたま死ぬ間際の君をここに招いたからだよ」


「えっ・・・・・・?たまたま?」


「うむ」


「・・・・・・本当にですか?」

「くどいなぁーそう言ってるだろう。たまたま私が見つけた時は気分もよかったもんだから助けてやったんだぞ。私を感謝してもいいんだぞ!」


今の話の流れが本当なら感謝しなければならないのだろうが感謝する気分じゃないよこれは。


「とりあえずここに来た理由は分かったけども、トラックに跳ねられた後の俺は一体どうなったんだ?」

「それはこれから私が出す選択肢次第ってことになっているんだがようやく選ぶ気になってくれたかな?」

「選択肢次第?」

「そうだ。これから選択次第で秋篠春馬、君の未来が決まるということだ。心して選ぶのだぞ」


話の展開が唐突過ぎてなかなか追いついていないのだが、ここは選択肢というやつを選ばないと話が進まないのだろう。

素直に俺は頷き選択肢を選ぶことにした。


「ではこれから出す選択肢を選ぶがいい。まずは1つ目は私の女神の力で死ぬ運命だった未来を変え元の世界に戻るという選択肢だ」

「2つ目は元いた世界から離脱し、別世界で心と体を移し新たな人生を送るという選択肢がある。以上の2つの選択肢だ。さてどちらを選ぶ?」


2つ目の選択肢は地球の世界とは異世界に飛ばされるということなんだろうか?

選択肢からして元の世界に生きて戻れるのだから1つ目の選択肢しかないだろう。


「選ぶ必要もないな。元の世界に俺は戻りたい。よくわからない世界に飛ばされるなんてまっぴらゴメンなんだが」


そういうと彼女は何やら意味ありげにニヤリとした顔をした。


「ふふふ、まぁそういうと思ったよ。なぜこんな2つの選択肢を出したか分かるかな?普通ならば当然1の選択肢を選ぶのは当然だろう。生きて元の世界に戻れるなら万々歳だろう」

「ええそりゃ・・・・・・」

「もちろん生きて元の世界に戻すことはできる。だが本来なら死ぬという運命であった人間が生きるということは結構イレギュラーなことだ。私の力ではその運命を完全に掌握することができなくてな、生きたとしても体は植物状態となり君が好きな格闘技など二度とできない体で生きていくということでなく考えることもない生き方になる」

「そんな・・・・・・」


元の世界に戻れると思っていたがショックだった。

おまけに植物状態ということはつまり仮死状態で余生を過ごすということ。

今まで孤児院で育ってきてこれから自力で生活をする人間が事故で植物状態になれば誰も俺を面倒みる人間なんていないだろう。

結局今生きれたとしてもわずかでしかないのだ。

それを考えると急に体が震えだした。


「まぁそういうこと。元の世界に戻れば君が今考えていることになるだろうね。それでもいいと言うのであればと思って選択肢に入れさせてもらったんだけども」


ちくしょう、なんでこんなことになってしまったのだろう。

こんな選択肢を選べなんて悪戯も過ぎてるだろう。

偶然と気まぐれの女神?なにが女神だ、ただの俺をからかう為にここへ連れて来たんじゃないかと思った。

俺は彼女を睨み付けようとしたが違和感があった。


憎しみが沸いてこない。


イラついてこない。


体が動かない。


何故だどういうことなんだ、体がおかしいのだ。


「きっと私に怒りをぶつけたいのでしょうけども残念だけどもその時間はあまりないわ。今の君の体はさっきも言った通り半分は死んでいるわ。このまま選択肢を渋っていればこのまま命を終えることになるわ」


「じゃあ・・・・・・俺は2つ目の選択肢を選ぶことしかないのか?」


少しずつだが意識が遠のく感覚に陥り始めた俺は振り絞るように彼女に質問をした。


「2つ目の選択肢しかない訳じゃないけども、もう一つの選択肢はこのまま死を受け入れるということだけよ」


もはや考えるのもだるくなりこのまま死ぬという選択肢を選ぼうかと思い始めてきた。

だが死のうと考えている俺に彼女はこう俺にささやいてきた。


「死んでいく選択肢もいいでしょうけども、君が何よりも好きだった格闘技をこれからも続けて生きたいと思わない?」


格闘技・・・・・・そういえば俺の人生の半分はそうだったんだっけ。

いつも鍛えて稽古をして汗を流して闘っていたんだよな・・・・・・。


「ああ・・・・・・もういっぺん体動かしてみたいなぁ・・・・・・ちくしょう」

「もしその願いがあるのなら死の運命から囚われた世界から抜け出し新しい世界で生きて見なさい。そして・・・・・・孤独で鍛え続けてきた格闘技で君が幸せになる運命を開いてみたらどう?」


新しい世界で生きるということにもう少し考えたかったが、その余裕は今はない。

ただ格闘技を続けたい、その一言だけが俺を動かしている。


「わかった・・・・・・選択肢を変える。2だ、俺を別の世界へ連れてってくれ。元の世界で格闘技ができないのはゴメンだ。そしてこのまま死ぬのもゴメンだ」


俺の言葉を聞いて彼女は笑顔を見せた。

そして彼女は俺の体に手を当てると俺の体は光り輝き始めた。


「わかったわ、では秋篠春馬!あなたの体に新たな命の息吹を吹き込みましょう。そして私から特別に新たな力を与えましょう」

「新たな力・・・・・・?」

「そう、これから君が行く別の世界へはまだ運命は囚われていないの。新しい世界の運命を受け入れる前にあなた自身が力を与えれば運命も変える力を得られるはずよ」


「そして今度こそ運命に勝って幸せになりなさい・・・・・・さぁ行きなさい、秋篠春馬」


体が軽くなりまたどこかへ引っ張られるような感覚が襲われた。

これから新しい世界へと飛ばされるのだろう。


意識が間もなく途切れ、目が覚めるころには別の世界が待っているのだろう。

不安だけども、今度こそ生きてやろう。


さようなら

地球の世界・・・・・・



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