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ライン  作者: Jan Ford
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第1章(18)/5

 成績のこと、部活のこと、家庭の状況(さすがにこれは覚えていないと答えられた)について前田は次々と尋ねてはメモを取った。笹山の受け答えはとても親切で、わざわざ学校にしまいこんであった記録を手元に用意して、それと合わせて説明してくれた。すると青島真二は成績も良く、部活についてもテニス部でレギュラーをつとめていたということだった。特に勉強のほうは、早稲田に進学したというくらいだったからかなり良くできたらしい。これだけ目立っていたのならば、笹山が30年たっても青島のことを覚えているのはそれほど不思議なことではないのかもしれないとも思えてきた。

 そこでついに本命の質問をした。

「交友関係のほうはどうでしたか」

 他のことを話しているうちにだんだんと記憶が戻ってくるのではないかと思って、前田は一番重要なこの質問をできるだけ後のほうに持ってくることにした。今回の訪問の目的は、青島真二に関する情報というよりも、彼とかかわりのあった人物を特定することにある。友達の中にそれらしき人間がいないようならば、学年の中に素行の悪い生徒はいなかったかと聞くつもりだった。

 しかし、笹山は意外な答えを返してきた。

「青島はいつも、羽鳥という子と一緒にいました」

 笹山の声から一瞬暗いものが臭ったような気がした。おかしな言い方だった。まるでその1人のことが重要すぎて、他の友達はいてもいなくてもどっちでもいいと言っているかのようだった。

「友達は、その羽鳥という子だけだったんですか?先ほどまでの話ですと、当時の青島氏は明るくて交友関係も広いような印象を受けましたが・・・」

「いえ、当然他にも友達はいたと思います」笹山は訂正した。「けれどなにぶん、私もだいぶ前のことなのでそんなによくは覚えていなくて。覚えているのはその羽鳥のことだけです」

 これはもしや当たりかもしれない。

「その羽鳥というのはどんな子だったんです?」

 前田は自然と身を乗り出した。今日わざわざここまでやってきたのはこの話を聞くためなのだ。どうしても興奮を抑えることができなかった。

 そのとき不意に、篠山が怪訝そうな表情を浮かべて言った。

「もしかして、あなたもですか」

 突然だったので、前田は何のことを言われているのか考えることができなかった。笹山が探りを入れるような目線でじっとこちらを見つめていた。あなたも(・・・・)?一体何の話をしているんだ?だが、考えてみても前田にはその言葉の意味するところが分からなかった。

(わたくし)もとは・・・」

「いいえ、構わないんです。ちょっと気になったものですから」

 前田はそうですかと言って話を受け流した。何を隠しているのか気にはなったが、羽鳥という人物に関する情報のほうが重要だし、もしも前田が「あなたも」の前にあたる人間と同じことを考えていると思われて、笹山が何も話してくれなくなったら元も子もなかった。

「それで羽鳥とはどういった・・・」

「彼は、そうですね」笹山の顔つきが難しそうに歪んだ。「青島ととても仲が良くて、勉強もスポーツも青島と同じくらいできる、一言で言えばとても優秀な生徒でした」

 優秀な生徒?俺が見つけようとしているのは暴力団とのつながりがあったという人物だ。こいつははずれだ。

 前田は「ほかに青島と友達だったこのことは思い出せませんか」と尋ねようとしたが、それより先に笹山が口を開いて言った。

「彼のことは今でもはっきり覚えています」

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