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いやなはなし

あなたが明日もわたくしを愛していますように!

掲載日:2026/09/21

 黒髪の男が憎かった。物心がついた頃から憎かったので、何か理由があるのかと尋ねられても困る。黒髪の男に殴られたことも、騙されたこともないし、そもそも黒髪というのは魔力の強い者に現れやすい特徴で、平民には滅多にいない。いたら即行で良い感じのおうちへ養子に求められるか、おらが家の宝くらいの勢いで囲われるかしている。

 結局、英雄譚に出てくる偉大な魔道士や、わたしが一生会うこともない偉い偉いお貴族様くらいにしか黒髪はいない。


 幸い、わたしの住む町には黒髪の男なんて一人もいなかった。もし目の前に現れでもしたら、特に意味もなく石を投げつけて、高貴な身分の方に対する暴行罪で投獄されていただろう。わたしが無事にこの歳まで生き残れたのは、黒髪の男が周囲に居なかったおかげでしかない。わたしが獄中死する可能性を極限まで減らすため、黒髪男性の迅速な絶滅が求められている。


 だから十五歳になるまで、これといって困ることもなかった。ただ、絵本に黒髪の魔道士が出てくれば顔を塗り潰したし、歴史の授業では黒髪の貴族が処刑された年号だけを完璧に覚えていた。この日に死んだのかと思うと心がほっこりしたので仕方ない。記念日って覚えようと思わなくても覚えちゃうものでしょう。家族の誕生日とかと一緒。


 先生からは、覚え方が悪趣味にも程がある、ほかの年号もそれくらい熱心に覚えなさいと叱られたけれど、興味のないものは仕方がない。首を刎ねられる時、その男はどんな顔をしたのだろう。怖がったかしら。泣いたかしら。命乞いをしたのなら、誰が聞いてくれたのだろう。そういうことを考えていると、なんだか胸のあたりがすうっとするのだから、我ながら相当おかしいと思う。


 何度も言うけど当然面識もないし、なんならほとんど他国の歴史上の人物たち。それでも何故か、心に清涼感のある癒し効果があった。不思議なことね。


 ちなみに黒髪の女は平気だった。綺麗だと思うし、羨ましいと思うことさえある。憎いのは男だけ。それも、どうやら若くて顔のいい男ほど嫌いらしく、黒髪の老人にはそれほど腹が立たなかった。自分でも随分と勝手な話だとは思うけれど、嫌いなものは嫌いなのだから仕方がない。


 


 十五歳になった秋のこと、台所で芋の皮を剥いていたら、頭の中で鈴の音がした。リンリンと、遠くで誰かが鳴らしているような音だったので、最初は弟がまた何か悪戯をしているのかと思った。


 ところが、次の瞬間には知らない屋敷の廊下が見えて、誰のものとも知れない笑い声が聞こえ、大きな窓の向こうに薔薇の庭が広がっていた。


 あら、綺麗。


 そう思った時にはもう、わたしは前世というものを思い出していた。


 突然すぎて芋を落とし、拾おうとして机の角に頭をぶつけた。母から何をしているのと叱られたので、ちょっと考え事をしていたと答えておく。前世を思い出しました、なんて言ったところで、夕食の支度が免除されるわけでもない。

 実際、母はわたしの頭に瘤ができていないことを確かめると、落とした芋を洗い直して続きを剥くように言いつけた。娘に前世があろうとなかろうと、五人家族の夕食には可及的速やかに芋が必要なので仕方ないこと。


 わたしだって自分の前世なんかより、今日の夕食で口に入る芋の数がひとつでも多い方が重要。その日もお腹いっぱい食べて、家族全員笑顔の夕食だった。しっかりと幸せな今世なので、これから思い返す“前世”については今から既にうんざりしている。



 前世の【わたくし】は、偉い偉いお貴族様のお嬢様だった。それも、幼い頃から婚約者のいるお嬢様。生家は王都でも指折りの名門で、父は立派な官職に就き、母は社交界で幅を利かせ、兄は将来家を継ぐことを期待されていた。そんな家に生まれた末娘が【わたくし】で、何不自由なく育ち、婚約者に恋をした。


 初めて出会ったのは五歳の頃。銀の盆に載せられた菓子を選んでいたら、隣にいた男の子が苺の砂糖漬けを譲ってくれたのだそうだ。優しい方だわ、と思った。たったそれだけで恋をしたわけではないのだろうけれど、以降の記憶にはやたらと婚約者が出てくる。誕生日。お茶会。庭園での散歩。馬車での遠出。婚約者の好む菓子を料理人に教わり、贈るためのハンカチに自分で刺繍をして、彼が外国へ留学した時には毎週欠かさず手紙を送った。返事が来れば喜び、来なければ忙しいのだろうと案じ、久しぶりに会える日には数日前から衣装を選んでいる。


 よくもまあ、あんなに一人の男のことばかり考えていられたものねえ。


 前世の自分のことだというのに、わたしにはちっとも理解できなかった。記憶はあるけれど、その時の感情までは残っていないらしい。興味のない恋愛小説を読まされているような気分で、しかもこの登場人物がことあるごとに泣くものだから、途中から本当にうんざりしてしまった。


