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1/144 の揺り籠  作者: kagonosuke
リクエスト番外編
35/36

多分、バラ色の人生 後編)

前回に引き続き、信思くんと離れていた時の真帆櫓さんのお話です。


 信思君との関係を解消してから、私の毎日は急に色褪せてしまった。最後の半年間は、余り会う機会も無かったから、同じような日常が直ぐに戻ってくる筈だとどこかでたかを括っていた所があった。目に見えない繋がりであったけれどもそれを完全に失ってしまった、いや、自分から断ち切ってしまったという喪失感は想像以上のものだった。ぽっかりと空いた大きな穴に自分から落ちてしまって、そこから這い出す術を持たない。そんな途方もない空虚感が私を襲っていた。

 それでも時間だけは過ぎて行く。無情にも。そして、誰にでも平等に。

 こうして私は再び会社と家との往復という五年前と変わり映えのない日常を送ることに専念した。私は仕事に集中した。海外の取引先は、クリスマス休暇に入る頃合いで通常よりも忙しさは減っていたけれど、年末年始の休み前にこなしておかなければならない細々とした業務はそれなりにあった。

 街中を彩る華やかなイルミネーションには、目もくれなかった。ただ、感覚的に綺麗だなと思うくらいで、すぐに私の網膜を掠めた映像は、興味が失われたように消えて行った。


 クリスマスを過ぎた頃、忘年会をしようと大学時代の友人たちに誘われた。大学を卒業して皆、其々に職を持っている。それでも年に数回、こうして会う機会を設けていた。互いに少々の秘密を持った、それでも気の置けない友人たち。私は彼女たちがいたから救われた所があった。

 本当はクリスマスの時にも声が掛かっていたのだ。独り身の者が集まって昨今流行りの【女子会】なるものをやるとのことで―――といってもいつものように食べて、飲んで、歌って、騒いだりをするだけの鬱憤晴らしなのだが―――彼氏がいるという認識を持たれている私にも一応誘いの声は掛かっていた。ここ数年は参加していなかったので、今年は顔を出してみようかと思わないでもなかったが、その時はそうするだけの気力がなかった。

 女同士のクリスマス会には参加しなかったけれど、そのすぐ後に忘年会をやるという話を聞いて、そちらは毎年参加をしていたので、今年も加わることに決めた。

 集まるメンバーはいつも同じだ。大学を卒業して、其々進んだ道はバラバラであったけれど、今でもなんだかんだと理由を付けて集まる機会を設けている。

 彼女たちに会うといつも時間が巻き戻った感覚になった。気楽で、それなりに悩みは抱えていたけれども、大人社会の厳しさからは遠ざかっていたモラトリアム。楽しかった学生時代に戻った気になって他愛ないお喋りをする。そして、普段の日常生活には全く関係がない相手だからこそ、仕事の愚痴や恋の悩みなどを赤裸々に打ち明けることができた。そこでストレスを発散して、向上心のある友人や頑張っている友人の話を聞いてパワーをもらったり、自分の行いを反省したりする。同年代の彼女たちは私を映す鏡でもあり、そこからの反射は己を顧みる戒めでもあった。



 ―――――そう言えばさぁ、この間………えっと、クリスマスの少し前…かな? 何君だっけ? あの真帆櫓の彼氏。あー、そうそう、N氏……だから、そう、ノブモトくん。あの子が女の子と歩いてるの見たよ? なに、喧嘩でもしたの? 珍しいこともあるじゃない。

 忘年会の席で、久し振りに会った女友だちの口から飛び出したのは、切れ味のある変化球だった。スピードは決して速くはない。チェンジアップ。友人独特のスローテンポな口調。それでも私はその軌道を追うことが出来なかった。

 ―――――ストライク! 審判の合図が耳の奥にこだました。

 その友人は信思君とは面識があった。付き合いが5年近くにもなると大体お互いの友人やら交流関係の把握はかなり進む。

 不意に押し黙った私に、友人は傾けていたビールのジョッキをゆっくりとテーブルの上に置いた。最初は軽いノリだったのに、私の顔色を見てか、急に表情を真面目なものに変えていた。

「……って、なに。……もしかして。あたし、地雷踏んだ?」

 私は所在無げに触っていたソルティードッグのグラスをテーブルに置いた。口を付けた部分だけ減ったグラス縁の塩の結晶を視界に入れる。

 私は一瞬、躊躇いを覚えたけれども、隠しておくこともないかと思い直して、小さく笑った。

「ううん、大丈夫」

 その一言に友人が安堵の息を吐き出し終わらない内に、

「別れたの」

 そう事実を明かしていた。

 友人は、ぎょっとした顔をして私の方を向いた。

「別れたって………あの、ノブモトくんと?」

「そう」

「なんでまた………って、いつ?」

 その友人は、私が信思君と付き合い始めた時に、止めた方がいいのではと言ったことがある。『相手は高校生。世界が違う。長くは続かないだろうから労力の無駄』とか言って、やんわりとだが苦い顔をした。

