表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

第七話

廊下の奥で、紙をめくる音がしていた。


誰かが咳をする。

遠くで、何かが落ちる音。


シュウは入口で立ち止まり、手にした紙袋を見る。


袋の口に指を入れる。

白い端が見える。


すぐ閉じる。


「……ここに置いといて、いい?」

「……毒とかじゃないから」


机に向かっていた治癒科の学生が顔を上げる。


袋を見る。

シュウを見る。


「そこ、で」


もう興味はなさそうだ。


壁際の台に袋を置く。

手を払って、踵を返す。


曲がり角で、一瞬だけ中を見る。


誰かが袋を見ている。


すぐ、視線が落ちる。


シュウはそのまま行った。



しばらくして。


紙袋が、少しだけ動く。


中を覗いて、止まる。


白いパンを一つ取る。


一口、かじる。


「……もそ」


隣のベッドが揺れる。


「おい」


「なにしてんだ」


「……毒味」


「は?」


「一応」


「お前の舌で?」


「失礼だな」


「信用できねー」


少し黙る。


「……じゃあ俺も」


半分に割る。

ちょっと歪む。


「そっち多い」


「気のせい」


見合う。


どちらも動かない。


先に、多い方が置かれる。


隣のベッドへ。


「起きたら怒るぞ」


「知らん」


「でも食うだろ」


二人で笑う。



外に出たシュウは、風に当たって息を吐く。


指先を払う。


「……あーあ」


振り返りかけて、やめる。


「固くなったら知らねーからな」


歩き出す。



少し後。


別の部屋。


包帯を巻いた生徒が、ベッドの端に座っている。


靴を履く。

片方。


止まる。


もう片方。

床に手をつく。


立つ。


体が少し傾く。

とっさに机に手を伸ばす。


ガタン。


「……いってぇ」



ミコトは机で記録を読んでいる。


ページをめくる。


止まる。


部屋を一度、見回す。


一瞬、眉が動く。


「……ふん」


次のページへ進める。


――――――――――――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