 婚約者というのが、またどうしようもない男だった。顔はよかった。黒髪で、魔力が強くて、若くして優れた魔術の才能を見せ、学園でも将来を期待されていたという。なるほど、箱入りのお嬢様が夢中になるのもわからなくはない。ただし性格については、わたしから言わせればクソ男の一言に尽きる。


 幼い頃から惜しみない愛情を向けられていたせいで、【わたくし】が自分を愛しているのは当然だと思っていた。約束を忘れても許される。誕生日を忘れても許される。友人との付き合いを優先しても、女の方が寂しがりながら待っている。男の友人たちは【わたくし】のことを、婚約者に夢中な可愛らしいご令嬢と呼んでいたらしいけれど、要するに何をしても離れていかない便利な女だと笑っていたのだ。


 本人はそれを聞いても喜んでいた。あの方のお友達にも、わたくしの愛情が伝わっているのね。馬鹿じゃないかしら。いや、馬鹿だったのでしょうね。


 そのうち婚約者は学園で浮気をした。しかも、かなり堂々と。女を連れて歩き、肩を抱き、二人きりで出かけ、【わたくし】が涙ながらに問い質すと、女の嫉気は醜いな、なんて言ったのだ。ああ、腹が立つ。死ね!


 ところが、この浮気には事情があった。浮気相手が魅了の禁術を使っていたらしい。発覚した時には学園も貴族社会も大騒ぎとなり、女は捕らえられ、婚約者は禁術の被害者として扱われた。酷い言葉を吐いたのも、婚約者を蔑ろにしたのも、すべて魔術のせいだったというわけだ。


 まあ、大変。さぞかしお辛かったことでしょうね。


 晴れて無罪放免となった男は、愛する婚約者に許してもらえるものと信じて疑わなかったらしい。


 ところが【わたくし】は婚約破棄を申し出た。それも、あっさりと。


 男は驚いた。家族も驚いた。周囲の人間は、あれほど婚約者を愛していた娘が本気でそんなことを言うはずがないと考え、時間が経てば落ち着くでしょう、今は拗ねているだけだと笑っていた。


 けれど【わたくし】は、その日から婚約者の顔を見ることさえ拒むようになった。何度も何度もコテンパンに踏みつけられていた愛情は、魅了だったんだよ仕方なかった、というアホ面が並んだ空間で完全に砕け散ったらしい。あの男は謝れば許してもらえると思っていたし、家族は許してやるのが当然だと思っていた。誰も彼も、これで元通りになると信じて疑わなかった。【わたくし】がどれほど傷ついていたのか、そんなことは誰も気にしていなかった。

 禁術が解けてよかった、婚約が破談にならずに済んでよかった、さあ仲直りをしましょうね。どうやら【わたくし】の苦しみは、あの男が被害者だと判明した時点でなかったことになったらしい。しかも、誰も悪気がない。めでたしめでたしと笑っている。


 そりゃあ、怒るわ。今まで泣いていたのが馬鹿らしくもなるでしょう。お前ら全員、敵なの? と聞きたくもなる。何より、あれほど愛していた男が、自分は許される側の人間だと信じきっているのが決定打だったのだろう。

 謝罪の言葉を聞くたびに、許してもらったあとのことばかり考えているのが透けて見えたらしい。我慢の限界があの瞬間だったのだ。おっせーよと思うが、おっとりしたお嬢様ならこれくらいの反射神経なのかもしれない。怒りって運動神経と体力を使うものだしね。


 それからの【わたくし】は、贈られた花束を踏みつけ、手紙は封も切らずに暖炉へ放り込み、宝石は箱ごと返すという徹底的な拒否を続けた。

 どれだけ謝罪しても許されない。そもそも会話もまともにできない。万策尽きた男はついに、彼の家の女主人が代々受け継いできた指輪を持ってきた。


 本来なら結婚式で渡すはずのもので、【わたくし】が幼い頃から楽しみにしていた指輪だった。未来の義母が身につけているのを見るたび、早く大人になりたいと願い、いつか自分の指に嵌めてもらえる日を夢見ていたらしい。その指輪を謝罪の言葉と共に差し出されて、【わたくし】は淑女にあるまじき声を立てて笑った。


 今のわたしからすると、これで“淑女にあるまじき”と言われるなんて、随分窮屈な生活だったのだろうなと同情する程度の笑い声だ。

 これなら、先日弟がドブに嵌って泣きじゃくりながら帰ってきた時のわたしの笑い声はどうなる。獅子の咆哮って言われるんじゃない?