 それは実に彼女らしい考え方だった。中高一貫の私立校で英語の教師をしているその友人は、教師として毎日そういう生徒たちに接している。元々、興味半分の遊び半分なのだろうから飽きたらすぐに別れることになる。そんな相手にこちらが本気になったとしたら莫迦らしいではないか。彼女から見たら高校生はまだまだ庇護すべき子供以外の何者でもないのだ。恋愛対象など有り得ない。

 その助言を頭の片隅に入れながらも私は信思くんと付き合うことになった。彼女の言いたいことは良く分かった。最初の頃は私自身も同じように思っていたから。それでも惹かれてしまっていたのだから仕方がない。その気持ちを上手く隠そうとした矢先に相手から暴かれてしまった。

 そして、一年が過ぎ、二年が経ち、偶に顔を合わせる度に大丈夫なのかと心配をされたけれど、関係がそれなりに続いていることを知らされて『そんなものかねぇ……』と妥協というか認めるような事を言いだして、それから一年とちょっとが経過したというような頃合いだった。

「今月の中旬ぐらいにね」

 そう、その時は、まだ別れを告げてから間もない頃のことだった。私の身体にぽっかりと空いた小さな穴からは、ぶす黒い血が静かに流れ出していた。

 その友人は信じられないとばかりに身を乗り出した。

「なんで? 真帆櫓、もしかして振ったの? もう年下は嫌とか言って」

 アルコールが入って大胆になり、前傾姿勢になった彼女の勢いに半ば押されながらも私は首を横に振った。

「ううん。振られたの。多分………」

「はぁ?」

「ちょっ、加奈子、声大きい」

 それまで黙って話を聞いていたもう一人の友人が、隣に座る英語教師を窘めた。

「抑えて抑えて」

 急に大きな声を出したものだから、周囲にいる客がなんだとばかりに振り向いた。それに『すみません、お騒がせしました』と社交辞令的微笑みを湛えて軽く頭を下げる。

「久し振りに顔を見て、なんだか元気ないなぁなんて思ったら。そういうことだったのね」

 そう言ってトイレ休憩から戻って来たもう一人の友人が定位置であった私の隣に腰を下ろした。

 大学時代、言語学の分野から音声学に興味を持った彼女は、大学卒業後、専門学校を経て言語聴覚士の資格を取り、現在病院に勤務していた。そこで吃音を持つ患者や手術等で口腔内にハンデを負った患者の発声のリハビリなどをしているようだ。

「振られたって、どうしてまた。だってあの子、真帆櫓にベタ惚れだったじゃない」

 斜交いに座る友人も信じられないとばかりにこちらを見ていた。彼女は国内のメーカーから転職し、現在は外資系のメーカーに勤務していた。

 これでメンバーは揃った。私を入れて四人。これがいつもの顔触れだ。

「どうも他に気になる子ができたみたいでね。色々あったみたいで、ややこしくなりそうだったから、距離を置いて欲しいって言われてね」

「だから、別れたと」

「そう」

「浮気かぁ」

 外資系メーカー勤務の友人がカシスソーダ片手にテーブルの上にあった唐揚げを摘んだ。

 浮気という言葉は使わなかったけれど友人たちにはバレバレであったようだ。

「ほーらね、言った通りでしょう? 彼、大学生になったんだっけ?」

「うん。今、3回生だから、来年は4回生になるわね」

「やっぱり若いのは若い方がいいのよ」

 英語教師は自分の持論が正しかったとばかりに頷いて見せる。学生と社会人との間の意識のギャップはかなり大きいと日頃から言っていたのだ。

「でもさ、なんか、何で今更って感じもするけど?」

 私の隣で言語聴覚士の友人がマルガリータのグラスに手を伸ばした。

「そう…かな?」

 それから私は友人たちを前に手短に信思君と別れることになった経緯を語った。



「まぁ、そうね。ちょっと時期がずれたけれど潮時ってやつだったんじゃないの?」

 吐き出される言葉はともすれば辛口だが、英語教師の友人は私たち四人の中では誰よりも現実的且つドライで、的確な指摘をくれる。勿論、それは私を慰めてくれる為の言葉だ。

「そう…だね」

 無意識に沈んだ声を出していた私に英語教師の加奈子は綺麗に整えられた細めの眉をしんなりと寄せた。

「なぁに、納得して別れたんじゃないの?」

「頭では理解してるんだけどね」

 私は苦笑を滲ませた。

 結局、学生と社会人の差は大きかったということなのかもしれない。

 気持ちの面ではまだまだ付いていけない。私は思った以上にショックを受けていて、割り切ろうと考えようとすればするほど、却って未練がましい気持ちに絡め取られることになる。だから最近は余り考えないようにしていた。

