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ライン  作者: Jan Ford
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第2章(16)/7

「なあ、そろそろこんなあほらしい下準備はやめようぜ」

 まさにこれから自分が言おうとしていたことを唐沢が口にしてきたので、真二は逆に驚いてしまった。

「それ、俺も思ってた。いい加減小学生じゃないんだからこんなことする必要もないよな」一輝が心の中で考えてたのと似かよったセリフを大西が口にする。

「なんだ、そんだったら俺もおんなじこと考えてたんだよ。もっと早く言ってくれれば・・・」こんなしちめんどくさい下見などしなくてすんだのに。「もしかして皆もそうか?」

 3人がまあな、というふうに苦笑いする。

「確かに、やんないですむんならやんないほうがいいと思うけどさ、ほかに行く場所がないじゃんか。だからしぶしぶって感じでさ」

 村上の言うとおりだった。犯行を予定しているのは夜中の3時頃だ。それまでのあいだ町に出ようものなら、すぐに補導されて、計画の履行どころか親に嘘をついていたということまで白昼にさらすことになるのがおちだ。補導されないにしても現場の近くにうろついているというだけで十分危険だ。中学生が真夜中、それも集団で6人も集まって外を歩いているとなれば通行人たちの注目を集めずにはいられまい。仮にそのまま深夜になるまで待って犯行を行ったとしても、怪しい6人組の少年がうろついていたと証言されれば、犯行時刻に姿を見られていなくても警察にかぎつけられ、最悪捕まってしまうかもしれない。

 危険は冒すけれど、絶対危険な目には遭ってはならない。それもこのグループの一つのルールだった。

「大西はどっちがいいと思う。いまのままこんな遠回りな準備をするのか、それとももっと簡単な、でも危ない橋を渡るか」村上が尋ねた。

 村上は大西とそんなに仲がいいわけじゃない。それなのに、聞いてきた一輝ではなくて大西に聞き返したところに一輝は違和感を感じた。

「俺は」大西は答えに詰まって考える素振りを見せた。「ちゃんと目的だ果たせるんだったらどっちでもいいぜ。なんだったら屋内かどこか暖かいとこで見つからないような隠れ家を、また探せばいいんだ」

「そうか」村上の返事はそっけなかった。

 結局6人で相談しあった結果、今日だけは予定通りここで時間をつぶすことになり、次回からまた同じような準備をするかどうかは別の機会に話し合うことに決まった。

 風が吹き抜ける真冬の夜は信じられないくらい寒かった。ボストンバックから厚着やジャンバーを出して何枚も着込んだが、風はそのわずかながらの抵抗をあざ笑うかのように体を這い回り、温度を奪って流れ去っていった。

 強い光をつけると見つかってしまうので、本を読んだり地図を見て計画の確認をしたりはできない。計画内容を口頭で確認し、後はライトのついたゲームや携帯電話をいじくるか、仮眠を取ったりするしかない。ゲームなどはたいてい2時間ほどで飽きてしまうし、本番前に頭が固まってしまったりするとまずいので、皆ほどほどにして横になるか、小声で互いにはなしはじめる。

 話題にもつまり、興奮で眠る気にもなれなかった一輝は、一人このグループが始まった頃のことを回想しだした。

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