 とにかく、【わたくし】は品良く、当時の感覚としては大爆笑で指輪を摘み上げた。


「なあに、このゴミ。いらないわ!」


 そのまま窓から一投。指輪は庭へ飛んでいった。



 あの男は長いこと動かなかったらしい。幼い頃から自分を愛していた少女が、そんな顔をするようになってしまったのだから、無理もない。

 庭師は指輪を見つけるのに随分と苦労したそうで、結局、薔薇の根元から発見された時には泥だらけになっていた。庭師には申し訳ないことをしたわね。あの男はどうでもいいけれど。



 婚約破棄は何をしても許されなかった。家同士の契約だったからだ。

 父は家の名誉を考えろと叱り、母は許すことも貴族の女の務めなのだと諭した。兄は男の過ちをいつまでも責めるものではないと笑った。あの男が禁術の被害者であったことは、誰にとっても都合がよかった。婚約を白紙にする必要はなく、両家の関係に傷をつける理由もなくなったのだから、娘一人が機嫌を直せば何もかも元通りになるはずだった。


 誰も【わたくし】の話を聞かなかった。男は謝り続けていたけれど、許してほしいというばかりで、どうして結婚したくないのかなんて尋ねもしない。尋ねたところで、【わたくし】は死ねばいいと思っていたので、どうにもならなかっただろうけれど。


 ついには父から、これ以上家名に泥を塗るようなら娘とは思わないと叱責され、【わたくし】は、では結婚式を済ませたその日に死にましょうかと尋ねた。家と家を繋ぐことがわたくしの義務なのでしょう。結婚までが契約なのですから、その後のことは生きている方々でどうぞ。


 父は娘を叩き、母は泣き、兄はいい加減にしろと怒鳴った。【わたくし】はそんな人間を眺めていた。家族の前で泣きも笑いもしなくなっていたと、その頃になってようやく気付いたらしい。

 口角を上げて薄く目を細めるだけで、笑っている振りだけは出来るから気づかなかった。というのは言い訳でしかないと思う。

 家族なら普通、今日は調子悪いなとか、機嫌が悪いなとかわかるものでしょう。わたしはわかる。今のお母さんに話しかけちゃダメだなとか、弟がなんか隠してるなとか、お父さんが浮かれてるなとか。言わなくてもね、わかるものよ。家族なんだから。


 どうして誰も、婚約者に裏切られた娘が可哀想だとは思わなかったのかしらね。いや、可哀想だとは思っていたのかもしれないけど、可哀想な娘がいつまでも可哀想なままでいることは許せなかったってことかも。もう相手は謝ったのだから、いつまでも悲しんでいる方がおかしいということになったらしい。まあ、そう思う気持ちもわかるけど、他人が言う「もう許してあげなよ」ほどムカつく言葉もない。


 【わたくし】はそれが分かっていて、全員死ねと思っていた。いえ、当時はもっと長く賢く言葉で説明できたんでしょうけど、今のわたしが要約すると「うっせーな糞共全員死ね全部の爪剥がれて苦しめ」で済む。お嬢様にはそんな語彙が初めからなかったので、言語化出来なかったらしい。前世のわたし、かわいそう。




 そんなわけで、あの男は【わたくし】に魔法をかけた。


 あの男は天才だったので、人の心に干渉する魔術を独自に研究し、燃えるような憎悪を未来のわたしへ押し付けることに成功したのである。

 憎悪を消してしまうと【わたくし】の心にどのような影響があるかわからなかったので、魂の深いところへ沈め、次の生へ送ることにしたのだそうだ。


 なんと親切な男かしら。まだ生まれてもいない女の子に、知らない男への憎悪を押し付けるなんて。死ねクソカス。


 しかも、対象となる男の顔や名前は記憶として残らず、黒髪の男という特徴にだけ反応するように組み替えられていた。だからわたしは、黒髪の男を見たこともないのに憎んでいたのね。おかげで前世の記憶が戻るまで、世界中の黒髪の男が死ねばいいと思いながら生きていたのだから、まったく迷惑な話でしかない。


 この世の黒髪男子に謝った方がいい。彼らは罪もなくわたしの憎悪を受けていたのだから。わたしだって無差別に殺意を振りまきたくはない。お前だよ。お前だけ殺したいんだよこっちは、と、狙いをひとつに定めた方が生きやすい。


 今度、黒髪の英雄の本を読んでみようと思う。いつも挿絵のページで「無い方が良くない? なんか汚いゴミみたいなのが写りこんでるし」と引き裂いていたけど、今なら読める気がするから。




 かくして、魔法は成功した。


【わたくし】はすっかりおとなしくなり、結婚式では美しく微笑み、夫となった男が差し出した手を取った。参列者は祝福し、男は感極まって泣いたらしい。婚約者が以前のように戻ってくれたのだと思ったのだろう。


 けれど、残念なことに【わたくし】は元に戻ったわけではなかった。燃えるような恋心を燃料に憎悪を燃やしていたから、その憎悪を抜き取られてしまったのだから、あの男に対する感情なんて何も残っていなかったのだ。

 無です。好きの反対は無関心。まさにそれ。しかもやられたことは記憶として残っているので、不快感だけはあるという、どう転がっても誰も幸せにならない状態に落ち着いてしまった。


 夫になった男が花を贈れば礼を言い、外出に誘われれば予定を確認し、夫婦の寝室では義務を果たした。貴族の娘として教育されていたので、そういうことはきちんとできたのである。