 携帯の番号もメールアドレスも削除した。もう私と彼とを繋ぐものは何もない。

「仕方ないんじゃない?」

 言語聴覚士の理沙が、マルガリータに口を付けてからおっとりと微笑んだ。

「だってかなり長いこと続いてたでしょう?」

「五年かな」

「それだけ続いてたんだから、逆に凄いのかも」

 外資系メーカー勤務の奈津美が別の視点をくれた。

「あー、でも、真帆櫓ってば浮気許容派だったよね。その辺はどうなの? やっぱ、現実的には厳しいでしょ?」

 想像と実際は違う。かつての私の持論を突き崩すように英語教師の加奈子が言った。

 私は手にしていたソルティードッグを一口含んでから苦笑いをした。

「一応ね。一度くらいならいいかと思ってたけど、今回は無理だったみたい。向こうの女の子の方が積極的だったみたいで。ここで引きずったら二股になるし」

「だから身を引いたと」

「う…ん。そうなるのかな」

 身を引いたというのは詭弁だろう。信思君の心が離れた時点で私は振られていたということなのかもしれない。

「うーん」

「ふーん」

 言語聴覚士の理沙と外資系メーカー勤務の奈津美は顔を見交わせると複雑な表情をした。

「でもさぁ、ちょっと酷くない? そのノブモトくん」

 奈津美が豆腐サラダを突きならが言った。

「結局、真帆櫓が振り回された訳でしょう?」

 事の発端は、信思君の浮気だった。だから全面的に悪いのは男の方だ。そう言いたいのだろう。

「仕方ないわよ」

 だが、そこに至るまでには過程がある訳で。それを知らない友人たちにはやはりそう見えても仕方がないのかもしれない。

「甘過ぎる」

 奈津美は不服そうに顔を顰めた。

 その隣で加奈子が流れを変えるように言った。

「でもさぁ、もし、その子が新しい彼女と付き合ってみて、やっぱり違うなんて言ってきたらどうするの?」

「え? どうするって?」

 意味を捉えかねた私に加奈子が呆れたように目を丸くした。

「あのねぇ。だって、真帆櫓の話を聞く限りそういうことなんでしょう?」

 向こうは自分の気持ちを確かめる為に距離を置いた。そして、同年代の女子大生と付き合ってみることにした。そこで出た結論が、やっぱり前の彼女の方が良かったということになる場合だって十分考えられる。そうなったらどうするのかと加奈子は訊いていた。

「…っていうか、かなりずるいよ。結局、現在進行形で二人の女を天秤にかけてるってことでしょ? それも真帆櫓には堂々と宣言してるんだから」

 ―――――ああ、やっぱりあの子。若い癖に策士だわ。性質が悪い。

 そう言うとチーズの乗ったクラッカーをボリボリと音を立てて噛み砕いた。

 確かに言われてみればそうかもしれない。

「嫌いになったから別れたんじゃないんでしょう?」

 理沙が確かめるように私を見た。

「うん。少なくとも私はね」

 嫌いになった。嫌になった。そういう否定的な言葉は聞かなかった。でも、優しい信思君のことだ。私を傷つけるようなことは敢えて言わなかったのかもしれない。だから、その本当の所は分からなかった。単に飽きたのかもしれない。

「混乱したから気持ちをはっきりさせる為に距離を置きたいって」

 そう言われたのだ。でも、それはあくまでも建て前上の方便で、本人は別れて欲しいと口にしたのだから、私にしてみれば同じことのように思えた。

 そう言えば理沙がマルガリータを流しこみながら半ば呆れたように溜息を吐いた。

「真帆櫓……肝心な所で。でもらしいっちゃぁらしいけどね」

「そう?」

「そ」

「で、どうするの? もし、もう一度やり直したいなんて言われたら」

 空になったカシスソーダのグラスを脇に置いてドリンクのメニューを見ていた奈津美が話を戻すようにこちらを見た。

 そうなったら私はどうするのだろう。戻って来たら嬉しいと喜ぶのだろうか。

 同じような年頃の女の子よりも私の方がいいと言ってくれたら、それはそれで嬉しいには違いない。ましてやそれが本当の体感から出た言葉であるならば。

 こんなことを言ったら呆れられるかもしれない。でも私はやっぱりまだ信思君のことが好きなのだ。

 しかし、私は、それは有り得ないだろうと意識から除外していた。

「それは……無いんじゃないかな」

「えー、どうして?」

「分かんないじゃん?」

「そうそう、5年はやっぱり伊達じゃないからね」

「あの子、そんな軽そうには見えなかったんだけどなぁ」

 向こうから寄りを戻そうと来ることはないだろうと思っていた私に三人の友人たちは口々にそれは分からないと言った。

 私はそれを真に受けなかった。彼女たちなりの慰めの言葉だろうと思った。

「私の話はこれで終わり。それより理沙の方はどう? 例の学者の彼と上手く行ってるの?」

 私は強制的に自分の話題を終了させた。そして、話を恋人がいる他の友人に振った。その逸らし方はあからさまではあったけれど、友人たちは苦笑いしながらも、まあいいかと流してくれた。