 結婚して間もなく、【わたくし】は最初の子供を産んだ。男の子だった。


 出産は難産で、陣痛が始まってから二日経っても生まれず、途中で意識を失い、医師と治癒術師が交代で処置をした。出血がひどく、一時は母子ともに助からないと言われていたらしい。ようやく意識を取り戻した【わたくし】のところへ、あの男は赤ん坊を抱いてきた。泣いていたのか、笑っていたのか、記憶の中では妙な顔をしている。とにかく嬉しそうで、何か言いながら赤ん坊を見せようとした。


 小さな顔。黒い髪。父親によく似た子供だった。


「見えないところへ置いてくださいませ。乳母は用意しているでしょう」


 あの男の顔ときたら。子供を産んだら子供を愛するという奇跡でも信じていたのかしら。腹を痛めて産んだ我が子なのだから、きっと母性というものが芽生え、子供を通じて自分のことも愛してくれるようになるとでも考えていたのでしょうね。


 どうでもいい男に身体を穢され、十月十日、内臓を蹴り飛ばしながら勝手に育った寄生生物としか思えなかったというのに。


【わたくし】は医師に痛みを取る薬を要求して、そのまま眠った。夫がいつ帰ったのかは知らない。気にしていなかったので、記憶にも残っていなかった。


 その後、子供は三人になった。


 三人とも黒髪だった。なんということだろう。遺伝というものは、もう少し母親に配慮してくれてもよさそうなのに。二人目を身籠った時には、今度こそ【わたくし】に似た子供が生まれるかもしれないと思った記憶もあるけれど、別に楽しみにしていたわけではない。父親と同じ黒髪でさえなければ、もう少し気分よく顔を見ることができるだろうと考えていただけ。結果は見事に三連敗。末の娘に至っては顔立ちまで父親に似ていて、まったく可愛げがなかった。


 それでも子供はある程度の数が必要だったので、我慢して産んだ。後継者が病気になれば代わりがいるし、娘なら婚姻によって家同士を繋ぐこともできる。そういうことは幼い頃から教えられてきたので、【わたくし】は自分の役目を果たしたつもりでいた。


 三人目を産んだあとは、もうよろしいでしょう、と夫に言った。夫はしばらく考えてから、君が望むならそれでいいと答えた。あら、ようやくわたくしの望みを聞いてくださるのね。そう返すと、男は口を閉じた。


 あの男はよく黙るようになっていた。


 子供たちにはそれぞれ乳母をつけ、教育係を用意し、必要なものは惜しまず与えた。誕生日には贈り物を届け、病気になれば医師を呼ばせ、成長に合わせて衣装も新調する。母親としての義務はきちんと果たしていたと思う。ただ、愛情だけはどうにもならなかった。世の中には子供好きな人間が大勢いるし、乳母たちは自分の子供のように可愛がってくれていたので、そちらに任せることにした。


 長男が四歳になった頃、一度だけ母親の部屋へ忍び込んできたことがあった。雨の降る午後で、【わたくし】は居間で刺繍をしていた。侍女が席を外した隙に扉が開き、小さな男の子が花を持って入ってきたので、何かと思ったら庭で摘んだものを母親へ贈りたかったらしい。花は半分ほど潰れ、茎には泥がついていた。乳母の目を盗んで庭からここまで来る間、ずっと握り締めていたのだろう。


 母上に差し上げます、と言われたので礼を言って受け取った。子供はしばらくその場に立っていて、こちらを見上げていた。あの男によく似た黒髪だった。何を待っているのかわからず、乳母のところへお戻りなさいと伝えると、子供は少しだけ俯いてから部屋を出ていった。花は侍女に頼んで花瓶へ生けさせたけれど、翌朝にはもう萎れていたので捨ててしまった。


 あとになって、子供があれを見つけて泣いたと聞いた時には、少々驚いた。花が萎れたら捨てるのは当たり前のことではないかしら。何か別の理由があったのなら、言ってくれればよかったのにと不思議だったらしい。


 今世のわたしとしては、この女マジかよとしか言えないが、前世の【わたくし】は生粋のお嬢様で、そもそも子供と触れ合う機会がほとんどなかった。自分で産んだ子供でさえ、屋敷にいる小さい人間くらいの認識だったのだろう。

 今のわたしなら、そこは嘘でも抱きしめてやれ、枯れた花は押し花にでもして残しておけ、と言いたくなるところだけれど、どうやら【わたくし】には、そういう発想自体がなくなっていたらしい。

 これは元々の性格というより、夫がかけた魔法の影響だったんじゃないかな。なにしろ小説をよく読むお嬢様だった。子供が母親に花を贈る場面なんて、それこそ物語の中で何度も読んでいたでしょうに。たとえ我が子を愛せなくとも、愛情深い母親の振りくらいはできたはずなのに、目の前の子供が何を期待しているのかさえ理解できなかった。

 夫への憎悪を抜き取っただけのつもりが、夫に似た子供にまで関心を持てなくなったのだとしたら、あの男は随分と余計なことをしてくれたものねえ。いや、もしかして、魔法を上回っちゃったのかな……生産元への憎悪が……。


 次男は剣術が得意で、試合に勝つたび母親に報告したがった。末の娘は手紙を書くのが好きで、まだ字も満足に書けない頃から便箋を何枚も使っていた。【わたくし】は届いた手紙に返事を書き、試合に勝った子供へ褒美を贈った。面倒な時には侍女に代筆させたけれど、あの年頃の子供なら気づかなかったでしょう。


 何年か経つうちに、子供たちは母親へ近づかなくなった。長男は乳母を慕い、次男は剣術の師を尊敬し、末の娘は侍女たちに甘えるようになり、【わたくし】に宛てた手紙もすっかり届かなくなった。それぞれに愛してくれる人間が見つかったのだから、よかったと思う。愛を得られない人間は成長するとねじ曲がる。子供たちは親に似ず、真っ直ぐ育つ可能性があって幸いだった。


 夫は時折、せめて一緒に食事をしてやってほしいと頼んできた。わたくしよりあなたの方が懐かれているのですから、そうして差し上げたらいかがでしょう。何しろ黒髪のお子様方ですもの、きっとお父様に似て優秀にお育ちになるのでしょうね。


 そう返すと、また黙ってしまった。あの男は子供たちに母親の愛情を与えたかったらしいけれど、与える相手を間違えたのではないかしら。変な意地を張らないで、ちゃんと愛し合った相手と結婚すれば【わたくし】がこうならずに済んだのに。自分から不幸になりにいくなんて、案外頭が良くなかったらしい。



 子供たちがある程度大きくなった頃、夫が家族の肖像画を描かせようと言い出した。わざわざ王都でも評判の画家を呼び、衣装や背景の相談までしてきたのだけれど、【わたくし】は断った。わたくしの肖像画なら既にございますから、と伝えると、それでは家族の絵にならないだろうと困っていたそうだ。そうですわね、と答えて、のらりくらりと躱していた。


 結局、完成したのは夫と三人の子供だけが並んだ肖像画で、大広間に飾られたらしい。【わたくし】は一度もまともに見上げなかったので、記憶の中には残っていない。四人も黒髪の人間が並んでいるなんて、今のわたしだったら間違いなくインクをぶちまけていたはず。



 そうして貴族の妻としての最大の義務を果たした【わたくし】は、夫に別邸を用意させた。子供たちの教育もある程度軌道に乗っていたし、夫婦がいつまでも同じ屋敷で暮らしている必要はない。

 何より、あの男の顔を毎日見るのは少々面倒だった。憎いわけではないので、すれ違えば挨拶くらいはするけれど、用事もないのに食事へ誘われたり、庭を一緒に歩こうと頼まれたりするのが煩わしくてたまらない。


 夫は反対したものの、結局は別邸を用意した。今度こそ妻の望みを叶えれば、少しは自分に関心を持ってもらえると考えたのかしら。随分と健気な男になったものねえ。泣き暮らしていた頃の【わたくし】に見せてやりたいわ。


 別邸で暮らし始めてからしばらくして、【わたくし】は一人の画家と知り合った。


 八歳年下の、まだ駆け出しの男。絵を描く以外のことは何もできないような男だった。食事を忘れるし、借りた本は返さないし、せっかく新調した上着を絵の具で汚す。話をしている最中に突然黙ることもあったので、何を考えているのかと思えば、窓から入る光の角度が気になっていたらしい。


 そんな男の絵が、なかなか上手かった。


【わたくし】は彼のパトロンになり、仕事を紹介し、屋敷の一室を工房として使わせた。いつから愛人になったのかはよく覚えていない。いつの間にか同じ屋敷で暮らすようになり、一緒に朝食を取り、夜には同じ寝台で眠るようになっていた。

 なんだか放っておけない人間だったのよね。実際のところ、放っておいたってレンガの隙間から生える雑草みたいに、しぶとく生き延びていけるだけの頑健さはあった。これは特に親しくなる前にもわかっていたけど、ただ、下手に顔が良くて、どこかぼんやりしているものだから、こう……口に出すのも憚られるような輩に目をつけられて、酷い目に遭うところまで簡単に想像できちゃって……。まあ、結局【わたくし】が愛人にしたのだから、そういう輩の中でも比較的マシな方に飼われただけなのかもしれないけど。そういえば、絵に関すること以外にはなんでも「いいよ」とこたえる悪い癖は、最後までなおらなかったわね。




 前世の記憶の中でも、このあたりの出来事は随分と穏やかだ。愛人は絵を描き、【わたくし】は本を読み、時には庭へ出て薔薇を剪定した。

 愛人が【わたくし】の横顔を眺めているので、何かついているのかと尋ねると、あなたの頬にあたる光の当たり方を覚えておきたいのですと答えたことがある。それがあまりにも真面目な顔だったので、【わたくし】は笑ってしまった。


 夫はもちろん、愛人の存在を知っていた。知っていて、別邸へ来た。愛人を囲うのは貴族の嗜みですわ。もちろん子は出来ないようにしております。あなたもお好きな方をお持ちになればよろしいのに、と勧めると、あの男は何も言わなかった。