 それからお酒を飲みながら各人が近況を報告し合った。

 理沙には大学で博士号の取得を目指している彼氏がいる。行く行くは研究者になりたいということだったが、目下、論文の作成で忙しいらしい。その他に臨時の講師の仕事がやっと見つかったということだったが、それだけで食べて行くのは難しいということだ。理沙は、早く結婚をしたかったが、家族がその彼氏の経済的な状況を良く思っていないらしく、結婚の承諾はまだ得られていないということだった。

「まぁ、こうなったら気長に行くしかないけどね」

 そう言って理沙はどこか達観したように笑っていた。

 理沙とその彼氏の付き合いも長い。大学時代に知り合って、自分の研究以外には興味のないのらりくらりとした学者肌の男をやっとの思いで振り向かせたということだった。理沙の粘り勝ちという所だろう。その時の苦労話を知っているから、理沙の言葉には重みがあった。

 英語教師の加奈子は、その年の夏に不倫相手との関係を清算したと言っていた。

 加奈子が結婚している男と付き合っている。約一年前にそのことを打ち明けられた時は、信じられないと吃驚した。私にしてみれば加奈子は不倫などするようなタイプだとは思ってもいなかったから。その男は元同僚だということで、結婚を機に同じ系列の別の学校に異動になったらしかった。正確には男の方が二股を掛けていたということだったらしい。その間も加奈子はずるずるとその男と関係を続けていた。しかも加奈子は相手の奥さんとも面識があったと言った。それを私は信じられない思いで聞いたのだ。加奈子自身もこんなんじゃ駄目だと思いながらも男から呼び出されると一つ返事で応えてしまう。馬鹿だって分かっているけどどうしようもなかった。そんなことを自嘲気味に語っていたのだ。

 関係を清算したと聞いて、私は一先ず良かったねとしか言いようがなかった。それすらも慰めにはなっていないのかもしれない。

 人を好きになるという感情は本当に厄介だ。時として常識や規範、人としてこの社会で生活をしてゆく上で守らなくてはいけないとされる枠組みを恋はあっさりと飛び越えてしまう。それは時として美談になったり醜聞になったりする。恋に唆される方が悪いのか。禁忌を破る快感に抗えない方が悪いのか。逆境に逆らって困難な道を敢えて選ぼうとするのだから人間は不可解な生き物だ。

 そして最後、外資系メーカーに勤める奈津美は、今年に入ってからなんと中古のマンションを購入したと打ち明けた。昔風の2DKを1LDKに改装したらしい。キッチンには小さなカウンターを作って中々の出来栄えになったから、今度、見に来ればいいと嬉しそうに笑った。今は自炊に精を出していて、料理のレパートリーを増やしている所なのだそうだ。

 男の影は相変わらず見えないままだ。人当たりが良くて笑うと右の頬に片笑窪が出る。可愛らしい感じなのだが、これまで奈津美が恋の話をしたことはなかった。会社の同僚で気になる人やいい人はいないのかとその昔、聞いたことがあったが、出会いなんてある訳ない、それに社内恋愛は嫌だと笑ってはぐらかされてしまった。寂しさを埋める為にか文鳥を二羽飼っていて、その子たちの世話で忙しいらしい。何だか益々男運から遠ざかっている気がしたと思ったのはここだけの話だ。

「すご、ちょっと、奈津美、随分と思い切ったねぇ」

 私と理沙もそうだが、私たちの気持ちを代弁するように加奈子が目を丸くして3杯目のビールを噴き出しそうになっていた。

「城持ちだね」

「大名だね」

 小さくとも一国一城の主という訳だ。

 家を買うというのは、一生に一度の大決心だろう。私は上手く言えないけれども奈津美がなんだか突き抜けてしまったように感じた。

「ふふふ、その分ローンを抱えちゃったけどね。流石に書類にサインをするときは緊張したよ。でも、どうせ同じ家賃を払うなら、着実に自分のものになった方がいいかと思ってさ」