 愛人は居間の隅で絵を描いていて、夫が帰ると、絵の具が乾いてしまうので続きを描いてもよろしいでしょうかと尋ねた。なかなか愉快な男でしょう。夫が帰ったあとの玄関で、【わたくし】はしばらく笑った。こういう、好きな物にしか興味を持たない生きにくさが好ましかったらしい。



 夫との間に生まれた子供が初めて歩いた日や言葉を話した日のことはほとんど覚えていないのに、愛人が上等な上着を絵の具で汚した日のことは鮮明に残っている。仕立屋が持ってきたばかりの服だったので、【わたくし】は最初こそ呆れたものの、本人がまったく悪びれず、これでは外出できませんね、と言うものだから笑ってしまった。



【わたくし】は、そんな男をたいそう可愛がった。


 燃え上がるような愛は怒りになって、今世のわたしに送られている。あれほど誰かに夢中になることは二度となかったけれど、その代わりに得た生活がこれなら悪くないんじゃないかもしれない。結局、波風立たない平凡な生活が一番ってことなのかも。



【わたくし】が死んだのは三十八歳の時だった。


 魔法の影響だった可能性もある。夫はそう考えたらしく、医師を寄越し、自分でも調べようとしたけれど、【わたくし】が顔を合わせることさえ拒否したので、結局詳しいことはわからなかった。

 触らないでくださいますか。それはわたくしの義務ではないでしょう。そう告げられて、あの男は別邸から追い返された。


 何度も来たらしいけれど、【わたくし】は一度も会わなかった。死にかけているのだから、どうでもいい男の相手なんてしていられないでしょう。無理に押し入られた時のために自殺用の毒まで用意していたのだから、本当に夫に対する信頼はなかったらしい。覚悟が決まっている。


 愛人はずっとそばにいてくれた。食事が取れなくなってからは水を飲ませ、手が冷たいと言って毛布を掛け直し、眠る前には昔描いた絵の話をした。彼はそのときまだ三十歳だったので、【わたくし】は残していくことを心配していたらしい。なにしろ、絵を描くこと以外は何もできない男だ。これから先、誰が上着を新調してやるのかしら。食事を忘れたら誰が教えてやるのかしら。


 良い人がいれば結婚なさいなと勧めたけれど、愛人はベソベソと泣くばかりで、少しも聞いてくれなかった。ぼんやりと表情少なく生きていた男がここまで泣くとは思わず、困った人ねえ。そう言いながら、【わたくし】は愛人の手を握っていた。


 その時、廊下では夫が待っていたそうだ。最後に一目だけでも会わせてほしいと頼み続け、扉の向こうで妻が死んでいく間も、何度も名前を呼んでいた。あの男は自分がかけた魔法について、最後まで調べたかったのかもしれない。それとも、もう一度だけ遠い昔のように愛していると言われたかったのかしら。


 知ったことではない。扉は開かなかった。開けさせなかった。


【わたくし】は愛人の手を握ったまま死に、あの男は廊下でその知らせを聞いた。ひどい悲鳴だったらしい。屋敷中に響き渡るほどの声で妻の名前を呼び、使用人たちが慌てて駆けつけた。誰かが医師を呼ぼうと言い、別の誰かが扉を開けようとした。そんな騒ぎの中、【わたくし】は死んでいた。


 死んでからも少しだけ記憶が残っているので、ゴーストというものはこの世に存在しているのかもしれない。あの男の嘆きだけが、妙にはっきりと残っている。




 さて、前世の記憶を思い出したわたしは、しばらく考えてから図書館へ行くことにした。


 あの男がどうなったのか気になったからだ。


 前世の【わたくし】が死んだあと、随分と長い時間が経っている。あの男は優れた魔道士だったのだから、歴史の本に名前くらいは残っているだろう。せっかくなら酷い最期を迎えていてほしい。斬首でも磔刑でも構わない。妻を失った悲しみから禁術の研究に手を出し、国家反逆罪で捕らえられた末に公開処刑されていたら、わたしはきっと大喜びで年号を暗記するだろう。


 ところが、歴史の本を開いたわたしは、腹立たしい事実を知ることになった。


 あの男は死んでいなかった。


 それどころか、国一番の大魔道士として歴史に名を残し、数々の魔術理論を確立し、戦乱の時代には王都を守り、民衆を救い、魔術の発展に多大な貢献をした偉人として紹介されていた。


 はあ、そうですか。立派ですこと。


 肖像画には見覚えのある黒髪の男が描かれていて、あまりにも腹が立ったので本を閉じてしまった。隣の席にいたおばあさんから、もう少し丁寧に扱いなさいと叱られたので、素直に謝る。おばあさんには何の罪もない。本にだって罪は無い。悪いのはあの男だ。よりによって偉人になっているなんて、何を考えているのかしら。


 しかも百六十歳。


 魔力の高い者は寿命が長いと聞いていたけれど、あの男は今も生きているそうで、王宮にも出入りしているらしい。国民から尊敬され、弟子に囲まれ、魔術の研究を続けているという。


 なんで生きてるの。なんで立派になってるの。黒髪の男が死ぬ話を読むのが好きだったわたしが、よりによって黒髪の男が長生きして立派になる話を読まされるなんて、どういう嫌がらせなの。


 腹立たしいことに、妻についての記述まで見つけた。名門貴族の令嬢を娶り、三人の子をもうけた。妻は若くして病没し、以降再婚せず。早世した妻を深く愛している人物としても知られ、彼女の死後は魔術研究に没頭したという。


 キレそう。あの男が妻を愛していたことは事実なのだろうけれど、妻に愛されていたかのように書くのは死者への愚弄では? 妻は死ぬまで愛人と暮らしていたのだ。それが歴史に残っていないのは、貴族の体面というやつかしら。


 偉人というものは得ねえ。都合の悪いことは書かれず、本人の苦悩まで美談にしてもらえるのだから。ついでに書いておいてほしかったわ。妻から憎悪を奪うために魔法をかけ、結果として妻から完全に見放され、三人の子供を産ませても愛情を取り戻せなかった男です、と。



 その後、美術史の棚で前世の愛人が描いた画集を見つけた。こちらは少々探すのに苦労したけれど、晩年の作品をまとめた本が一冊だけ残っていたので、借りて帰ることにした。


 途中で頁をめくってみると、見覚えのある女が笑っている。


 庭の椅子に座り、薔薇を一輪持っていた。別の頁では鏡台の前で髪を梳かし、その次は窓辺で本を読んでいる。目尻に笑い皺のある顔も、少し眠そうな顔も、薔薇の剪定に失敗して指を傷つけた顔も、どれも楽しそうだった。


『我が愛しの、』


 それが作品の題名で、何枚も描かれていたらしい。


 画家は【わたくし】が亡くなったあと、誰とも結婚せず、私財から分けた遺産で工房を構え、弟子を取って絵を描き続けたという。老いた画家が何を思っていたのかはわからない。ただ、あの人は本当に【わたくし】のことが好きだったのねえ。



 わたしは少しだけ嬉しくなり、画集を借りて図書館を出た。いつか手元に置くために買おうと値段を見たら、胃の中身が出るほど高額で気を失いそうになる。良かった。画家として売れていたらしい。身の回りの世話をする人間くらいは雇えたでしょう。それはそれとしてこれを買うのは無理かも。


 家に帰ると、母が夕食を作っている。弟はわたしの部屋へ勝手に入って本を読んでいたので追い出した。ついでに探していた髪紐が弟の上着のポケットから出てきたので、明日のおやつを半分寄越すよう要求しておく。それか結ばないでいいように、また丸刈りにするかの二択よ。


 父は仕事から帰ってくるなり、図書館で何を読んできたのかと尋ねたので、歴史の本よと答えた。感心されたけれど、褒められるようなことは何もしていない。いつも通り黒髪の男に腹を立てていただけなのだから。あと前世の愛人の画集を借りただけ。言葉にするとどっちを取っても最悪かもしれない。


 寝間着に着替えてから、借りてきた画集をもう一度開いた。


 庭で笑う【わたくし】は、わたしの知らない幸せそうな顔をしている。前世の記憶が戻っても、わたしは【わたくし】にはならなかった。あの人が好きだった男をわたしも好きになるわけではないし、あの人が愛せなかった子供たちを憎む理由もない。


 わたしはわたしで、明日も学校へ行かなければならないし、母に頼まれた糸を買ってこなければならない。いつか好きな男ができたら結婚するかもしれないけれど、黒髪の男だけは絶対に嫌だ。ああ、でも、そういえば。前世の【わたくし】も、最初はあの男の黒髪をたいそう美しいと思っていたのだった。愛情というものは、まったく当てにならない。


 ベッドに入ってからも、わたしはあの男のことを考えていた。随分と長生きしているじゃない。今も若々しい姿のまま魔術の研究を続けているらしいけれど、そんなに長く生きていて、何か楽しいことでもあるのかしら。

 妻が死んだあと、誰とも結婚しなかったというのは本当だろうか。歴史の本にはそう書いてあったけれど、恋人の一人や二人はいたかもしれない。別に構わない。誰かを好きになって、愛して、愛されて、ようやく過去のことを忘れられたのなら、それはそれで結構な話でしょう。


 ただ、それなら少々腹が立つ。わたしは生まれた時から十五年間も、あの男が憎くて仕方がなかったのに。あいつのせいで危うく暴行罪を犯すところだったし、絵本だって何冊も駄目にした。子供の頃に母が買ってくれた英雄譚なんて、挿絵の顔を塗り潰すだけでは飽き足らず、黒髪の魔道士が登場する頁を全部引き裂いてしまったのだ。母には随分と叱られたっけ。ああ、思い出したらまた腹が立ってきた。あの本、高かったのよ。今からでも弁償してもらおうかしら。


 けれど、もしかしたら。あの男は今でも【わたくし】を愛しているのだろうか。肖像画を眺めて昔を思い出したり、もう一度会いたいと願ったりしているのかもしれない。なにしろ国一番の大魔道士なのだから、死者を蘇らせる方法くらい考えたでしょう。あれほど優れた頭脳を持っていて、百年以上も研究を続けているというのに、いまだに再婚もせず、一人で暮らしているのだとしたら。