 そう言って片笑窪を出して笑う奈津美は、傍目にも満足そうだった。それを少し羨ましいと思ったのは内緒だ。

「そっかぁ」

 理沙と私は一人暮らしだが、加奈子は実家暮らし。それでもその問題は決して他人事ではなかった。この後の人生をどうやって歩んで行くか。現実の重みは、否応なしに圧し掛かってくる。それを今は、まだ直視するのが怖くて、なるべく見ないようにしている。でもその内、正面から向き合わなければならない時期はやってくるのだろう。

 こうしてその夜、私は友人たちの近況に驚いたり、笑ったり、からかったりしながらも、他に他愛ない話をしたりして、久し振りに羽目を外して楽しんだのだった。そして、お開きになる頃には、そこそこ気分を持ち直していた。やはり持つべきものは友である。そんな陳腐な慣用句を胸にふらつく足を叱咤しながら家路を辿ったのだ。



 それから年が変わり、新しい一年を迎えた。私にとっては久し振りの一人きりの年越しだった。一人でいるのはいつものことであったけれど、昨年は年明け早々に信思君が顔を出したから、今年は余り広くはない筈の部屋がやけにがらんとして見えた。

 年明けには、一応実家に顔を出して、結婚はしないのかとさり気なく聞いてくる親戚連中の攻勢に曖昧な微笑みを浮かべながら逃げ回っていた。

 こういう時、両親は決して私のことに口を出そうとはしなかった。三十の王台を目前に控えて、最近は晩婚化が進んでいると言っても、一人娘がいまだ独身でいるのはやはり心配ではあるのだろうとは思う。でも私の両親は昔からそういったプライベートなことには口を挟まなかった。驚くほど寛容で私の我儘を受け入れてくれた。それを申し訳なく思いながらも、私はやはり自分からは口にはしなかった。

 二人が何も言わない反面、親戚のおじさんとおばさんたちが容赦なく突いて来た。そうやって気を回して見合いの話を持ってくる始末。私は今年もまだ結婚をする積りはない、仕事が忙しいから見合いをする余裕もないとお決まりの使い古してよれよれになった台詞を免罪符のように翳して、一人逃げ帰って来た。


 そうして二月に入り、私は再び自分の日常に慣れ始めていた。

 その間、信思君の姿を二度見かけた。一度目は、駅中のショッピングモールを歩いていた。その隣に新しい彼女と思われる女の子を連れて。そして二度目は、夜、帰りの電車で見掛けたのだ。その時は一人で、信思君はコンビニのバイトが終わった所らしかった。私は仕事帰りのことで、その長身を認めた瞬間、胸内に何とも形容し難い感情が沸き上がって来たのを認めざるを得なかった。

 ほんの数カ月のことであるのに堪らなく懐かしくなっていた。私の心は、あの時から止まったままだった。

 それを認めたくなくて、人混みに紛れるようにして滑り込んできた電車に乗り込み、窓の外をぼんやりと眺めながらお決まりの揺れの中に身を置いた。

 駅を一つ過ぎた所で、私の左隣に人が立った。窓ガラスに反射するシルバーのメタルフレームの時計。カーキ色のブルゾン。ストレートのジーンズにミリタリーっぽい黒いブーツ。鼻先を微かに掠めたシトラス系の爽やかな香り。私の心をかき乱す香り。

 それが誰なのか、言われなくとも分かった。

「久し振りね」

 私は正面の窓ガラス越しに微笑んでいた。

「元気にしてた?」

 まともに顔を見ることは出来なかった。

「ん、久し振り」

 耳に馴染んだ低い声が耳朶を振るわせる。そして私の心を揺さぶった。

 それっきり私は言葉を失った。喧嘩別れをした訳ではない。仲違いをしている訳でもないのに私は何を話していいのか分からなくなっていた。

 ぐるぐると空虚な言葉を探して、漸く口を突いて出てきたのは、面白味の無い陳腐な内容だった。しかも自分で自分の傷口を抉るような自虐的なものだ。

「どう? 新しい彼女とは上手く行ってる?」

 すっかり闇に包まれた街の明かりを背負って窓ガラスに薄く反射する人波が、電車の振動に合わせて揺らいでいた。

 ―――――タン、タタン。

 身体に馴染んだ不規則な揺れ。

 長い沈黙の後、

「んー、まぁ」

 曖昧に濁すように信思君は口にした。

「元気……そうね」

 ガラス越しに見えた隣に立つ信思君の姿は、余り元気そうには見えなかったけれど、私はそう口にするしかなかった。

 私たちは無言のまま最寄り駅まで電車に揺られた。約五年前、この駅から始まった出会いは一つの転機を迎えた。

 信思君は、出会った頃よりも背が伸びて、体つきもより逞しくなった。あの頃のほっそりとした面影はもうない。

 私と信思君は再び遠い関係に戻った。知り合う前のような。今はそこに若干のぎこちなさが漂っているが、やがて時がそれを解決してくれるだろう。

 降車する駅に着き、改札を抜けてからも信思君は当然のように私の傍に並んだ。

「送る」

 無意識に受け入れそうになったその申し出を笑って制した。

「平気よ。まだそんなに遅くないから」

 当たり前のように出た親切心。今、そこまでしてもらうのは心苦しかった。自宅のあるマンションまでの道のりは商店街の中を通って行けば人通りもそれなりにある。実家が大通りを挟んで反対側に位置する信思君に態々遠回りをさせる訳にはいかないだろう。それは私なりのケジメようなものだった。