 あら。


 それは、なかなか愉快なことではないかしら。


 どうか許して、こっちを見て、愛して、置いていかないで。


 前世の【わたくし】が何度も口にしていた言葉を、今度はあの男が繰り返しているところを想像したら、なんだか笑えてきた。実際がどうなのかなんて、どうでもいいの。どうせ確かめになんて行かないんだから、都合の良い方の想像を選ぶだけ。


 立場が逆になったのねえ。あの男の方がずっと長生きしているのだから、費やした年月でいえば【わたくし】の何倍も苦しめる計算になる。しかも、この先どれほど魔術が発展したところで、あの病室の扉を開けることだけはできないのだ。いや、物理的にはできるけど、開けたところで誰もいないでしょう。そこには誰もいないだけ。あの男に残されたのは、自分が婚約者に何をして、妻にどう憎まれ続けたかという記憶だけ。


 わたしは寝返りを打った。布団はすっかり温まっていて、枕からは干したばかりの陽の匂いがする。窓の外には月が出ていた。明日は晴れるかしら。洗濯物を干すのを手伝わなくちゃ。弟から取り立てるおやつは何にしよう。今度こそ母に頼まれた糸を買い忘れないようにしなくちゃいけないし、図書館で借りた画集も二週間以内に返さなくてはならない。ああ、忙しい。


 そうして明日のことを考えられるのが、なんだか嬉しかった。


 ねえ、あなた。【わたくし】はもう死んだのよ。あなたのことなんて少しも考えないで、好きな男の手を握って、好きな男のこれから先のことを心配しながら死んでいったの。

 わたしだって明日のことで忙しいし、あなたに会いに行こうなんて思わない。歴史の本に載るほど立派になったのなら、そちらも勝手に生きていればよろしいでしょう。


 ただし、幸せになるのは許さない。


 わたしは布団を口元まで引き上げた。笑い声が漏れた。最初は小さく、やがて堪えきれなくなって、枕に顔を埋めたまま声を立てて笑ってしまった。


 ああ、おかしい。あの黒髪の男が、死ぬこともできず、今なお一人の女に恋焦がれているのだとしたら、これほど面白い話はないでしょう。どうか、そのまま長生きしてちょうだい。誰からも尊敬される立派な魔道士として、国中の人間に祝福されながら、毎晩一人で泣いていればいい。


 わたしは笑いながら、誰に聞かせるでもなく呟いた。


「どうか彼が不幸せでいてくれますように。死ぬまで、死んでも苦しんで。嘆きの雨に溺れて沈め、わ(・)た(・)く(・)し(・)のように!」


 すると、隣の部屋から壁を叩く音がした。おねーちゃんうるさい、と弟が文句を言っている。あら、聞こえていたのね。わたしは布団の中でまた笑い出し、獅子のような大笑いの合間に、ごめえーん! と返したが、まったく反省の色がないと判断したらしく、壁がもう一度叩かれたので、今度こそ腹を抱えて笑ってしまった。


 ごめんねえ、もう寝るわ。ほんとほんと、良い夢を見れそうだから!




正規ルート

魅了魔法にかけられた被害者でござい><の顔をせず、“自分”の態度がどれだけ酷いことだったか、傷付けたことへの謝罪を初手に出す。

⬇

婚姻の時間を魅了で消費した時間相当分ずらす。

⬇

飢えた熊に対峙する程度の注意力を持ってコミュニケーション(プレゼントは怒りを増幅させるため、会話を主として好感度をあげよう!)



チートルート

全然許してくれないよ>< じゃけん、このブチ切れ感情だけ消してやろうね……。

⬇

大バグり 恋愛ルート完全閉鎖



そしてうまれた今世の『わたし』

なんか知らんけど黒髪の男が、憎い!!!(濃縮還元累計蓄積大憎悪)


攻略ヒント https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/62029/blogkey/3710291/


パーフェクトコミュニケーションからのトゥルーエンドif(こうはならなかった世界線) https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/62029/blogkey/3711229/


シリーズ物の短編を連発するのはなんか嫌だけど、連載にするほど書く気はないので活動報告に書いております。暇な時にでもどうぞ。

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あー(・o・)…結局のトコロ 《無関心》でゎいられなかった?のだから…この《憎悪》ゎ一周回って【愛(愛憎)】だったのでしょう? なんか切ないお話ですね? 《彼女》を魔法で無理やり縛って…【愛】を期待…
見事に地雷を全部踏み抜いてるのがなんともw こういう話の感想欄に少なからず「魅了にかかってたんだから⋯」と男擁護があるのに皆が皆バッドエンドに喜んでるのが最高のざまあなんだろうなあ いやホントに誠実に…
きっと正規ルート行ける性格だったら、最初からすれ違っていない気もしました(笑) 本編で長生きだったのは術の影響で妻の魔力を吸い取ったりしたのかな、なんて思いました。 妻の怒りも、子どもへの愛情も、幸…
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