 だが、信思君は黙って私の横を歩いた。数ヶ月前の日常が戻ったかのように付かず離れず車道側を歩く。

 恋人同士から普通の知り合いという枠組みに戻るまでには、まだまだ時間が足りなかった。かつてならなんてことはなかった沈黙が耐えられなくて、私は他愛ないお喋りをした。見かけ上、穏やかな言葉を紡ぎながらも私の心は軋み、悲鳴を上げていた。消化しきれない想いが澱のように溜まって行く。

 そうやって駅から約15分の道のりを歩き切った。自宅マンションの古ぼけた赤茶色の外壁が見えた時には何だかほっとした。

「それじゃぁ、送ってくれてありがと」

 ―――――またね。

 思わず口にしそうになった言葉を慌てて飲み込んだ。これまでの約五年間の間に染みついた習慣は中々改められそうにはなかった。

「ん」

 その時、初めて私は真正面から信思君の顔を見た。街灯の影が掛かり、顔半分は闇の中だ。そこにある表情は良く分からなかった。

「真帆櫓さん」

 踵を返した背中に声が掛かって、私は首だけ振り返った。

 明かりの下に一歩踏み出した信思君は、なんだか迷子になって途方に暮れた幼い子供みたいな顔をしていた。

 どうしてそんな情けない顔をしているのだろうか。

「あの………さ」

「ん?」

「………………」

 それきり信思君は黙ってしまった。言葉を探すように薄い唇が小さく開いては、また閉じる。それを何度か繰り返して。何かを言いあぐねている様子の信思君に、私は小さく微笑んだ。

「信くん。大丈夫。私は気にしてないから」

 ―――――だからキミが気に病むことはない。

 それだけを伝えると部屋に戻るべく階段を登った。

「あ……ま……」

 何か言いかけた小さな声に私は振り返らなかった。



 それから二週間ほどたった土曜日の昼、私は突然、英語教師をしている加奈子に呼び出された。

「どうしたの、突然」

 加奈子の勤務する学校は中高一貫の私立で、土曜日は休みではない筈だった。

 加奈子は、開口一番の私の疑問をお得意の営業スマイルで誤魔化して、お腹が減ったから御飯を食べに行こうと私の腕を取った。

「あー、お腹減った。あ、パスタが食べたい。そう言えば、この辺に真帆櫓の言ってた美味しいイタリアンのお店があるんだっけ?」

 そう言ってずんずんと歩き出す。こうなったら加奈子のペースだ。お腹が空いている時の加奈子は全神経が食欲に行くので、それが満たされない限り私の意見は通らない。過去の経験より導き出されたかなり強引な法則である。

 私は肩を竦めると加奈子の言う美味しいパスタが食べられるという店に案内した。


 そこは私が、ランチに良く顔を出す店で、初めて信思君を連れて食事をした場所でもあった。無精髭を生やした山男のようなワイルド系の男がマスターを務めている。

 中に入ると加奈子はメニューを吟味するように見てから早速、注文をした。

 そして、運ばれてきたカルボナーラとペスカトーレに舌鼓を打ってから漸く、本題に入った。

「ねぇ、真帆櫓」

 顔を上げると加奈子が不意に真面目な顔をしていた。

「もしさ、前の彼氏がよりを戻したいって言ってきたらどうする?」

 加奈子は、ナプキンで口元を拭うとグラスの水を一口飲んだ。

 加奈子の行動はいつも突発的で私の意表を突くものだったが、今回もその例に漏れなかった。

「それって……加奈子の話?」

 私は慎重に言葉を選んだ。加奈子も半年ほど前に不倫という端から見れば不毛な恋に終止符を打った所だった。

 もしかしてその時の相手と再びそういう関係になったということなのだろうか。

 私の心配を余所に加奈子はからりと笑った。

「違うわよ。あたしじゃなくて、真帆櫓の話」

「わたし?」

「そう」

「どうしたの、いきなり」

 何を切り出すかと思えば。吃驚するではないか。

 私はペスカトーレに入っていたあさりの身をフォークで突いた。

「で、どうなの?」

「どうなのって……ねぇ」

 苦笑いをして誤魔化そうとする私の逃げ道を封じるように加奈子が畳み掛けた。

「吹っ切れてはないんでしょう? どうせ」

 私は細めのパスタをフォークで丸めると口に入れた。トマトの酸味と魚介類の旨味が合わさってコクがあるのにさっぱりとした後味だった。流石、マスター。今日も美味しい。

「話を逸らそうとしたって無駄」

 現実逃避をしかけた私に容赦の無い一言が浴びせられる。

 出会ってから十余年、付き合いが長いだけあって私の性格は相手にはお見通しだった。

 私はパスタを咀嚼してから、水を流し込み、恨みがましい目をしてそんな話を振ってきた友人を見た。

「そうよ。吹っ切れてなんかいないわよ」

 こうなると自棄だった。

「普段は考えないようにしてるだけで、まだ未練がましく引きずってる」

 ―――――自分の方が大人だから、潔く身を引いてみせるなんて大嘘。

 本心を口にした私に加奈子は『良く出来ました』とばかりに満足そうな笑みを浮かべた。きっと教師の時の加奈子は生徒たちを前にして、こんな顔をしているのだろう。そんな他愛ないことをふと思った。

「で、もし、あの子が、自分が間違っていた。許してくれなんて言ってきたらどうする?」

 段々と具体的になってくる例え話に私は疑念を込めて加奈子の少し吊り上がり気味の猫のような目を見た。

「何か……企んでる?」

「まさか、人聞きの悪いこと言わないでよ。ただあたしは真実を知りたいだけ」

 ―――――それでうっかりお節介なことをやいちゃうかも知れないけれどね。

 そう言って含み笑いをする。

 それから促すように微笑まれて、私は手にしていたフォークをテーブルに置くと、どっかりと座っていた椅子の背もたれに身体を預けた。

 目を伏せると艶やかな照りを返す加奈子の繊細なネイルが目に入った。相変わらず細部にまで気を抜いていない。そして、視界の隅に自分のなんの飾り気もない爪が見えた。

 日頃から自炊をするからネイルの類はしなかった。多分、生理的なものなのだと思う。綺麗なものは好きだが、自分の爪に装飾を施そうとは思わなかった。そんな話を昔した時、あの子は私の手を取って笑ったのだ。『いいんじゃねぇ、別に』って。『ギラギラした爪で米を研がれるってのはパス』―――確か、そんな事を言っていた。

「そうねぇ」

 私はこれまでのことを思い返すように口を開いていた。

「もし、信思君がまた私の所に来たいって言ったら、結局、許しちゃうんじゃないかしら。私の気持ちは以前と変わっていないから」

 理由を聞いて納得出来れば、きっと受け入れてしまうだろう。数カ月が経過した今も引きずっているのは私の方で。もし、新しく付き合った同じ大学の子よりも私の方がいいと思ってくれた上でのことならば、きっと内心は嬉々として首を縦に振るだろう。その気持ちを素直に表に出せるかはまた別の話だが。

 正直な所を話せば、加奈子はしたり顔で頷いた。

「やっぱりねぇ」

 それから小さく呟いた。

 ―――――Conguratulations !

「あの子、相当凹んでたみたいよ。今の台詞聞いたら飛び上がって喜ぶわ。それこそ犬がしっぽをぶんぶん振るみたいに」

 その言葉に私は呆気にとられた顔をして加奈子を見た。

「信思君に会ったの?」

「ん~、偶々? 駅でね。ばったり」

 その時に余りにも冴えない顔をしていたものだから、少しからかってやろうと思って突いてみたのだと臆面もなく、いい笑顔で言い切った。

 女というものは総じて浮気男には厳しい評価を下すものである。私は普段の倍増しで舌鋒鋭かったであろう加奈子に捕まったという信思君に心の中で同情した。

「あの子、中々口を割らなかったけれど、終わり頃に『後悔してる』って小さく呟いたの。聞こえるか聞こえないかの小さな声で。多分、アレはあたしに言ったんじゃなくって、自分に言い聞かせてるみたいだった」

「………そう」

 突然、そのようなことを加奈子から聞かされても私は曖昧な返事しか出来なかった。そんなことを聞かされても私にはどうしようもない。

 今、思えばこの時から加奈子の策略(というとなんだか聞こえが悪いが)は始まっていたのかもしれない。

「似た者同士かもね」

「へ?」

「真帆櫓とあのノブモトくんて子。そういう甘っちょろい所なんか特に」

 辛辣な単語とは裏腹に加奈子はそう言うと小さく笑った。それはまるで出来の悪い生徒を叱る時のような優しい笑みだった。

「ま、じゃぁ、その内、心を入れ替えて頭を下げに来るかも知れないわね。そしたら直ぐには頷かないで、焦らしに焦らして土下座くらいさせたらいいわ。反省は大切だからね」

 経験豊富な高校教師は、茶目っ気たっぷりにそのようなことを言い切るとランチに付いていたサービスのコーヒーセリーを美味しそうに食べたのだった。




「真帆櫓さん!」

 それから更に二週間ほどが過ぎたある日、会社近くのコンビニに飲み物を買いに行った私は、店を出た所で聞き覚えのある声に呼び止められていた。

 加奈子から聞いた話は、あの後も私の中をぐるぐると当て所なく彷徨っていた。信思君が私と距離を置いたことに後悔をしている。もしかしたら、私の所に戻ってくるかもしれない。どこまでそれが本当かは分からない。他人のまた聞きは、情報を正しく伝えるとは限らないから。それでもそんな些細なことに期待をしている自分がいることを認めない訳にはいかなかった。

 その決断が、よく考えた末の結論であったならば、きっと私は受け入れてしまうだろう。そんな予感はあった。でも、それと同時にそんなことはある訳ないだろうと否定をしている自分もいた。

 掛けられた声にゆっくりと振り返る。そして視界一杯に広がったのは、どこか思い詰めたような真剣な顔をした信思君だった。

 私の脳裏には加奈子の言葉と艶やかに弧を描く唇が浮かんでは消えた。


 それは、ちょっとした悪戯心からであったからかもしれない。恐怖で竦みそうになる本心を隠して、捻くれた所のある天の邪鬼な私の精一杯の意趣返し。

 この間の夜と同じように口を開きかけた相手を制して、私はからかうような笑みを浮かべて言った。

「気が済んだ?」

 信思君は固まったままその場で大きく目を見開いた。

 そして、更にもう一言。

「どうだった? 同い年の女の子と付き合ってみるのは?」

 そして、私はゆっくりと信思君に片手を差し伸べた。

 私の言いたいことは理解できただろうか。私の手を取ってくれるだろうか。まだやり直せる? また、戻って来てくれる?

 膨れ上がる不安を押し留めて、微笑みに変えた。

 こんなことだから、私は分かり難いと言われるのかもしれない。でも五年間は一緒にいたのだ。だから、分かってくれるのではないか。

「あ………」

 やがて私の手は一回り大きなごつごつとした骨ばった手に包まれていた。重ねられた手に力を込めた。向こうには何ともないのだろうが、痛いくらいにギュッと握り締めた。

「あと三十分で、シフト終わるから」

 情けない顔を晒して微かに笑った信思君が、仕事を放り出して来た店内へ素早く視線を走らせながら口にした。

「分かった。じゃぁ、またその頃にね」

 ―――――そっち行くから。

「ん」

 私は小さく頷いてから手を離した。

「真帆櫓さん!」

 会社に戻るべく歩き出した私の背中に、

「ありがと」

 信思君が掠れるような小さな声で言った。

 私は足を止めてその場で振り返ると飄々とした笑みを浮かべていた。

「それを口にするにはまだ早いんじゃない?」

 ―――――だって、最後までキミの話を聞いてないじゃない。

 その指摘に信思君は途端にばつの悪そうな顔をした。それでも辛うじて繋がった糸に安堵のような息を吐いたようにも思えた。


 それからのことは想像しなくとも分かるだろう。私は、信思君の懺悔の告白を聞き、再び彼を受け入れた。その裏で、私の友人がVサインをしている様子が透かし見えて、何だか可笑しかった。

 それでもこうして元の鞘に収まったのは、彼女の尽力があったからだ。後で迷惑を掛けたというお詫びを兼ねて御飯を御馳走しなければならないだろう。そんなことを零した私に、信思君は何を思い出したのか、少しだけ嫌そうに口をへの字に曲げたけれど、迷惑を掛けたという思いはあるらしく何も言わなかった。


 そして彼女に会った時、二人並んだ私たちを見て、加奈子は一言。

 ――――La vie est rose.(ラ ビ エン ローズ……人生は薔薇色だ)

 何とも言えない顔をして、そんな格言めいたことを言った。

 端から見れば、私たちの関係は歪でちぐはぐなものに見えるかもしれない。それでも私は、この関係を望んでいて。

 これが私にとっては、―――多分、薔薇色の人生。


いかがだったでしょうか。リクエストを下さった倉沢唯さま、ありがとうございました。『気が済んだ?』……強気に思えた発言の裏には、多くの不安が入り混じっておりました。真帆櫓さんの虚勢だったのかもしれません。


これで正式なリクエストは消化致しました。次回は、オマケとして真帆櫓さんの友人視点の小さなお話を最後に載せたいと思っています。

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